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サスティナビリティ(127)
2025年(18)2015年~2019年「世界的経済混迷の5年間」(7):北海道編-1
更新日:2011年10月01日

    

 9月21日、新千歳空港発羽田行きの便は全て運行中止となり、東京への出張は取りやめざるを得なかった。沖縄で”のろのろ”していた台風15号は一挙にスピードを上げ、その日、日本列島を縦断、東京を直撃した。風速は30メートルを超え、トラックが横倒しになるほどで午後には首都圏の交通が完全に麻痺した。主要駅は帰宅困難者があふれかえり、私の娘は、帰宅するのに6時間かかったり、保育園に預けている子供とようやく会ったのは夜の10時過ぎだったそうだ。翌日東京に赴くことができたが、蒸し暑さの上、夕方にはすさまじいスコールに遭遇した。まるで東京がフィリピンやインドネシアのような熱帯地方になったかのようである。
 同じ時期、息子が赴任したニューヨークには数十年ぶりのハリケーンが襲来し、地下に水が染みこみ、数日間も停電が続いたそうである。
先日、発泡スチロールの箱につかまって漂流していた沖縄の女性6名が、16時間ぶりに救助されたというニュースがあった。その時の沖縄の海温は28度を超えていたという。
インドネシア近海の海面水温は例年より高くなっており、上昇気流の勢いが増しているのではないだろうか。
一方、太平洋の東側では海温の低下傾向があり、太平洋の中間に高海温地域が広がるラニーニャ現象が発生する可能性を海洋研究開発機構が発表した。今年の冬も大雪に見舞われる可能性が高い。
 全てを地球温暖化のせいにするのははばかりたいが、我々の周りだけではなく世界中で異常気象が発生している。このような状況が続いていると不安を感じざるを得ない。

 前回まで6回にわたって「世界的経済混迷の5年間」として、2015年~2019年の世界と日本の動きを予測してきた。2010年~2014年は「日本は更なる失われた5年間へ」、2015年~2019年は「世界的経済混迷の5年間」としたが、北海道はどのようになっているのだろうか。今回も”風””林””水””菜”で考えてみよう。

 本年5月15日にアップした”2025年(9)”で紹介したが、北海道の風力発電の導入ポテンシャルは全国の約半分を占め、その発電総量は原子力発電62基分にも相当する。また、6月1日掲載の”2025(10)”では、この豊かな風力ポテンシャルを活用するため、3段階の拡大計画を提案した。
まず2010年~2014年を「インフラ整備と投資勧誘の時期」とし、原発2基相当の発電能力を有する風力発電設備を稼働するという内容だ。そのためには、日本海沿岸に設置されている旧式の小型風力発電を大型風車に切り替え、1基当たり発電量を3~5倍に高め、関連する既存の配電施設を増強・整備するという極めて現実的な案である。
 たまたま9月10日、ソフトバンクの孫社長が、全国最大規模である30万キロワット以上の風力発電設備を留萌管内苫前町に設置することで森町長と会談したとのニュースが入ってきた。私も訪れたことがある苫前町には、すでに42基の風車が設置されている。したがって、既存配電設備も増強の上、使用可能になる。来年4月から「再生可能エネルギー特別措置法」が施行され、自然エネルギーの固定買取りがいよいよスタートすることになる。買い取り価格は本年中に決定されるが、原発が順次廃炉になることが予想される中、再生可能エネルギーへの期待は高まってきている。国も再生可能エネルギーを後押ししており、買取価格は事業としての採算が見込めるものになると思われる。
孫社長は再生可能エネルギーへの熱い思いと共に、事業として太陽光発電や風力発電に大きな可能性を感じ取っているのだろう。いずれにしても、大いに歓迎すべきことである。 
ソフトバンクに限らず、大手企業が虎視眈々と再生可能エネルギー事業への進出を狙っているのではないだろうか。買い取り価格が決定次第、具体的な進出計画が発表されるだろう。大手企業の参入だけではなく、道内企業の参画を大いに期待したい。
 一方において、電力買い取りを義務づけられる電力会社は、特別措置法が施行されても、風力発電の新たな買い取りには応じられないと、否定的な見解を表明している。風力発電の不安定性から、「電気の円滑な供給確保に支障が生じる恐れのあるとき」は拒否できるとの例外規定を持ち出している。
蓄電池、揚水発電・配電系統の拡充・スマートグリッドなどによって、不安定な風力発電は技術で平準化できるはずである。事実、ヨーロッパ各国のみならず、米国も中国も総発電量に占める風力発電の比率を急速に高めている。
 特別措置法の施行が大きな潮流を生むことは間違いない。2015年~2019年の間には、インフラ整備と投資勧誘が進み、北海道で原発2基相当の発電能力を有する風力発電設備を稼働することは充分に可能であろう。

さて、2015年~2019年の5年間を「陸上風力発電設備建設拡充の時期」とした。再生可能エネルギーに関し、この期間に大きな進展があるだろう。その理由として以下の点が挙げられる。

・原発に対する懸念から、新たなエネルギー政策が打ち出され、再生可能エネルギーが主役となる。国民、政府、官庁を挙げてのエネルギー転換運動が起きる。
・2020年末までにCO2の発生を25%削減しなければならない中、原発の比率を下げていくと再生可能エネルギーで代替しなければならない。
・人口増加と新興国の需要増加で化石燃料などの鉱物資源価格が上昇し、自前の再生可能エネルギーの依存度を高めざるを得ない。
・技術の進化で、再生可能エネルギーの発電コストが劇的に低下する。特に、炭素繊維の低価格化で風車の重量が大幅に減少し、設置がより容易になり強度をさらに増す。また、蓄電池(リチウムイオン)の価格は容量比で大幅に下がり、配電施設もスマートグリッド技術で効率的な管理が可能になる。太陽光発電パネルの価格も劇的に下がる。
・海外事例などで、再生可能エネルギーに対する不安が解消され、実証的に評価される。
・上記の状況から、配・送電系統については国を挙げて取り組むことになり、この期間に整備が進められる。

それでは、北海道にどのような影響をもたらすだろうか。
 北海道は再生可能エネルギーの宝庫であることを十分に認識しておく必要がある。特に、洋上を含めた風力発電は、日本全国へのエネルギー供給基地としての可能性を大いに秘めている。食糧基地と共に電力供給基地を築くことで、北海道は日本にとって極めて重要な役割を果たすことになるだろう。波及効果として、以下の産業の振興に結びつくことが予想される。

・新たな地域電力会社の設立による雇用と税収の増加
・風車を運送する為の土木産業、建設産業の振興
・セメントなどの建設資材産業の振興
・新たな産業として蓄電池製造業の誘致
・揚水発電用の中・小型水力発電設備の建設
・配・送電網の設置に関連する産業の振興
・1万点に及ぶ風力発電設備用の部品を供給する中小企業の振興
・豊富なクリーンエネルギーを活用した製造業の誘致
・過疎地の活用による地代の収入
・クリーンさをイメージした観光業の振興
・クリーンエネルギーを系統網で本州企業に送電し、プレミアム価格で販売

 これらは決して夢物語ではない。国のエネルギー政策が大きく変わろうとしている今、地方行政が核になって地域の優位性をもっともっと強く打ち出していくべきだ。
北海道は風力という恵まれた自然環境を積極的にアピールすると共に、関連産業の誘致に邁進すべきだろう。
「陸上風力発電設備建設拡充の時期」とした2015~2019年の間に「原発6基」相当の再生可能エネルギー拠点が開発可能とみている。その実績が、2020年~2024年頃に本格的に普及する洋上風力発電につながっていくことになる。
 北海道の持つ可能性は長い間謳われてきたが、なかなか地域発展に結びついていない。今こそ可能性の実現に取り組むときだ。