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分譲マンションの資産価値は「内窓の断熱化」で維持できる

マンションの内窓を交換することで、寒さ対策のほか、資産維持にも貢献

〝先進的窓リノベ補助金〟で内窓を交換

国の補助金事業「先進的窓リノベ事業」が分譲マンションの住人から評判だ。最小限の持ち出しで高品質な内窓に交換できる。断熱性が高まり快適に暮らせるだけではなく、資産価値の下落も防げるという。専門家に話を聞いた。

一戸につき最大200万円の補助金交付

 分譲マンションで室内の快適性を左右する要素の一つが気密性だ。気密性が低いと室内の空気が逃げやすくなり、冬は暖房、夏はエアコンの効きが悪くなる。もちろん光熱費にも悪影響を与える。特に北海道の冬は長く、断熱対策は道民にとっては避けて通れないものといえる。

 一般的な中高層マンションでは、室内の熱が最も逃げやすいのが外壁(45%)とされ、窓(25%)、換気(20%)、その他(10%)と続く。外壁や窓から逃げる熱が半数以上を占めているのがわかる。築年数が浅いマンションは気密性も保たれているが全国ではマンションの高経年化が進行。札幌市内のマンションでは実に半数を占める約2000棟が築30年超だ。これらは外窓・内窓も断熱性能が低い単板ガラスが多く、熱が逃げやすい。冷気だけではなく結露などの問題が発生しているケースも少なくない。

 断熱性能を高めるには「外壁を外断熱にする」「窓を断熱性能の高いものに取り替える」などの方法がある。分譲マンションの場合、管理組合の主導により大規模修繕工事を12年~15年周期で行っているが、外断熱工事を実施するマンションは数えるほどしか無い。

 比較的省コストなのが窓の交換だが、外窓は共用部のため、個別工事の場合は規約の変更が不可欠で、ベランダがない部分は足場の設置といった手間もかかる。

 また、外断熱化には国や札幌市で補助金制度を設けているが、適用される条件が厳しく、工事費が高くなるため、あまり活用されていないのが現状だ。

 マンションに関する修繕や電気・設備の更新、居住者の高齢化相談などに対応する「一般社団法人マンショントータルサポート」代表理事の高橋克文氏は「おすすめなのが内窓の断熱化です。共用部ではないので住人の個別の判断で導入が可能です。事前調査は行いますが、足場も不要なので施工は4時間程度です。外窓よりも断熱効果が高く、取り替えるだけで効果が十分に得られます。これには国の事業である『先進的窓リノベ事業』が活用できます。200万円を上限に設置費の約40%~50%相当とかなり大きな補助金が交付されます」と語る。

「先進的窓リノベ事業」とは、断熱性能が高い窓への取り替えやガラス交換などで冷暖房費の負担軽減や快適性向上を目指すもので、環境省が2023年度から継続して実施。25年度は「住宅省エネ2025キャンペーン」の一環として行われている。

 すでに本州では冷房効果を高める目的で「先進的窓リノベ事業」の補助金を活用して窓の取り替え工事を行う例が増えている。

 内窓を交換することで暖気の侵入を防ぎ、エアコンの冷房効率を上げる効果もあるからだ。温暖化により道内ではエアコンを設置する住戸も多くなってきており、夏の暑さ対策、冬の寒さ対策としても窓工事は有効と言える。

 さらに高橋氏は、内窓を工事する場合、補助金制度によって認定されている断熱性能が高い「LOW‐E複層ガラス」を使用し、さらに窓枠に樹脂製の窓を使用することを推奨している。

 価格は築年数にもよるが4窓想定の3LDKマンションで内窓を設置した場合、工事費が約50万円に対し補助金が約20万円。実質負担は約30万円となった。

 高橋氏は「マンション管理組合の了解を得て23年度と24年度に補助金制度の案内を各住戸に配布したところ、多くの住戸から内窓断熱工事の申し込みがありました。組合の修繕積立金で全住戸の窓を取替えたケースもあります。補助金を活用したので、工費が安くなり大変好評でした」と振り返る。

 翌年度に効果を確認したところ「結露が無くなった」「冷気が感じられなくなった」「隙間風が無くなった」「車の騒音が緩和された」といった意見が多く聞かれた。また、「暖房の効きが違う」「朝の寒さが楽になった」など、具体的な声も寄せられたという。

 高橋氏は「25年度補正予算により、26年度もこの補助金が活用できます。制度が始まってから業者探しをすると、選択肢は狭まります。早々に状況を整理し、相談先を決めておくことが肝心です ポイントは、内窓が高い断熱性能であることに加え耐久性も有していること。さらに施工品質にもこだわっている業者を探すことです」とも語る。

資産価値を守るために内窓の交換を提唱

 数ある施工業者の中でも豊富な実績を有するのが内窓メーカーの道内大手「プラスト」(本社・札幌市、中澤浩司社長)だ。約40年前に日本で初めて樹脂製サッシを開発した大信工業のグループ会社で、そのノウハウを生かし数多くの内窓を施工してきた。

 川上匡男取締役は「施工後は体感できるほど室温の変化があります。25年度は想定を超える申し込みがあり、年内の施工枠は早々に埋まりました。やむを得ずお断りするケースも多くありました」 と語る。

 また、内窓の交換は暮らしの質を高めるだけでなく、長期的に見ればマンションの資産価値の維持にも役立つ。結露などによる劣化から保護してくれるからだ。

 高橋氏は「補助金活用はきっかけにすぎません。大事なことは大切な資産であるマンションの価値を守っていくことです。いまの状態を維持して次世代に受け継ぎ、売却の際にも有利に進められることが理想です。その選択肢の一つが内窓なのです。資産価値を守るためにも、取り替えを検討してほしい」と訴える。

4時間程度の工事で取り換えが可能
川上匡男取締役