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サスティナビリティ(62)
「風・林・水・菜」-8水の巻-3
更新日:2009年07月30日

    

 8月1日は“水の日”なのだそうだ。「水資源の有限性、水の貴重さおよび水資源開発の重要性について国民の関心を高め、理解を深めるため1977年5月31日の閣議了解により、「8月1日を水の日、この日を初日とする1週間を「水の週間」と定めた」と、水資源機構(国土交通省の外郭団体)のホームページに記載されている。「水の日・週間」は本年で33回を数える。道庁のホームページでは、歯磨き、洗面、炊事、風呂の残り湯、洗車、水洗トイレでの節水の工夫を紹介している。前号と前々号では、北海道の水がいかに豊かでおいしいかということを北海道立衛生研究所やユネスコの調査を基に記載した。これは、北海道の水は豊かなので大いに使っていいというのではなく、この財産を渇水・飲料水不足に苦しむ近隣諸国や他県のために活用できないだろうかという提案である。
 ここで、ミネラルウォーターについて考えてみたい。まず、日本のミネラルウォーターの現状を日本ミネラルウォーター協会の資料でみてみよう。国内生産量は2008年で20億キロリットルになっており、1985年に比べるとなんと24倍に増えている。輸入ミネラルウォーターを含めると合計25億で、これは同じく1985年の30倍にもなる。数ある生活用品の中で、23年間でこれだけ伸びた商品が他にどれだけあるだろうか。ミネラルウォーターを飲む理由としては、「おいしいから」「水道の水がまずいから」「健康に良いから」「自然・天然で体にいいから」の順になっているが、LOHAS層(健康と環境に関心を持つ人々)が多くなっただけではなく、一種のファッション化している面もあるだろう。さらに驚くことは世界の生産量であり、日本の総生産量が20億キロリットルに対し、フランスでは550億キロリットルと日本の27倍以上となっている。そして、そのフランスから、前回も触れたが、多大な“フードマイレージ(輸送に要するエネルギー資源)”をかけて36.7億キロリットル(07年)、30.9億キロリットル(08年)もの水が日本に輸入されている。金額では284億円(07年)、248億円(08年)にもなっている。08年は、石油価格高騰で輸送費がかさむことから輸入が減少したが、石油価格の高騰がなければ300億円もの水が輸入されたという予想もある。フランス製のミネラルウォーターとして有名なのが「エビアン」や「ボルヴィック」だが、これらの名前は温泉地からとったものであり、これらの水は温泉水である。したがって、マグネシウム・カルシウム含有量が多い硬水で、硬度が高くなると苦みや渋みを感じるとのことである。一方、日本の水の多くが軟水で比較的すっきりした味の水だ。
 次に、日本の生産量を地域別に見ると、圧倒的に多いのが富士山の湧水を生産している山梨県で、全体の36%にあたる7億キロリットル、121億円を稼いでいる。山梨に続いて静岡、鳥取、兵庫、石川の各県がトップ5で、北海道は約6,000キロリットル。鹿児島県、富山県よりも下の第8位である。おいしい水がほぼ無尽蔵にある北海道の生産量が少ないのは、ボトルに入ったミネラルウォーターでなくとも、おいしい水がいつでもどこでも手に入るというのがその大きな理由だと思うが、一方においてこの膨大な財産が上手く商品化しきれていない点もあるのではないだろうか。
 商品化するにあたって、以下のマーケットが考えられるだろう。第1に、沿海部大都市への人口移動が急速に進んでいる中国である。中国で生活する上で大きな問題点となってきているのが飲料水、特に“おいしい水”の不足である。中流化が進んでくると、安全・安心、かつ“おいしい水”への欲求が高まってくるに違いない。中国の方々にとって北海道はあこがれの地になってきており、北海道ブランドの軟水は受け入れられる可能性が極めて高いと思われる。第2は、海外から輸入されるミネラルウォーターの代替である。エコ意識の高まりの中、膨大な石油資源を使ってヨーロッパやカナダから輸入される水をこれからも受け入れるのだろうか。北海道の水は軟水が主体だが、もちろん地域によっては海外産に劣らない硬水もふんだんにある。ミネラル補給用として製品化できるだろう。さらに輸送コストを考えると低価格が実現できる。年間50億キロリットル、350億円の輸入ミネラルウォーター市場を代替していくのも面白いのではないだろうか。もちろん、“北海道ブランド”の確立が重要であることは論を待たない。
 先に触れたように、ミネラルウォーターの輸送には“フードマイレージ”がかかり、またボトリングにはプラスティックが大量に必要とされる。エコの面からこれらに対する配慮もなければならないだろう。ヨーロッパから中国に海上輸送するに比べ北海道からは圧倒的に“フードマイレージ”は少ない。さらにタンカーでの輸送も考えられるかもしれない。ボトル容器に関しても、コカコーラは従来の半分のプラスティック材料で製造したペットボトル用容器を最近発表している。これにより、大幅なCO2削減が可能だとのことである。技術は進歩している。また、中国の家庭では飲料水用として大きなタンクを常備しているそうだ。このタンクに“北海道の水”を入れ生産し輸出すると、輸送コストも削減され、エコの面からも好ましいのではないだろうか。
 日本のミネラルウォーター産業は08年でほぼ2,000億円市場にまで成長し、今後も成長を持続するものと期待されている。本号を含め3回の連載で説明したように、北海道の水はどこよりもおいしく、またその量は豊富である。取り組み次第では1,000億円の産業を北海道で構築することができる可能性を持っている。雇用の創出も期待できるだろう。
またの機会に、水資源による“グリーン・ニューディール”についてより詳しく取り組んでいきたい。

 8月1日“水の日”とそれに続く“水の週間”を機に、水の大切さと北海道の水がもたらす大きな可能性について考えるのもいいのではないだろうか。