「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > 社長ブログ > 2025年(8)  2010年~2014年 「日本は更なる失われた5年間へ」(4)

長ブログ

このエントリーをはてなブックマークに追加

サスティナビリティ(117)
2025年(8)  2010年~2014年 「日本は更なる失われた5年間へ」(4)
更新日:2011年05月02日

    

 「想定外」という言葉を何度聞いたことだろう。想定外のマグニチュード9.0、想定外の震度7プラス、想定外の津波の高さ等々。莫大な予算を使っている地震予知システムも、高さ9メートルの防波堤も、安心で安全な原子力発電神話も、ロボット技術先進国も、全て脆くも崩れ去ってしまった・・・。言葉に表せない無念さと無力感を感じている。何と自然の猛威はおそろしいものか。自然に対し、人間は何と無力で傲慢だったのだろうか。
 このような大きな存在である自然に対し、今、人為的起源による地球温暖化がさらにその勢いを増して進んでいる。今回の大震災で忘れ去られているが、今後予測される地球温暖化に起因するさまざまな自然災害は、数十年にわたって人類にとって大いなる驚異となるだろう。これらが発生してから、「想定外」と片付けるわけにはいかない。何せ人為起源の災害なのだから。

 2010年~2014年の5年間、地球温暖化はどのような形で災害をもたらすのだろうか。そしてそれら災害は人類の生活や経済にどのような影響を及ぼすのだろうか。
“為替を中心とした経済競争力の推移”“社会・経済の動向”“日本に大きく影響をもたらす主要国や地域の動向”に続き、地球温暖化の影響について見ていきたい。

 米国海洋大気局の発表では、2010年は世界中で記録的に高い気温の年であった。大気中に含まれる人為起源による温暖化ガス濃度の上昇に起因し、その影響が続いていると結論づけている。調査によると2010年の世界の平均気温は20世紀平均より0.62度高くなったそうだ。陸地は0.96度と2005年と並んで過去2番目となり、海水面温度は0.49度高くなり、これも過去3番目の記録である。
 世界の年平均気温は1880年から記録されているとのことだが、2000年から2010年の11年間の平均気温は、過去30年の中で全て上位15番目に入っている。間違いなく年々、世界の気温が急激に高くなっており、このまま推移すると「ノーリターンポイント」である産業革命時点と比べて2度上昇も避けられなくなってしまう。
昨年(2010年)は世界的な温暖化により各地で熱波・干ばつ・洪水・森林火災が発生したが、今年に入ってからも異常気象は続いている。オーストラリア東部の大洪水、欧州での100年ぶりの大寒波、インドで100人が亡くなった低温、ブラジルの豪雨による河川の氾濫など、枚挙にいとまがないほどである。日本にも寒波が押し寄せ、名古屋や九州の平野部にも積雪があった。またこの春、九州では渇水で田植えに必要な水が極端に不足する状況になっている。
これら異常現象は、南米ペルー沖の海水温が上下することで発生する気流の変化で、エルニーニョ・ラニーニャ現象のせいであると言われている。2009年冬から2010年春にかけてのエルニーニョは欧州・北米・中国・韓国・インドに記録的な大寒波をもたらし、2010年夏から発生したラニーニャで日本は猛暑になり、熱中症で多くの方が亡くなられた。
 気象庁は既にラニーニャは終息に向かい、今年(2011年)の夏は昨年ほどの暑さにならないだろうと想定している。しかし、記録されている1949年から2011年の62年間で、エルニーニョは15回、ラニーニャは16回と交互に発生しており、複数年続く場合もある。記録をみると、実に62年間中60年もエルニーニョ・ラニーニャ現象が発生している。つまり、これら現象は“常態化”しているのだ。さらに、海水面温度が年々高くなっており、エルニーニョ・ラニーニャの勢いはますます強くなっている。現在のラニーニャは1970年以降で最も強いものであり、2011年を通じて続き寒暖の差が激しくなるだろう(田中筑波大学教授)との意見もある。
 エルニーニョ・ラニーニャを始めとした地球温暖化に起因する異常現象は、干ばつ・大洪水・森林火災・害虫発生・異常気温をもたらし、食料品生産に打撃を与える。2010年6月から大豆50%、小麦90%、トウモロコシ100%以上と穀物価格は止まることなく上昇している。投機資金の流入による部分があるが、新興国の需要拡大と天候不順が大きな部分を占めている。食料品の不足と高騰は、所得格差の中で暴動の引き金を引くことになり、チェニジアに端を発した北アフリカの暴動も食料品不足がその原因ともいわれている。2014年までの間、抜本的地球温暖化防止策が講じられなければ、食料・資源の不足により世界各地で大混乱が生じる恐れが高い。
 昨年(2010年)12月COP16(第16回国連気候変動枠組み条約締結国会議)がメキシコのカンクーンで開催された。この会議こそが地球温暖化防止を世界各国が一丸となって取り組む場であるはずだが、先進国と新興国の歩み寄りはみられず、また「「ポスト京都議定書」での進展も見られなかった。次回のCOP17は南アフリカのダーバンで今年12月に開催されることになっているが、ここで新たな温暖化防止の枠組みが決められることはないだろう。2012年に「京都議定書」の第一期間が終了するが、決められた削減枠を達成するのは、ほぼ無理である。さらに日本も、東日本大震災で福島原発が壊滅的打撃を受けた結果として、電力に占める化石燃料の比率が高まることになり、CO2排出量6%削減の約束は守ることは出来ないと予想される。
 COP16では、産業革命以前と比べて世界の平均気温を2度以内の上昇に抑えるとの約束を決めたが、何ら抜本的対策が世界的に打たれることなく、2020年を待たずに「ノーリターンポイント」の2度を上回ることになるだろう。

 本ブログでは2010年4月から8月にかけて「地球を激変させるティッピングポイント」を連載したが、ここで取り上げたティッピングポイント(激変の臨界点)は以下の8項目である。
1.アフリカ チャドからの砂塵
2.アジアのモンスーンの突然の変化
3.エルニーニョ・ラニーニャ現象
4.メキシコ湾流の変化
5.北極海の海氷・南極大陸の氷床の融解
6.海底堆積物に含まれるメタンハイドレードの放出
7.海洋のCO2吸収力の退化
8.アマゾンの熱帯雨林減少

 これらの異変が同時に発生することはまず無いだろうが、その兆候が2014年までの期間に一部現れてくるのを心配している。
 北海道の資源である「風・林・水・菜」が大いに役に立つのがこれからである。2010年~2014年の5年間に、北海道民は総力を挙げて集中的に取り組む必要があると考えている。次回は「北海道が取り組むべきプロジェクト」につき、私案を披歴したい。