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集部日記

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2014-03-16 リーダーシップ論

東日本大震災から丸3年が経過しました。この国はあれほどの禍に見舞われたにもかかわらず、何も変わることができませんでした。本当に絶望したくなるような国だと、いまさらながら再認識しています。

まずは原子力発電の問題。政権が民主党から、もともと原発推進の自民党に移ったのですから、脱原発は望むべくもありません。国民は(国民とひとくくりでいうより、一部の国民といったほうがいいでしょう)自民党を勝たせてしまったのですから、当然の帰結です。自ら考えることを放棄し、大手マスコミの誘導に乗ってしまう国民は、愚かだというほかありません。

そして、震災復興に名を借りた公共事業の大盤振る舞い。せっせと海岸線に巨大な防波堤をつくっています。そこに人が住もうが済むまいが関係ありません。こんなものをつくって津波が防げると思っている人はどれくらいいるのでしょうか。そんなものを何兆円もかけてつくる。自然環境を滅茶苦茶にしてまでつくる。まったく20世紀型の土建国家に逆戻りです。

こんなことに税金をつぎ込んでいるのですから国の借金が1000兆円を超えるのも当たり前です。消費税を上げたところで、財政再建にはまったく寄与しないでしょう。ここまで財政を悪化させた責任は、いったい誰がとるのでしょうか。

国会議員も霞が関の官僚も責任などとりません。この無責任体質には呆れるばかりです。いまの若者、そして子どもたちも、そんな大人たちを見ているのですから、責任感を持った人材など出てこないのかもしれません。国がダメになるというのは、こういうことなのでしょう。自ら決断することなく、ふらふらと漂っているだけ。大勢に流される、外からの圧力に従う、信念もない……。自分で決めないから責任もないと思っているのかもしれません。しかし、その責めは最終的に自分に降りかかってくる。いまの日本人には、そこの想像力が著しく欠けているのだと思います。

3月15日発売の4月号では「地方の実力」という特集を組んでいます。道内の地方都市を徹底検証するという企画です。弊誌は北海道を中心に半世紀以上、月刊誌を出し続けていますので、同じような企画は何度となくやっています。まさに栄枯盛衰。時代とともにまちの様相も変わります。だから時期を見てやり続けなければならない企画の1つです。前回は1990年代でしたから、十数年ぶりの調査記事となります。

その第1回は室蘭市を取り上げました。札幌にいると本当に地方の実情は見えなくなります。その疲弊の有り様は想像を超えています。室蘭もかつては「鉄のまち」として隆盛を誇っていた時代がありました。ピーク時(1969年)には18万人を超えていた人口も現在は9万人です。45年で人口が半減するというまちの現状はどうなっているのか。そこから見えてくるものは何なのか。ぜひお読みいただければと思います。

この欄でも何度となく言っていることですが、北海道は日本国の中に組み込まれている限り、発展はないと思います。苦しくても困難でも自主自立の気概を持たなければなりません。いいえ、もう持つだけではダメで、実行に移さなければなりません。残された時間はそうないと思います。

やはり1つの転換点は来年4月の北海道知事選でしょう。わずかこの4年の間に、日本を大きく変えられるチャンスは2度もありました。先の通り1つは2009年の政権交代、そして3・11です。しかし、何も変わらないどころか、逆に悪くなったようにさえ感じます。私たちは何度も失敗してきていますが、次こそはこの教訓を生かさなければなりません。チャンスというのは、そう何度もあるものではありません。それを逃すと状況は悪化するものなのです。

そもそも、何かを変えるということは、ものすごくエネルギーのいることです。体制を維持するほうがずっと楽だからです。かなりの“突破者”でなければ変えられないところまでこの国はきているのです。でもヒントはいくらでもあります。これまでさまざまな分野の人が日本の未来、北海道の未来を指し示す論文の数々が世界中にあります。それを吟味し、理解し、咀嚼し、再構成する。“いいとこ取り”をすればいいだけです。なんて簡単なんでしょう。

あとは実行力のみ。やれるものなら私がやりたいくらいですが、自分の“分”はわきまえています。よほどリーダーには向かない性格だということもわかっています。その能力がないこともです。この仕事をしていてよかったと思えるのは、さまざまな分野の人に会って取材ができ、その際、取材者と対峙することで自分を客観視できるということです。自分の欠点が、その人を通すことでよく見えてくるのです。もちろん自分のことですから薄々は気づいているんですよ。それがはっきりと認識できるのです。

出世できる人は2つのパターンに分かれると思います。1つは口のうまい人。だいたいは自己顕示欲も強い。よくいえば愉快な人です。世渡り上手な人。これは才能です。頭の回転が速いということです。仮に学校の勉強などできなかったとしても、頭は非常にいい。自分にはない才能ですから、とても尊敬します。口下手な人がいくら訓練しても愉快な人間にはなれません。センスの問題です。

もう1つは、周囲の評価を気にしない人だと思います。やはり自分の信念に基づき行動する人は強いです。自分が納得する仕事なり、行動をする。評価など2の次ですが、世の中、見ている人は見ています。お天道様は、善行も悪行もすべてお見通しなのです。その結果、自分が意図しなくても誰かが引き上げてくれます。

ただ、得てして後者はリーダーシップには欠けます。そもそも周囲をあまり気にしないのですから当然といえば当然です。そこに準備不足も重なれば、かなり厳しい状況になります。リーダーになろうという人は、日頃からなったときのためのシミュレートをしておかなければなりません。何かを変えようと思えば、チャンスは自分がリーダーなったそのときしかないのです。時間をかけずに矢継ぎ早に変革する。もちろん、抵抗は想像を絶するものがあるでしょうが、時がたてばたつほど抵抗は増していきます。結局、変革はできなくなります。だからこそ、そのチャンスを逃してはいけないのです。そのためには日々研鑚し、緻密なシミュレートを繰り返し、きたるべき時に備えておかなければなりません。民主党政権は、それができていなかったということに尽きます。懺悔しますが、私もできていませんでした。

次回は、人の育て方の難しさについて、したためたいと思います。「財界さっぽろ」4月号は好評発売中です。お早めに書店、コンビニへ。(鈴木正紀)