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サスティナビリティ(25)クリーンテック革命で北海道の再生を-(10)
China(中国、インド等新興国で急増する資源需要)
更新日:2008年06月30日

    

 2007年度の調査推計で、ついに中国は米国を抜き世界最大のCO2排出国になった。一方で、専門家によると、この大気汚染の結果、都市部で毎年30万人が死亡、64万人が入院していると伝えられている。酸性雨、黄砂、食品に含まれる農薬など、日本への影響も大きな懸念材料になっている。中国の今現在の最大の問題は大気汚染と飲料水であり、一昔前、1960年代に日本で発生した水俣病や四日市ぜんそくの悪夢が思い起こされる。
 このような事態を中国政府も深刻に認識し始め、本年3月には環境保護省を設立し以下のようにさまざまな手を打っている。
 まずクリーン・エネルギー分野では、旧型の小規模火力発電所を次々に閉鎖し、再生可能エネルギーへの転換を進めている。2006年にはクリーン・エネルギーに対する国家的実現目標を達成するために、15年間にわたって1,800億ドル(18兆円)を投資することをコミットした。
 「第一次5カ年計画」で省エネや汚染物質削減の数値目標を設定し、2007年時点で1,000万キロワット相当の火力発電所を閉鎖し、2010年までにさらに4,000万キロワットを火力発電から切り替える計画である。その代替として風力発電に力を入れ、2007年には米国に次ぐ風力発電施設を完成している。
 また、太陽熱発電においても、サンテックが京セラをしのぐ勢いで成長し、世界4位となるなど中国企業が活躍しているほか、世界の大手企業も積極的に参入している。中国は、2010年までに大型水力発電を除いた再生可能エネルギーを60ギガワットまでに拡大し、2020年には120ギガワットとする計画である。目標が達成された場合、2020年段階でクリーン・エネルギーの総エネルギーに対する比率は10%にまで上昇する。
 さらにCO2の森林吸収に関し、胡錦濤主席は2007年度APEC(アジア太平洋経済協力会議)で「森林経営・再生のネットワーク」設立を提案し、2007年時点18.2%の森林面積(日本は67%)を2010年には21%に拡大するという計画を発表した。
 その他、水資源確保のための飲料水濾過技術、ハイブリッドカーや電気自動車技術においても先進国に追いつこうとしている。
 このように、中国は国の威信をかけ環境の改善と温暖化ガス削減に取り組んでおり、そこに膨大なビジネスチャンスが生まれようとしている。先進的環境技術を持っている大手企業及び国は、我先にとばかり積極的姿勢で中国進出と技術供与を争っている。事業での収益はもとより、環境事業でもたらされる排出権を自社・自国に有利に取得しようとするものである。
 では、この中国の動きは、北海道にとってどのような可能性を秘めているのだろうか。
 第一の鍵は、飲料水である。環境分野における新興国の最大の問題点の一つは、新鮮かつ“おいしい水”の不足である。地下水の取水過多で水資源が枯渇しつつあるのに加え、今後十数年で都市生活者の急増による極度の飲料水不足が想定されている(中国の場合、2020年までに4億人を地方農村部から都会に移す計画で、この数は毎年札幌市の15倍に相当する人口を移動させるに等しいものである)。真水化テクノロジーによる海水の利用や循環型の水資源再利用で通常必要とされる生活用水はまかなえたとしても“おいしい水”の供給は無理であろう。ここに、北海道の雪解けの湧き水を提供したとすれば、豊かになってきている中国やロシアの都市生活者に大いに喜ばれることになる。すでに“奥尻の水”は大いに受け入れられていると聞く。大雪や暑寒の雪解け水、石狩・小樽・苫小牧・函館・留萌にある整備の行き届いた港、大陸への至近距離、北海道は水資源提供の最適の地ではないだろうか。今後利用が減少すると思われるタンクローリー車、タンカーを転用できればローコストのオペレーションも可能になるだろう。
 第二は、CO2森林吸収の技術移転である。中国のみならず、新興国は過去の伐採を反省し、森林資源の経営と再生を計ろうとしている。もちろん、排出権を望む国外企業の進出を狙ってのことと思うが、この分野は北海道の得意とするところであり、過去数十年にわたって実績を積み重ねてきている。この経験から得た技術の提供と指導(もちろん有料)をするほか、植林地域に合った最適の種苗・苗木の販売も大きなビジネスになる可能性を持っているだろう。さらに、森林運営・再生の研究施設をつくり、毎年数百人の新興国の人たちに北海道で実地に学んでもらう(もちろん、研修費・宿泊費は有料)ことも考えられる。森林経営・再生の他、セルロース系植物(非穀物)のバイオ技術、農業技術においても同様なことがいえる。
 第三には「環境北海道」をテーマとした観光客の誘致。新興国の急速な成長により、中流層・上流層の人口が増えてきている。収入が膨らんだ彼ら(彼女ら)の関心はオーガニックをはじめとした安全・安心かつおいしい食品、健康な生活、そして心が洗われる豊かな自然ではないだろうか。「北海道・洞爺湖サミット」は、そのようなイメージを彼らに与えるのではないかと期待している。北海道を訪れた人達は、道産の食材・“おいしい水”、道民の生活(住宅・衣服、レジャー)を経験し、それらが帰国後もあこがれとして残り、自分たちの生活に取り入れようとする人たちも少なくないのではないだろうか。道産品の認知度を高め販売する大きな機会である。
 第四には「クリーンテック」周辺技術の提供である。数十億の人口を持ち、環境汚染と資源の確保に苦しんでいる新興各国は一方において巨大なマーケットであり、クリーンテック関連の製造業や投資家は膨大な可能性を持つ事になる。風力、ソーラー、飲料水の濾過装置、ガス排出を抑制する自動車などのメーカーはすでに中国マーケットで現地企業とジョイントベンチャー形式や他の提携方式を採って参入している。この膨大なマーケットに北海道の企業が直接関係することは難しいとしても、その周辺技術や原材料を提供することでこの巨大マーケットに参入出来るのではないか。例えば、北海道の広大な土地と豊かな工業用水・有利な位置関係を利用したソーラーパネル用の部品、風力発電タービンの組み立てと輸送、電気自動車の部品やテストコース(寒冷地用)なども可能性を秘めている。
 もちろん、これらは自国である日本国民・日本国においても同様のビジネスチャンスは存在していると考えられるが、それ以上に、メガマーケットでのビジネス獲得による北海道経済の発展、ひいては日中関係改善への貢献機会として、ひとつでも本腰を入れて取り組むことから始めてはどうだろうか。