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Interview

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北海道を愛する
すべての力を結集させる
掲載号:2019年6月

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鈴木直道 北海道知事

平成最後の知事選を制した前夕張市長の鈴木直道氏が4月23日、北海道知事に就任した。道政にとっては実に16年ぶりとなるトップ交代。IRやJRといった喫緊の課題にどう向き合っていくのか。鈴木知事を直撃した。

最初の視察はロケットにしたかった

――知事公邸への引っ越しは落ち着きましたか。

鈴木 全然ですよ。いまはまだ広いリビングにぽつんとテーブルが1台あるだけで、そこで食事をとっています。

引っ越す前は小さなワンルームの部屋で生活していましたから、いまは逆に広すぎて、ちょっとさみしい光景になっています。我が家の愛犬は喜んでいますけれどもね。

――知事に就任してから早速、十勝管内大樹町のインターステラテクノロジズの宇宙観測用小型ロケット「MOMO」3号機打ち上げ実験を視察するため、4月30日に同町を訪れました。

鈴木 私が行った日は延期になりましたが、後日(5月4日)に打ち上げ実験が無事成功して、本当によかったです。

確かにこうしたプロジェクトには失敗のリスクがつき物ですが、今回のロケット打ち上げは未来志向的な取り組みです。私の政策公約でも宇宙関連産業の誘致を掲げましたから、知事就任後の一番最初の視察先にしたいという思いを持っていました。

――6月の第2回定例道議会には本年度の補正予算案が提出されますが、知事としてどのような政策に取り組んでいきたいと考えていますか。

鈴木 いま多くの人からご注目をいただいているのが「ほっかいどう応援団会議」の創設です。私は選挙期間中、道内外の力を結集することこそ、活力あふれる北海道の実現には必要なんだと訴えてきました。

――その応援団会議ですが、どのようなイメージを持てばいいのですか。

鈴木 北海道を愛し、ほれ込んだ人たちはたくさんいらっしゃいます。

例えば昨年の市区町村別の魅力度ランキングでは、函館市が京都市を抜いて1位になりました。多くの人たちが北海道をあこがれの地として認識しているし、応援したいという思いを持っています。

ただ、現時点では道にその思いを受け止める場所がなかった。ならば受け皿を新たに用意して、北海道を愛している人たちのすべての力を取り込んでいこうというのが、応援団会議の考え方です。

すでに179の市町村の中には、企業版ふるさと納税やガバメントクラウドファンディングに取り組んでいるところがあります。JR北海道の路線見直し問題を受け、地域で鉄路を守ろうという運動に対してお金を集めている自治体もあります。

また、十勝管内上士幌町のふるさと納税を財源とした子育て支援の充実化は、全国を代表するような事例の一つとなっています。

このような市町村と連携し、プロジェクトをしっかりと後押ししていくことも大事なことだと考えています。それを応援団会議でおこなうには、どのような制度やシステムがベストなのか。その検討を現在進めているところです。

暮らしを支える交通、物流を守る

――基幹産業である食と観光の振興にはどのように取り組んでいきますか。

鈴木 食と観光が北海道の経済を引っ張る大きな原動力になっていることは、誰も疑いようのないことです。そのすばらしいポテンシャルを引き出すため、先頭に立ってPRしていきたいです。

例えば来週には日ロ知事会議(5月13、14日開催)に出席するため、ロシア・モスクワに行ってきます。

また、その後もすぐに、札幌で試合がおこなわれるラグビーワールドカップや、後志管内倶知安町で開かれるG20の観光大臣会合があります。

ありがたいことに、このような絶好の機会はすぐ目の前に多くありますから、しっかりと私自身もプロモーションをおこなっていきたいと考えています。

――道政の喫緊の課題としては、先ほども話に出たJR北海道の路線見直し問題があります。どのように向き合っていきますか。

鈴木 この問題はいまに始まったことではありません。これまで北海道としてもいままで沿線自治体とさまざまな話し合いを重ねてきましたし、JRからも利用促進策であるアクションプランや中期経営計画などが出てきています。

一方でJR以外では、高規格幹線道路の整備や道内7空港の一括民間委託などの動きもあります。

この先数年間で変化する状況を俯瞰しながら、公共交通全体を再構築していく中で、鉄路の維持をどうしていくのか考えていく必要があります。

そこで大切になってくるのが、道民のみなさまの生活、経済を支える交通や物流を守るという観点です。その軸をぶらさずに、沿線自治体のみなさまがどのような思いを持っていて、鉄路維持にどういった行動を起こそうとしているのか、それを広域自治体としてどのような形でサポートできるのかを議論することが、問題解決に向けた道筋をつけていくことになると思っています。

――統合型リゾート、いわゆるIRの誘致についてはどのような考えを持っていますか。

鈴木 選挙期間中も多くの人たちから経済的にプラスになるから誘致を進めるべきだという声と、ギャンブル依存症をはじめとする社会的な影響を懸念する声をいただきました。

こうしたことを総合的に勘案した上で、道民目線で判断することが重要だという認識は、いままでと何ら変わっていません。

道としてはIRに関する有識者懇談会を開催し、まとめた「基本的な考え方」を先日発表させていただきました。国はIR整備法に基づく基本方針を今年の夏頃に出すとしています。そうした動きもしっかりと注視しつつ、遅滞なくIR誘致をどうするかの判断をしていきたいです。

国との連携には信頼関係が必要

――JRやIRについての議論をおこなう中心舞台となるのが道議会ですが、前知事時代のいわゆる“答弁調整”を問題視する報道が出ています。鈴木知事はこのことについてどのような認識でいますか。

鈴木 まだ私も道議会での答弁だとか、実質的な議会でのやり取りを経験していません。報道と前知事の主張が食い違っている部分もあります。ですから、まずは事実をしっかりと把握する必要があります。

その上で、道民のみなさまが「それはちょっと不自然だよね」という思いをお持ちになるのなら、議会のみなさまとどういった形が最も適切なのかについて、話をしていく。そのことに尽きるのだろうな思っています。

――選挙期間中から鈴木知事と首相官邸の距離の近さを懸念する声が出ていました。国のいいなりになるのではないかという意見です。このことについてはどう感じていますか。

鈴木 当たり前のことですが、道政というのは道民のみなさまのためにあるものです。その道民のみなさまに選ばれた道知事の役割は、簡単に言えば北海道がより元気になるために一生懸命仕事をすることです。

一方、北海道に住むわれわれは国民でもあります。官邸では国会議員の中から選ばれた代表が、内閣総理大臣として仕事をしています。当然、国民であるわれわれは、そこに必要なことを求めにいくわけです。

私は北海道が元気になることイコール国の発展だと思っていますから、国で用意しているさまざまな制度をしっかりと利用していこうと考えています。また、それが使いにくかったり、北海道として変えてほしい部分があれば、率直に訴えていきます。

ただ、お互いに何を考えているのかわからない関係性の中でそのやりとりをするのと、「鈴木直道というのはこういう人間だ」と理解してもらった上で話をするのとでは、物事の進み具合が全然違いますよね。

やはり北海道の政策を進めていくためには、国と信頼関係を構築した上で連携していくことが大事だと思っています。

=ききて/松田尚也=