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サスティナビリティ(13)
欧米流通業のケース:ウォルマート(1)
更新日:2008年02月29日

    

  以前説明したロハス層(健康と地球環境を大事にすることを生活スタイルにする生活者)の増加に対応し、小売業界では、企業としての社会的責任を果たすためサステイナビリティ(環境の保護)を掲げるところが増えてきている。
 本年の全米小売業協会(NRF)大会においてもサステイナビリティは最大のテーマとなっていた。環境問題に関連する講演が15社より報告され、またシステム展示場にはグリーンをテーマとした会場が設けられており、IBMをはじめとした10社が環境対応のシステムや機器を展示していた。
 その中から、今回を含め2回にわたり、ウォルマートのレスリー・ダッチ筆頭副社長の話を紹介したい。
 ダッチ副社長はハーバード大学の博士号を持ち、クリントン政権では国家安全保障の諮問委員を務め、コソボ紛争の解決に手腕を発揮したという経歴の持ち主である。

         ウォルマート EVP レスリー・ダッチ氏
 このような方がウォルマートの役員になっているのに驚かされるとともに、米国小売産業の懐の深さを改めて認識させられた。
 年間売上40兆円、世界に6,000店舗を展開するウォルマートは、一昨年以来サステイナビリティを企業戦略の最上位に置き、“サステイナビリティ360”を宣言し、あらゆる分野で環境の維持・保護に取り組んでいる。その範囲は、160万人におよぶ社員の自立的環境問題への取り組み、店舗の環境対応、トラック輸送のCO2削減、廃棄物の全廃、取引先の協力によるパッケージ(包装資材・容器)の縮小化、環境に優しい商品の開発と優先的取扱いなど、極めて多岐に亘っている。2005年に開始した実験店では、自然光・太陽電池・省電力電球・効率的運送・水資源の再利用・小型商品パッケージ・冷凍設備の改善などが実施されており、店舗のエネルギー効率は3倍に高まったと伝えられている。
 同社の最終目標は、第一に、使用エネルギーを全て再生可能なものとすること、第二に、廃棄物を完全になくすこと、そして第三に、環境を損なわず持続させる商品を取り扱うことである。これを2020年までに達成すべく、詳細項目にわたり達成目標を掲げている。
 具体的には、例えば、化学繊維を削減するため、有機栽培の綿を700万キロもの量でトルコなどから調達し、自社ブランドの衣料品素材として使う。また、ヨーグルトなどプラスチックで作られたカップは紙製品などの材料に順次切り替えられており、これによるCO2の削減は930トンにも及ぶ。これは、70万リットルのガソリンに換算される。
 地球に優しい店舗も実験を重ねており、ここではリサイクルされたアスファルトやオイルを活用、店舗運営用のエネルギーは風力や太陽光を利用、さらに来店客の協力によりレジ袋はエコバッグに取って替わりつつある。
 生鮮食品に関しても、例えば水産物に関しては、米国にあるマリン・スチュワードシップ・カウンシル(MSC)という協会〈水産資源の枯渇を防ぐため一定の基準のもとに捕獲された水産物を認定。パスした魚にはMSCラベルを貼りつけ、消費者に資源再生意識を促している組織〉があるが、ウォルマートの鮮魚売り場(現在は実験店)では、このMSCラベルを貼られた水産物を優先的に品揃えし、水産資源の枯渇に対する企業努力をアピールしている。2010年には全ての水産物にMSCのラベルを貼るという目標を立てている。
 一方で、野菜や果物については地産地消を推進し、店舗周辺地域の農家と契約の上有機栽培を指導し、安全かつ新鮮な食品を消費者に提供する努力も怠っていない。
 「世界最大の企業だからこそこのような取組は出来るのだ」という意見もあるが、ウォルマートの取引先・消費者への影響は世界規模で測り知れないほど大きくなっており、これに習って、多くの流通業がサステイナビリティへの取組を次々と発表している。そもそも、流通各社が、将来的にサステイナブル(持続可能)かどうかは、環境への取り組みにかかってくるとの分析もある。
 北海道も、環境面における日本のウォルマートとなるべく、他都府県に先駆けた取り組みを行うことで、サステイナブルな自治体を目指して欲しいものである