札幌都心で民間最大。320床全てが個室 カレス記念病院が始動︎

社会医療法人社団カレスサッポロ(札幌市、大城辰美理事長)が運営する「カレス記念病院」が、4月に開業し、24診療科が本格稼働している。札幌都心部の民間医療機関で最大規模。前例のない発想で患者の立場を徹底して優先した道内医療の新拠点だ。
差額ベッド料無し。全床が完全個室
医療業界の常識を覆す新病院「カレス記念病院」(札幌市東区北6条東3丁目1番地1)は、JR札幌駅から徒歩10分。地上8階・地下1階。延べ床面積5万平方㍍(1万5125坪)で、内科や循環器内科など24の診療科を有する。病床数は320床。民間医療機関では札幌都心部で最大規模だ。
運営する社会医療法人社団カレスサッポロは、北光記念病院と時計台記念病院、ソフィア北円山クリニックなどの医療機関や介護老人保健施設、地域包括ケア拠点施設などを展開。2008年には公益性の高い社会医療法人社団として国内で初めて認定されている。
新病院は、同法人の中核施設だった北光記念病院と時計台記念病院を移転統合。「発想と工夫が集約されたインテリジェントホスピタル」をコンセプトに、全室個室、スパーセル看護方式、医療用ロボット×AIなどを積極的に導入した医療のイノベーションモデルを構築し注目されている。
院長として招聘された浅香正博医師は、北海道大学病院長や北海道医療大学学長を歴任。北海道大学医学部教授時代にピロリ菌感染胃炎の除菌方法を確立したピロリ菌研究の第一人者としても知られる。
浅香院長は「当院の大きな特徴の1つが、320床全てが全国的にも類を見ない差額ベッド代無しの完全個室であることです。広さは20平方㍍以上あり、トイレ、シャワーを完備したプライベート空間を確保。壁面モニターで遠隔診療も可能です。また、感染症対応として8階の陰圧エリアに18床を設置しており、専門医が常在。大学病院を含め道内最大の規模で、あらゆる感染症に対応する世界に誇れる施設です」と優位性を語る。
看護体制にも〝患者ファースト〟を具現化したスーパーセル方式を採用する。看護師や薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー、事務スタッフを病棟の各所に分散して配置、協働して患者に対応する方式で、看護業務の動線と患者の移動の無駄を省き、常時患者の傍らで見守り安心感を与えている。
手術室には、手術寝台と3次元画像ナビゲーション機能を搭載し、X線血管造影装置を組み合わせた「ハイブリッドオペ室」を導入。CTやMRI、PETなど最新の画像診断装置に加え、手術支援ロボットも2台導入している。
急性期医療に特化。 災害時の備えも万全
急性期医療に特化する同院は、隣接する「ダ・ヴィンチモール」に入居する別法人のクリニックとの病診連携が行われている。外来機能を担う各クリニックは、同院のCTやMRIなどの検査機器を使用できるほか、受付や会計の自動化など待ち時間を短くする仕組みが導入されている。
さらに特筆されるのが災害への備えだ。
近隣の北ガス中央エネルギーセンターから電気とガスの供給を受けているほか、必要な水を敷地内の井戸から浄水装置を通して確保。万が一の災害・救急時にも停電や断水の可能性は極めて低く、病院機能を失うことはない。
また、ダ・ヴィンチモール内のツルハドラッグとの提携により、店舗内の全商品を備蓄として使用することができるほか、多目的のカレスホールには酸素設備が完備されており、災害発生時には250人以上の患者を収容可能。災害時の拠点としての機能も備えている医療機関は全国的にも稀な存在だ。
浅香院長は「開院から約2カ月が経過し、認知度も徐々に上がってきました。JR札幌駅に近いため、道内各地から患者さんが来院しています。急性期病院として開院しましたが、医師を中心にコメディカルがチームを形成して患者さんの状態に応じて柔軟に対処できる究極の医療機関を目標としています。施設をはじめ医療従事者の技術や知識を最大限活用し、道内の医療環境の向上に寄与していきたい」と語る。




