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サスティナビリティ(94)
地球を激変させるティッピングポイント(12)まとめ-3
更新日:2010年07月30日

    

 「暑い・熱い・アツイ・寝られない」。東京の孫に会いに行った女房から毎日メールが入ってくる。関東以西では連日猛暑日が続いている。最低気温も27度以上ということだから、札幌で冷房なしで毛布を2枚掛けて寝ている身としては「なぜ早く逃げ出して帰って来ないのか」と言いたくなる。
 気象庁が今年の初めに出した長期予報は、「本年は冷夏で作物の生育に注意しなければならない」だった。ところが梅雨時期終盤の猛烈なゲリラ豪雨が終わると共に、猛暑日の連続である。気象学者は、“偏西風の蛇行”、“北極振動”“エルニーニョ・ラニーニャ”“インド洋の海水気温上昇”等々その原因をそれぞれ分析しているが、根源的には温暖化で地球全体に異常気象が常態化してきているのではないだろうか。「本年は残暑が厳しく、大型台風発生の恐れがある」と長期予報も変わってきている。従来の延長線上では予測もできないくらい、気象を激変させる温暖化が進んでいるのではないだろうか。
 「地球を激変させるティッピングポイント」の第2番目は“アジアモンスーンの突然の変化”である。これが日本や北海道にどのような影響を与えるのだろうか。東南アジア諸国では雨期の豊富な雨量がコメの二期作や三期作を可能にし、10億人を超える人々の食料を安定してまかなっている。しかし、通常5月には雨期に入る東南アジアで、今、長期間雨が降らないという異常現象がおこっている。コメの主要生産国であるタイでは雨期にもかかわらず数カ月間雨が降らず、ダムの貯水量が大幅に減少し(中国のダム建設のせいもあるが)、そのいくつかでは枯渇の恐れが出ているそうだ。干害は45県にもおよび、田植えの時期を遅らせたり、二期作を取りやめるような指導も行われている。
 気温の上昇によって、モンスーンが弱まる可能性が高いと指摘されている。今年のタイにおける干害がモンスーン劣化の影響によるものかどうか今後明らかになると思われるが、じわじわと「地球を激変させるティッピングポイント」が近づいているのではないかと心配になる。米作の中心地である東南アジアでモンスーンの異常が常態化した場合、食糧危機による被害は甚大なものになるに違いない。一方、中国では大雨、欧州・カナダでは熱波で小麦の減収予想が報じられており、既に小麦相場が高騰している。食料を巡る世界的な争奪戦が起こる可能性を否定することはできない。コメ減反による休耕地が増加している日本の農業も、このあたりで増収に方向転換しなければならないのではないだろうか。特に、モンスーンの影響が比較的少なく、一方、温暖化により農作物収量が今後大幅に増えると予想される北海道は、積極的な農業政策を進め、世界的な食糧不足に対応していく必要があるだろう。
 「地球を激変させるティッピングポイント」の第3番目は“エルニーニョ・ラニーニャ現象の激化”である。エルニーニョは男の子、ラニーニャは女の子で性格は正反対であり、エルニーニョでは太平洋ペルー沖の海面気温が高く、ラニーニョでは高い海面気温が西側に移動する。しかし、今年の異常気象では、ある学者はエルニーニョのせいであり、ある学者はラニーニャが発生してきたからだという。素人の私としては、「いずれにしても温暖化により太平洋の海面気温が異常に高くなっているせいではないか」と思わざるを得ない。事実、日本の南および東の海面水温が30年前と比べて1度上昇している。
 今後恐ろしいのは大型台風の発生である。海面気温が異常に上昇しているのに今年はまだ台風が発生していない。それだけに超大型台風の襲来が気にかかる。台風はエルニーニョの終わった次の年が多いと言われているが、太平洋の海面気温が東に移動するせいだろう。今年はその年に当たりそうだ。また、今後も海面気温上昇が続いた場合、数は少なくなっても大型・超大型の台風が発生してくる可能性が高くなる。台風が発生してから北海道に向かう経路の中で、消滅するのか、弱体化するのか、勢いを維持しながら襲来するのか。いずれにしても、北上する以上は、日本列島の上陸地点から比べた場合、その被害は比較的軽微であるだろう(期待を込めて)。
 気象庁のデータによると、世界のエルニーニョ・ラニーニャの影響にはある種の傾向があるとのことだ。日本を中心としてその影響を見てみると、以下のような典型的気象が発生する可能性が高い。まず、エルニーニョでは、春に東北以南の日本から東南アジアにかけて高温。夏は、韓国から近畿以西の西日本で多雨。秋には、中国沿海州から西日本日本海側で小雨。冬に、東南アジアから西日本太平洋側で高温があらわれるそうである。一方、ラニーニャでは、秋に九州を除いた西日本が小雨になり、12月から2月にかけて日本列島全体が寒冷になる傾向がある。あくまでも傾向であり、発生す場合必ずこうなるというものではないが、西日本への影響は大きいものの北海道では軽微であるといえよう。
 何度も申し上げるが、いくつかの予兆で「地球を激変させるティッピングポイント」が徐々に近づいている。その前にやらなければならないことは我々の前に山積みされている。幸い、北海道の場合、他の地域に比べて時間的余裕はあり、また温暖化を阻止する資源「風・林・水・菜」に恵まれている。この事をもっと認識すべきだろう。