建材物流の未来に向けて始動!サン建築が海上コンテナ輸送トランシスと提携
サン建築設計グループ(本社・札幌市、中村靖哉社長)が、海上コンテナ輸送を中心とする総合物流企業のトランシス(本社・千歳市)と提携。アライアンスを結び、建築資材物流の未来創出に向けて始動した。
物流価格の見える化で業界に風穴を
サン建築設計グループは、賃貸用RCマンションを中心に多彩な建築物の設計・施工を手掛ける大手建築会社。〝設計・不動産の総合商社〟として、商業・医療施設などのさまざまな建築物を供給している。
20年には「スミノイエ」でお馴染みのハウスメーカー「ホーム企画センター」(本社・札幌市)を傘下に収め住宅事業に参入。一躍注目を集めたことでも知られる。
創業は2006年。26年は20周年の節目を迎える。協力会社との強力なパイプにより独自の通年建築システムを確立。さらに安全衛生協力会(太陽会)を立ち上げ、工事の安全と衛生に配慮したさまざまな取り組みを行っているのも特徴だ。
RC造という資産価値の高い物件を集中的に提供していることに加え、こうした体制を構築したことにより業績は創業から右肩上がりが続く。年間70棟以上の賃貸用RCマンションを手掛けており、25年11月には累計棟数が1000棟を突破した。
業績は絶好調を維持しているが、一方で近年は建築資材が高騰している上、円安やエネルギー高、ドライバー不足により物流コストが増大しているのはどの業界も同じだ。なかでも建材の輸送費は、製造メーカーが商品価格に含めているのが長年の商習慣であり、特に道内建設業界にとって物流コストは削減しにくい領域となっていた。
そこで、海上コンテナ輸送のトランシス社と25年9月に提携。陸送と海上輸送の両面でのアライアンスを本格始動した。さらに「新千歳空港ロジスティクスセンター」内に、敷地面積約1000坪の物流センターも開設し、物流コストのさらなる抑制と建築資材の安定供給を目指している。
中村社長は「コスト高という背景もあるが、特に北海道は建築資材の輸送をメーカー物流に依存していることの影響も大きい。コスト上昇は天井が見えない状況だが、メーカーや商社、我々ビルダーが一体となってこの問題について検討し、価格を〝見える化〟することが必要。建材物流に風穴を開けて、道内の建設業界に貢献していきたい」とその意図を語る。
自前の水陸物流網で北海道と全国を結ぶ
一方のトランシスは1989年の創業。千歳市の本社を中心に道内外に7拠点を展開す総合物流企業だ。グループに内航コンテナ船を運航する横浜コンテナライン(本社・横浜)を持ち国内コンテナ貨物輸送も行っている。横浜港から苫小牧港間の東日本内航コンテナ船事業者国内4社の内の1社だ。
本来、各港のコンテナヤードの荷役は8~17時に限られるが、同社では港湾荷役業者しか所有していないリーチスタッカーを導入し、24時間の荷役サービスを行っている。千歳市内に4000坪、恵庭市内にも6500坪の大型物流センターも稼働している。
今回の提携によって、全国各地の建材メーカーで仕入れた建築資材は、関東エリアをトランシスグループ、東海エリアを山岸運輸(静岡県島田市)関西・四国エリアを丸栄運輸(高知県高知市)が、それぞれ陸路輸送により横浜に集約。横浜港から海上コンテナで苫小牧港に荷揚げして両社の物流拠点に運び、そこから各建設現場に運ぶという、BCP対策も備えた物流網の構築が整った。
トランシスの久保則之社長は中村社長と旧知の仲で、今回の提携を機に両社の取締役に相互就任するなど結束は固い。アライアンスに参画する意向を示している道内大手建設商社もあり、協業の輪は今後も拡大していくと予想され、物流検討会などを開催し門戸を広げていく方針だ。
中村社長は「現状を考えると物流業界の逼迫した状況が建設業界に波及するのはそう遠い未来ではない。物流との協力体制を構築することは、将来リスクを回避する大きなチャレンジです。北海道の物流の未来に向けて欠かせないものになると確信している」と語る。
道内に届けられる建築資材の物流網が確立することで、高品質の建材が安定かつ適正価格で道内市場に供給されるようになる。
中村社長は「当社が手掛ける賃貸マンションのオーナーはもちろん、住宅事業として展開する『スミノイエ』シリーズを希望する個人のお客様にも価格や工期の面で貢献できる。物流業界だけではなく、道内建築業の未来にもつながる一大プロジェクトです。本格化に向けて全力を注ぐ」と固い決意だ。