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サスティナビリティ(123)
2025年(14)2015年~2019年「世界的経済混迷の5年間」(3):海外編-2
更新日:2011年08月01日

    

 今でも東日本大震災のテレビ画面を見ると目頭が熱くなる。地震・津波・原発事故を報じる悲惨な情景が脳裏に深く刻まれているためなのだろう。一方、先日発生した中国高速鉄道の衝突事故でも悲惨な映像を映し出していたが、「なぜこんな人為的事故が」という思いが先に立つ。国威発揚を急ぐあまりの短兵急な設計・開発・検証、低い技術練度、製造を含めた鉄道省の唯我独尊的独占体質、賄賂による手抜き工事、乗務員の訓練不足等々、事故原因に関する様々な報道がメディアの紙面をにぎわせている。現在、中国が抱える問題点が凝縮しているような事故なのだろうか。
ただ、私自身今回の事故で大きな関心を持ったのは、政府や鉄道省に対するごうごうたる非難がネットを通して中国内に行き交っていることだ。中国版ツイッターのウェイボーには1億9千万人の参加者がおり、総ネット人口は4億8千万人に及んでいる。今回の事故で、当局はネット接続を切断することなく非難の声をそのままにしている。というよりも、それらの声を抑制することは、もはや不可能だったのではないだろうか。ここに、2015年以降の中国民主化への大きな変化を感じられる。

現在4億8千万人のネット愛用者は主に若者中心で、いわゆる“ひとりっこ”政策の中で成長してきた。大事に育てられてきた半面、主張が強い世代といえるだろう。彼ら(彼女ら)の生活する環境は極めて厳しくなってきている。

・大学を出ても希望する職場を見つけることはできない
・結婚するには家(マンションを含め)を持たなければならないが、不動産バブルで大学卒業した若者でも年収の8倍の資金が必要になる。親や親戚から借金をしなければならない
・不動産バブルがはじけると、購入した不動産の価格は大幅に下落し一族の資産減少となる
・インフレが続いており(5月のCPI 5.5%、6月6.2%)、食料品(豚肉をはじめ)の高騰は、エンゲル係数の高い(先進国の2-3倍)中国では直接的に家計に響く
・大手企業100社のうち、民間企業は4社しかない(他は国営企業)
・国営企業(就業人口の8%のみ)は官僚との関係が強く、融資や電力供給で極端に優遇されている。特に地方政府と国営企業との癒着は大きな問題となっている
・多くの民間企業に就職する若者の待遇は悪く、就職先の倒産にもおびやかされる
・都市と農村の格差だけではなく、国営企業と民間企業の格差がますます大きくなる
・国営企業はイノベーションが起きにくく、そのしわ寄せが民間企業に向けられる

中国のGDPに占める総固定資本形成(住宅投資、設備投資、公共投資)は2000年の34%から2010年には46%に拡大している。一方、民間消費は13.3%下落し34%になっている。米国の民間消費が70%、日本が約60%と比べると大きな違いを見て取れる。
総固定資本形成のうち、住宅投資がバブルの影響を受けており、崩壊すると一挙に減少することになる。欧米への輸出が好調である間は設備投資が拡大に次ぐ拡大となるが、輸出先各国の経済低迷でこの分野も先行き厳しくなると思われる。公共投資も、資金源であるドルの価値が低下した場合、今までのようにはいかないのではないだろうか。
両親から大事に育てられ、ネット社会で成長し、限られているとはいえ世界の動きも情報として取得することの出来る中国の若者が、このような状態におかれていることを果たしていつまで我慢できるだろう。
2012年には国家主席が胡錦濤から周近平に代わることになっている。江沢民の流れを汲み、鷹派ともいわれる周近平が主席になった場合、当初は新たな政策期待と強力な抑制力で表面的に平静を保つと思われるが、2015年~2019年にどのような変革が起きるかは不明である。若い中国も2025年には人口ピークに達し、2015年~2019年には高齢化が始まる。この間、中国が従来のような勢いで経済成長していくことは厳しいと思わなくてはならない。

主要な国や地域の将来を見通すのは、たとえそれが3~4年先であったとしても容易なことではない。ただ、数年前から現在までの流れをみていくと、次の6つの要因が直接的、間接的に今後の変化に強く影響を与えるのではないかと思える。

1.不動産バブルの状態になっているかどうか。
日本は不動産バブルの崩壊で失われた20年になった。米国もサブプライムローンの破綻で現在も財政危機に陥っている。中国の異常な不動産価格の高騰によるバブルは近年中に爆発し激震が走る可能性がある。

2.過度なマネーゲームで実体経済から金融市場主義になっているかどうか。
金融工学などとはやし立て、ビジネススクールでレバレッジ(梃子)理論を学び、一獲千金を狙おうとするヘッジファンドが横行している。リーマンショックで世界中を震撼(しんかん)させ、一挙に世界経済を陥れたのがこの輩である。米国は現在も4500万人の低所得者にフードスタンプ(食料費補助対策で、金券を持って行くとスーパーで食料品と交換される)が支給されてる。一方、ウォール街で働く人のボーナスが11兆5千億円という巨額に昇っている。イギリスは、製造業中心の実体経済から金融産業にシフトしたため、一挙に国力が落ち込み、巨額の負債を抱えている。アイスランドやアイルランドの破綻も金融産業へのシフトのせいである。

3.ミゼリー(悲惨)指数が高くなっていないか。
ミゼリー指数は、失業率、インフレ率、財政赤字指数、などの組み合わせで計算される。PIIGS(ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペイン、そしてイタリは、こぞって最悪のミゼリー指数になっており財政の破綻が懸念されている。BRICs諸国は6%を越えるインフレが終息されるかどうかが課題だが、インフレ抑制の為に金利を高めると経済成長が低下する。米国も危険水域にある。

4.所得格差(ジニ係数で判断)は暴動を引き起こすレベルになっているかどうか。
昨年来、北アフリカで発生している民主化革命(ジャスミン革命)は、そもそも食料品の高騰で、国民のほとんどを占める低所得階層が生きるために立ち上がった事変である。ネットの普及で実態を知った国民は立ち上がらざるを得なかったのだろう。同じ状態が、アフリカ中部、中国で発生する可能性を否定できない。特に地球温暖化現象の進展で、大干ばつ、大水害、熱波が発生すると、底辺にいる弱い人達は食糧難になり、生きるために暴動を起こすか環境難民として他国や他地域に移動せざるを得ない。それを防ごうとする側との武力衝突も各地で起こる可能性がある。

5.地球資源が、急拡大する世界人口を養えるかどうか。
世界人口は2011年に70億人と発表されたが、2025年には80億人にまで拡大すると予測されている。限られた資源、特に農地・食料・水がこれらの拡大した世界人口を賄えるかどうかは最大の問題となろう。新興国は化石燃料を大量消費し、世界中から食料を輸入する。限られた資源は購入コストの高騰となり、世界経済の減速要因になるだろう。2015年まで、技術革新で従来型資源を置き換える新たな資源開発できるとは期待できない。また、農業技術の改良で2割から3割の増産が可能とは到底思えない。資源と食料を巡る壮絶な競争(紛争)が懸念される。

6.真面目に働き、技術革新に取り組み、産業をもり立てる国民がいるかどうか。
国の存続は全てこの項目にかかってくるだろう。マネーをもてあそび製造業を滅ぼし、官僚が主要な地位を全て支配し、がんばっても未来への展望が持てない若者が大部分となり、大変動の地球で危機管理が出来ず、主要な産業が持てない国は今後脱落していかざるを得ない。2015年以降も、真面目に働き、技術革新に取り組む国が結局優位に立つことになるだろう

 上記の観点から2015年から2019年を見ていきたい。