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集部日記

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2013-02-15 「北海道・沖縄・台湾国」

職業柄、地方へ旅することも少なくありません。「流れ流れて、さすらう旅は、今日は函館、明日は釧路……」(冠二朗=旅の終わりに)と歌の文句ではありませんが、こんなハードなスケジュールも時にはあります。JRにしろ、車にしろ、札幌から離れていくにつれ、実感するのが地方の疲弊です。人通りのない寂れた姿。活気はなく、よどんだ静けさだけがまちを支配している。

昨年の晩秋、私は故郷にちょっとだけ立ち寄る機会を得ました。上川管内音威子府村。30年前、故郷を離れるときの人口は、まだ2000人はいました。それが今では800人。この30年で6割も減ったことになります。尋常ではない減り方といえるのかもしれません。私の生家は市街地から5キロほど離れた「咲来」という地区です。午後6時くらいだったでしょうか。稚内からの取材の帰り、ちょっと寄ってみたのです。たぶん、15年ぶりくらいの帰郷でした。

国道40号を右折。秋の日暮れは早く、すでに夜のとばりに包まれていました。薄暗い街灯がポツリ、ポツリ。かつてのメーンストリートには家もまばらでした。あったはずの食堂も、商店も、理容店も、農協も、郵便局もありません。明かりを失った廃屋だけが無言でたたずんでいます。ゆっくり車を走らせますが、人っ子一人いません。まだ午後6時です。言いようのない、いたたまれない気持ち、胸がキューンと締めつけられるような息苦しさ、怖いほどの寂寞……。私はあきらかにうろたえていました。

小学校のシンボルだったミズナラの大木を切り倒し、校舎も取り壊してつくられた、まったく意味があるとは思えない天塩川の堤防に車を止め、まちを見ました。たしかに民家におぼろげな明かりは灯っています。でも音も動きもありません。限界集落。そんな言葉が頭をよぎりました。

それでも気を取り直して、地元唯一の観光施設といってもいい「天塩川温泉」に向かうことにしました。街灯もない真っ暗な道を、記憶を頼りに走らせます。ヘッドライトが照らす道は「こんなに狭かったっけ」と思わせるほど、貧弱で心もとないものでした。辺りは農地のはずですが、夜の闇で何も見えません。鼓動が早くなります。漆黒の山の麓に遠く明かりが見えました。でも、とてもたどり着く気力はありません。私は国道40号に戻るべく、途中でハンドルを左に切りました。ルームミラーに映る、変わり果てた故郷に別れを告げ、アクセルを踏み込みました。

誰がこんな風景をつくったのでしょうか。私の故郷だけではありません。日本中に数え切れないほど似たような景色があるはずです。とくに北海道はその数が多いと思います。もちろん、人口減少は国全体の問題です。しかし、世界的に見れば人口は爆発しています。人口減少が一概に悪いとは思いません。私はドイツに何度か行ったことがあるのですが、小さな町でも自立した地域はたくさんありました。要は、やり方なのだと思います。

つい150年前まで、北海道には自立するための財産が山ほどありました。まさに北海道という島全体が“宝島”だったのです。それが恐ろしいほどのスピードで破壊され、収奪されていきました。国の拓殖政策に徹底してつき合わされたのです。地域を統治する首長たちは、国から降ってくる金だけを頼りに、なんら自立のための知恵を出してきませんでした。それは経済界も一緒です。その結果こそが、哀れな今の姿なのです。にもかかわらず、安倍政権になって「公共事業が増える」と喜んでいる経済界トップが実際にいるのですから、あきれるどころか怒りすら感じます。彼らにはまったく長期的なビジョンがありません。将来の子どもたちにどんな北海道を残したいのか、残すべきなのか、まったく考えが及ばないのです。無責任にも程があります。

すでに多くの人が提唱している北海道独立。私も以前からそれを考えていました。これしかないと思いますし、もうひとわく広げて考えています。「北海道・沖縄国」です。北海道と沖縄が1つの国になり、日本から独立するのです。世界から見ても最強の地域になると思います。独立の際、一番問題になるのがお金かもしれません。でもこれは何とでもなります。なければないなりにやればいいだけですから。最大の懸案は国防でしょう。

でも北海道・沖縄国は「不戦宣言」をします。日本国が憲法を改正するというなら、現憲法を丸々もらいましょう。沖縄の米軍基地。もう日本ではないのですから、出ていけということも言えるでしょうし、アメリカの戦略上どうしても必要だというのなら、地代を払ってもらえばいい。場合によっては、米軍の一部は北海道に来てもらうことも考えなければならないかもしれません。幸い、道内には閑散とした空港がいくつもあります。そこへの移転は考える余地はあると思います。

私が最近考えるのは台湾も一緒にすることです。北海道はアイヌの土地、沖縄は琉球王国、もともと日本ではありません。台湾も中国ではありません。沖縄と密接な関係にあります。ここは「北海道・沖縄・台湾国」として独立するのはどうでしょうか。各空港からの沖縄・台湾便は国内線です。日本国の法律にしばられない(本来、いまだってそんなに縛られているわけでもなく“官僚の法解釈”にしばられているだけだと思います)、それぞれの地域にあった新たなルールがつくれます。それによって海外の英知も呼び込むことができます。拡大するしかない資本主義経済の行き詰まりは誰の目にも明らかです。そうではない価値、思想が「北海道・沖縄・台湾国」でつくられれば、ブータンや北欧を越える国は十分にできます。またつくれます。

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