ハッピー・ファム
IT支援とコーチングで多様な社会課題解決を目指す
2019年設立の「ハッピー・ファム」。五嶋耀祥社長は高専で情報工学と電子生産システム工学を学び、前職の会社で社内システムエンジニアとして数十万件の顧客管理やビッグデータ解析、システム開発などの業務でマネジメントに携わってきた。こうしたITスキルとコーディネート力やヒアリング力を軸に独立、同社を設立した。企業向けのネットワーク構築やシステム開発、ホームページ作成、SNS運用代行などのIT支援のほか、子ども向けプログラミング教室も運営している。
コーチング事業も展開し、AIやマネジメント、DX推進などの企業研修や、子育てや介護関連講座など幅広く開講する。フィンランド発の精神医療の手法「オープンダイアローグ」を応用し、対話を通した課題解決が特長だ。
3年前から宇宙関連事業も開始。衛星データの地理情報の活用で都市型課題の解決を目指す「RUNAiz」プロジェクトを立ち上げた。
「農業では衛星データを用いた生育管理や栽培適地の選定など活用が進んでいますが、都市型課題の解決にも生かせると考え、特に除雪のDX化に注目しています。効率化による予算の削減や、年配者や母子家庭への効率的な除雪ボランティアの派遣が可能になります。実用化に向けてデータの集約や分析を行うプラットフォームの開発を進めています。札幌市内にはソフトウェア企業が多くあるので、宇宙産業に興味を持ってもらい連携を強めることで、札幌市内IT業界の活性化にもつなげたい」と五嶋社長。
これまでに、札幌市や宇宙関連企業と協働して「宇宙・半導体事業における市内IT産業の可能性を探る」セミナーを6回開催。今秋からは衛星データの活用方法に関する企業向け研修も開始する。
また、五嶋社長自身は社会福祉活動にも積極的だ。育児の悩みをきっかけに「NPO北海道ネウボラ」を15年に立ち上げた。コーチング技術を生かし、妊娠から子育て期間まで包括的に子育て相談や訪問支援などを行う。24年にはこども家庭庁の「未来をつくるこどもまんなかアワード」で内閣府特命大臣表彰を受賞。取り組みに共感して設立した団体が道内5団体あり、ボランティアは70人まで広がっている。
「各事業は一見異なる分野に見えますが、ITと対話の力で暮らしやすさや福祉に貢献するための技術として一貫しています。今後もさまざまな社会課題の解決に向け事業拡大を目指します」と五嶋社長。
