アスリートインタビュー

北海道コンサドーレ札幌

【砂川誠のコンサの深層】再起を目指す荒野拓馬選手が語った“大ケガの瞬間”

スネがくるぶしのところまで…

 砂川 11月21日の清水エスパルス戦(第28節・札幌ドーム)で試合中に大ケガ(左腓骨骨折および左足首靱帯損傷)を負って退場。どういう状況だったの?

 荒野 前線からドリブルで切り込んで抜いたら、後ろからタックルが来る、とわかって、避けようとしたら足を刈られてしまって。自分でもすぐに痛いと思って左足を見たら、くるぶしがスネのところまで来ていた。近くにMF駒井(善成)選手がいて、それを見たんでしょうね、カメラに撮られないよう体で隠してくれて。エスパルスの選手もみんなで囲んでくれました。

 砂川 荒野のうめき声が、静まりかえったドームに響いていたと聞いているけど。

 荒野 もう「アー!」という声しか出せない。痛いのもあるけど、自分の足がすごい状態になっていて、それにびっくりした。足もそうだし、今年はこれで終わりだ、とかいろいろな思いが、声になってしまって。

 砂川 11月25日に手術をしたそうだね。

 荒野 頸骨は折れていないけど腓骨は折れて、それをつなぐ靱帯が完全断裂。三角靱帯も断裂していました。骨をプレートでつないで靱帯を2カ所縫合する手術をしましたが、術後1、2日はすごく痛くて……。でも回復力が早いと言われて、明日(収録は12月1日)退院。2、3週間は入院と聞いていたのですが。

©財界さっぽろ

 砂川 拓馬のインスタグラムでも見たけど、ケガの原因になった選手(清水エスパルスMFヘナト・アウグスト選手)が試合後、謝罪に来てくれたんだってね。

 荒野 はい。ハーフタイムと試合後の2回、控え室に来てくれて、謝りたいと。実際話したら彼も謝罪の気持ちからか泣いていて。ボールを獲れると思ってスライディングしてきたのだろうから、まさかそんなケガになるとは、と思ったようで。

 砂川 悪質ではなかったようには思ったよ。荒野の足の状態も見ているだろうし。

 荒野 彼も19年シーズンに腕を骨折して長期離脱したことがあるようで「痛みや辛さは自分もよく知っているから、ケガをさせてしまって申し訳ない」と。スライディングにいかなくてもいいタイミングだったということも話していた。自分もチームは勝ったし試合後だったし、痛みはあったけど落ち着いていたので「獲れる時は俺だってタックルもいくし、これはしょうがないよ」と伝えました。それと「俺が復帰したらまた戦おう」と。

 砂川 拓馬に対しては、SNSでも励ましの言葉がいっぱいあったね。愛されてる(笑)

 荒野 スナさんもそうですけど、自分にかかわってくれた方であったり、サポーターの方々からたくさんメッセージをいただいたので、確かに愛されているのを実感しました(笑)。それとともに、早く復帰したいという思いも強くなりました。

 砂川 復帰後はさらにパワーアップした荒野を見られるね。どのくらいでいけるの?

 荒野 一応4~6カ月と言われていますが、ゲームに参加できるようになるまで半年くらいでしょうね。順調にいけば21年シーズンの6~7月くらいになるのかなと思います。(構成・清水)


……この続きは本誌財界さっぽろ2021年1月号(12月14日発売)でお楽しみください。


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1993年4月20日、札幌市生まれ。180センチ・72キロ。小学2年からサッカー少年団でプレー後、中学1年でコンサU―15入り。U―18昇格後チーム最年少記録となる17歳187日でJリーグデビュー。2012年、トップチームに加入。背番号27。