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Interview

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課題解決のカギは道民、若者、他団体掲載号:2019年8月

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渡辺卓 北海道経済同友会代表幹事 HBC会長

北海道経済同友会の代表幹事に渡辺卓HBC会長が就いた。これによって、同会の代表幹事2人体制が復活した。人口減少問題など、北海道が抱える数多くの課題にどう向き合うのか。解決のための提言を聞いた。

これからの北海道について提言

――4月に北海道経済同友会の代表幹事に就任しました。いまの率直なご感想を。

渡辺 会員のみなさんに承認をいただき、大変光栄に思っています。一方で、北海道はたくさんの課題を抱えていますので、そういった意味で経済団体の役割は大きいと思いますから、責任の重さを痛感しています。

――道経済同友会では2014年1月まで、代表幹事が2人体制でした。しかし、JR北海道相談役だった坂本眞一氏の死去以降、横内龍三氏と石井純二氏のそれぞれ一人体制が続いていました。

渡辺 石井さんの前任者である横内龍三さん時代に、当会の活動の幅が広がりました。委員会、ワーキングという組織なども拡大しました。さらに「発言し、行動する同友会」という目標も立てました。活動が活発化していく中で、今回、代表幹事2人体制が復活したように思います。

今思えば、昨年の夏ごろから親交のあった石井さんに、代表幹事就任のお誘いを受けていたように思います。

今回、代表幹事を引き受けさせていただきましたが、経験豊富な石井さんが筆頭代表幹事でいますから、心強いと思います。先頭に立って取り組んでいきますが、石井さんの考えを推進させていきたいとの思いもあります。

――道経済同友会は1949年7月4日に発足しました。今年設立70周年の節目を迎えました。6月10日には記念式典を開催しましたね。

渡辺 代表幹事2人体制の復活は、節目の年を機に、ということもあったのではないでしょうか。

記念式典では、今年4月まで東京の経済同友会の代表幹事を務めていた小林喜光さん(三菱ケミカルホールディングス会長)を招き、記念講演も実施しました。

講演のタイトルは「地球と共存する経営」。今後のグローバルな競争の中で、将来、日本が優位なポジションにあるためには、国、企業、経営者がどう取り組んでいくべきかを示した内容でした。

会場には300人を超える方々に来ていただき、道外の経済同友会の方々も数多く出席してくれました。

――全国各地との同友会との交流が増えているそうですね。

渡辺 そうですね。年々活発化しています。

東北6県と新潟県で構成する東北ブロック会議があります。道経済同友会は4年前から同会議にオブザーバーとして参加していました。

そして、今年からは東北・北海道ブロック会議と改称し、今年は10月10日に札幌で開催します。

――経済同友会の意義をどう捉えていますか。

渡辺 今回の代表幹事就任にあたり、中央の経済同友会の設立趣意書を読みました。同会は1946年4月30日に誕生しました。

設立趣旨書は熱烈な文章で、少し驚きもありましたが、戦後の日本を復興しよう、立て直そうという当時の経済人の意気込みを強く感じました。

こういうことを根底に捉えると、北海道には数多くの課題があって、それらを解決するために、北海道の経営者も同じ思いを抱いているのではないかと感じました。そういった意味で、道経済同友会は、大きな役割を果たせる可能性があるのではないかと思います。

――道経済同友会としての今年度の活動は。

渡辺 まずは「北海道の未来検討ワーキング」でとりまとめたデータを7月10日に公表します(取材日・7月3日)。これが今年度の大きな活動になります。

当会にはさまざまな委員会もありますが、同ワーキングは、北海道全体にかかわる課題を取り上げていますから、われわれとしても重みのある仕事だと思っています。

座長は地域活性化分野の第一人者として知られる小磯修二先生です。2000年初頭から15年までの本道における各分野のデータを集め、さまざまな角度から分析を加えました。北海道の強みや問題点などが浮き彫りになっています。

昨年から作業に着手したのですが、まとまったデータはかなりの量になりました。当初はデータ公表と同時に、何らかの提言をしたいと考えていたのですが、今回、そこまでに至ることができませんでした。中間発表ということになりますね。

データを分析し、議論を重ねた上で、これからの北海道について提言をおこなう方針です。

外から稼げる北海道をどうつくるか

――北海道の課題をどう認識していますか。

渡辺 もともと言われてることですが、何よりも他の地域より早く進む人口減少が大きな課題だと感じています。生産年齢人口も減っていきますから、労働生産性をどう上げていくかという問題にも直面します。

広大な北海道は全国と比較して、この課題が顕著に現れています。しかもペースが早い。対策に取り組まないと、北海道のマーケットはますます縮小していくでしょう。

人口減少は簡単に回復するものではありません。ただ、この問題は経済界はもとより行政の仕事にも、また、道民一人ひとりの生活にも影響を与えます。どんな取り組みをすべきか、さまざまな声に耳を傾けて、検討していかなくてはならないと考えています。

北海道で正しいモデルをつくることができれば、人口減少が進む他地域での課題解決のモデルになりうるのではないでしょうか。

――路線廃止問題など、JR北海道の経営についての見解は。

渡辺 JR北海道については、利用している、携わっている道民がたくさんいるわけで、当然、大きな問題だと感じています。

路線廃止問題が議論されていますが、収支だけを考えると、そういう結論に達するかもしれませんが、単純に廃止すればいいというものではありません。当然、JRと各自治体だけで考える案件ではないとも認識しています。国の関与も必要ではないでしょうか。

たとえば、北海道の場合、鉄道は観光分野にも寄与しています。これからの北海道の観光レベルをあげるには交通インフラは重要です。交通インフラの充実が海外からの観光客に長期滞在してもらうためのポイントになるかもしれません。

――北海道の強みは。

渡辺 一般的な見方になってしまいますが、北海道は観光や食分野が産業の強みです。その一方で、両分野は、どちらかといえば、労働生産性が低いとされています。

そのため、もっと外国人観光客を呼び込んで、外から稼げる北海道をどうつくっていくか。そういった考えはより必要だと感じています。IRはいろいろ課題も指摘されていますが、稼げる要素を秘めています。

道内7空港民営化も観光の分野に寄与する可能性が大きいと思います。ぜひ成功に結びつけてもらいたいですね。

食の分野も、付加価値をつける動きが進んでいますが、さらに活発化して外で稼げるようになることを望んでいます。

このほか、原発の問題もありますが、北海道は自然エネルギー分野で、まだまだ可能性はあるはずです。普及させるにはまだまだ難しさもあると思います。

――放送業界出身の代表幹事は初めてとなります。どのようなことに寄与していきたいですか。

渡辺 これから、通信技術の第5世代移動通信システム(5G)が始まり、ITでは、インターネットでありとあらゆるものがつながるIoTなどが発展していきますが、10年、15年たつと、世の中、そして一人ひとりの生活を大きく変えるでしょう。

放送業界も、5Gなどは関係していきますから、そういう部分でも何か寄与できればと考えています。

発言して行動する同友会を目指して

――これら北海道が直面する課題の解決に向けて、北海道経済同友会としてどう取り組んでいきますか。

渡辺 当団体は「発言し、行動する同友会」を掲げていますから発言するという意味では、やっぱり道民にも提言を届けなくてはならない。いままで以上に広報活動に力を入れていきたい。

道民のみなさんにも、北海道、北海道経済の実態を理解してもらった上で、協力していただきたいです。道民の理解が深まれば、いろいろな立ち場からの解決策も生まれるのではないでしょうか。

北海道の将来を見据えると、“暗い課題”が山積しています。その課題を解決するためには、これからを担う若者が大切ではないでしょうか。明るい未来をつくるためには、課題の影響をじかに受ける若者の意見を聞きながら、われわれの提言をまとめていきたいです。

若者たちに「北海道には明るい未来、魅力がない」と言われて、北海道を去られたら、もっと大変なことになります。

経済同友会は企業や業界の利害関係を超えて、経済人が個人で参加し、自由闊達な提言・主張をします。この精神を考えると、もっと会員交流をし楽しみながら取り組んだほうがいい。そういった意味でも自由な発想の若者の意見は貴重です。

一方で、経済同友会は、“自由にものが言える”団体ですから、横の連携も強くしていきたいと考えています。

北海道経済連合会、北海道商工会議所連合会のメンバーとも、みな良好な関係を築いています。他団体との連携の橋渡し役などを担うことができると思います。産官学との連携なども模索していきたいです。

広大な北海道の課題は当然、多岐にわたります。ただ、経済を向上、維持させればいいというものではありません。大きな課題である人口減少が進めば、いろいろな環境が大きく変わっていくでしょうから、それを見据えながら、取り組んでいかないといけない。

また、単独で提言しても、大きなところに石を投げるようなものになってしまっては、意味がありません。少しでも有効なものにするためには、提言も“大きく”しなくてはなりません。北海道の課題解決のカギは、道民、若者、他団体との連携にあるのではないかと考えています。

=ききて/竹内洋規=