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集部日記

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2011-08-01 電力会社「やらせ」問題、そういえば北電でも…

九州電力の真部利応社長が先日、衆院予算委員会に出席し、辞任する考えを表明した。「やらせメール」問題の責任をとった格好だ。その後、中部電力が原子力・安全保安院からプルサーマル計画のシンポジウムでの「やらせ」要請を受けていたことも発覚。原子力ムラの常識を疑う事例が相次いでいるが、一連の問題で12年前のことを思い出した道民もいるのではないか。

当時、北海道電力は泊原発3号機の建設を計画。それに伴い道は道民の意見を聞く集会などを予定していた。そこで北電はグループ会社、知人、友人に対し、原発の必要性を訴える賛成工作を依頼した。手法は九電のケースと酷似しており、賛成意見のひな型を用意したり、意見募集への投稿や聴取会への動員に数値目標を定めたりした。

こうした賛成工作が発覚した当初、北電は「(原発)理解者への支援のお願いは事業者として当然のこと」と反応。ところが、批判が高まり、最終的には泉誠二社長(当時)が陳謝した。すでに週刊誌が各電力事業者が同様の行為をおこなっていたと関係者のコメントで報じているが、北電にも“前科”があったわけだ。

なぜ電力事業者がこうした行為をするのか。当然のこと、原発を推進したいからであるが、こんな意見もある。「反原発の団体が動員をかけている。そうすると出席者の市民の意見が偏る可能性がある。だから、電力事業者も動員するんだ」と。

昨今、市民の声を聞くと称し、事業をやる、あるいはストップするといった判断の際、集会や公聴会が開かれることが少なくない。しかし、こうした意見表明の場に参画する人は大衆の一部に過ぎない。また、ネットを活用したパブリックコメントという手法を導入している自治体も少なくないが、意見応募の件数が多数に及んだという話をとんと聞いたことがない。そもそもパブリックコメントという言葉をどれだけの市民が知っているのだろうか。 

サイレント・マジョリティという言葉がある。意見表明をしない多数派と訳される。意見表明をしない理由はさまざまだろうが、東京電力福島第1原発事故を契機に沸騰しているエネルギー問題は、素人目に見ても今後の日本を大きく左右する課題であることは間違いない。「沈黙は金」ではないだろう。(野口晋一)