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サスティナビリティ(19) クリーンテック革命で北海道の再生を-(4)
Cost(クリーン・エネルギーのコスト)-2
更新日:2008年04月30日

    

 本ブログで昨年12月に3回にわたり連載した「巨大風車の列と風力発電」の中で、“オロロン街道添いにウインドファームを”と提言したが、再生可能自然エネルギーの中で風力発電は最も北海道に適したものだと思う。
 風力エネルギーは1990年代の半ばに登場し、1995年から2007年の約10年間で、世界の累計風力発電容量は5,000MW未満から94,000MWへと約20倍に近い伸びを示している。さらに、2012年には240、000MW(1、000MWの原発240基相当)への拡大が予想されている。このような動きが世界で見られる中で日本の取り組みの遅れが一際目立っている。北海道電力によると、2006年度の風力発電は全体の僅か1.3%に過ぎない。
 2004年には世界で8位だった日本の風力発電容量は、昨年13位に後退。加えて耐震設計疑惑に伴う建築認可の遅れで、2008年は計画中の風力発電の建設に大きな遅れが出ている。風力発電における世界での日本の地位が下がることは確実である。現時点でも、日本の風力による発電は、風力発電先進国のドイツの僅か7%に過ぎず、大きく遅れを取っている。
 実際には、三菱重工など世界に誇る技術を持っているにもかかわらず、海外への輸出が中心で、足下での国内利用が進んでいないという“ねじれ現象”が起こってしまっている。現在、風力発電設備の大手メーカーは、米国のGE(ゼネラルエレクトリックス)、デンマークのヴェスタス・ウインド・システム、スペインのガメ等が全体の6割を占め主導権を握っている。環境技術では世界をリードしているといわれてきた日本メーカーは、国内需要の低迷もあり、今後国際競争力を失う恐れがある。
 足下での国内風力発電設置が低迷している原因として挙げられるのは、「新エネルギー用特別措置法」で電力会社が購入するよう義務付けられている風力発電の調整義務量がそもそも圧倒的に少ない点である。また、海外の再生可能エネルギー推進国では、地域風力発電会社等からの電力買い入れ金額を高く設定して支援しているが、日本ではほとんど考慮されていないことも挙げられる。

 しかし、今後外的要因により、これまでの上記のような状況は変化していく可能性が高い。その理由として、
 ■第一は、コスト面での有利性で、前号で述べたように火力発電用石炭価格は2年間で2.25倍になり、今後上昇が続くと想定される一方で、風力発電では1基当たりの発電出力が増強されており、またタービンや制御システムの革新が進められている。
 ■第二は、電力会社に対する国内外からのクリーン・エネルギー使用要請圧力の強まりによる、電力会社の風力発電電力の買い入れ率上昇である。ドイツ、デンマークでは全電力の15%を風力で賄う方針であり、他の国々でも同様な目標を掲げようとしている。これら各国の利用実績から風力発電の安定性と経済性が実証され、国や電力会社も買い入れ率を高めることになるだろう。
 ■第三は、新たな事業として、ベンチャーキャピタルをはじめとする風力発電への大型投資の開始である。本年3月、三菱商事はグリーンパワーインベストメント等と200億円の風力発電特化ファンドを設立した。資金供給とともに、立地、許認可手続き、環境調査、電力会社への送電接続、および機器調達の指導も行うとのことである。G.E.をはじめとした世界の大型ファンドは一斉にクリーンテックに対する投資を増強している(次回以降に詳細を記載の予定)。
 ■第四は、北海道洞爺湖サミットでCO2排出の総量規制が決められ、議長国としての日本はクリーン・エネルギー採用の明確な方針を打ちださざるを得なくなるという状況によるものである。

 上記のような状況が想定される中、繰り返し述べるが、風力発電に適している北海道のプレゼンス向上の道が開ける可能性がある。北海道の日本海沿岸地帯は風が強く、地域経済の沈下で土地の取得も比較的容易であり、また機材を運搬する上で整備された港が何カ所もある。この地域の沿岸線および海上に中小規模のコミュニティ風力プロジェクトが多数設立されることによって、地域経済の活性化が推し進められ、化石資源利用減少によるCO2排出量の削減にも寄与する。またクリーン北海道としてのイメージを高めることになるだろう。

「オロロン街道沿いにウインドファームを」は決して夢物語ではない。