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サスティナビリティ(56)
「風・林・水・菜」-2風の巻-1
更新日:2009年05月30日

    

 オバマ政権のグリーン・ニューディール政策に多大な影響を与えた本として、トーマス・フリードマン著「グリーン革命」が脚光を浴びている。フリードマンはニューヨークタイムズのホワイトハウス担当主席記者で、30年間の記者生活で3回もピューリッツアー賞を受賞している。「グリーン革命」は上巻と下巻に分かれており、各巻とも320ページの大作である。連休期間に何とか読破したが、そのボリュームには圧倒され通しだった。しかし、地球環境破壊に関し多くの事例を参照した深い分析と、環境維持に対する著者の熱い思いが読者を飽きさせずにページを進めさせる。
 「グリーン革命」の副題は“ホット”“フラット”“クラウディッド”。世界は暖かくなり(ホット)、平らになり(フラット)、人口過密(クラウディッド)になってきており、それが5つの深刻な問題を引き起こしている。それらは、供給が細りつつあるエネルギーや天然資源への需要増大、産油国と石油独裁者への膨大な富の集中、破壊的な天候異変、電力を持つ者と持たざる者を二分して起きているエネルギー貧困、そして動植物が記録的な速さで絶滅し生物多様性の破壊が急速に進んでいる事実である。
 「私たちは過去から借りた時間や財産を食いつぶして長い間生きてきた。これからは、自分の国・自分の星のためにせっせと働かなければならない。残された時間は少なく、賭けられているものは余りに大きく、これほど困難なプロジェクトはない。そしてやらなかった場合の報いも、とてつもなく大きい。これらの問題を解決するには新しいツール、新しいインフラ、新しい思考法、そして他国の人々と共同作業を行うという新しいやり方で取り組まなければならない」と主張している。
 さらに、中国の諺「風向きが変わるとき、ある者は塀を建て、ある者は風車を作る」を引用し、「確かに風向きは変わった。私たちは今、もっとクリーンな未来のパワーを見つけ、自然界を保護するもっといいやり方を見つけなければならない。そうしないと自分たちの生態系、経済、政治的選択が制約を受けるような時代に入ろうとしている。だから、風車を作ろうと私は提案する」と、素早いアクションが求められていることを力説している。
 それでは、私たち北海道に住む者にとって地球温暖化を食い止め、日本や世界に貢献し、北海道が豊かになる風車は何だろうか。私は“風”“林”“水”“菜”を提案する。まず。“風”から進めよう。
 「グリーン革命」でも取り上げられているが、北海道にとってデンマークはもっと研究すべき国なのではないだろうか。デンマークの面積は九州とほぼ同じで北海道の半分程であるが、人口は551万人と北海道の557万人と拮抗している。位置的には本道よりも北でカムチャッカ半島あたりだが、メキシコ湾流のおかげで緯度に比べると温暖である。首都コペンハーゲンの7月の最高気温は23℃、2月の最低気温はマイナス2℃で四季もハッキリしている。この点でも北海道や札幌と似ているのではないだろうか。このような国が化石燃料に依存せず、所得格差は世界最小で、国の幸福度では178カ国の調査で世界一となっている。
 デンマークは1973年以降、石油資源に依存しないという新たな政策に移行した。その当時、エネルギー資源は99%を中東に依存していたが現在はゼロである。黒海の石油が発見され、その権益を取得する立場にいたにもかかわらずそれをも放棄している。一方、風力発電の開発に力を入れ、現在では同国の風力発電ヴェスタス社の製造するタービンは世界市場の17.8%を占め、第一位になっている。ちなみに日本を代表する三菱重工は13位である。風力発電施設は規模が大きく輸送にコストがかかることから、母国市場の大きさが製造企業の成長を左右する。この点、デンマークは風力発電を国を挙げて推進し、ある地域では15万所帯が5,500基の風力発電を共同使用している。その結果、2006年時点で国内総電力の20%にあたる3,136メガワットが風力発電からもたらされている。
 「クリーンは電力を生みだす単なる新方式ではなく、国力を生みだす単位だ(グリーン革命より)」デンマークは、クリーンなエネルギーによって世界でも最も幸せな国になっていると言えるだろう。デンマークが採った新たな政策は、他国と比べると倍以上のガソリン価格の設定、炭素税の導入、そして世界で最初のFIT方式(電力固定価格買取制度)の実施である。1973年以降同国の経済は70%成長したが、エネルギー消費はほぼ同じレベルで維持しているとのことである。この政策実施により、デンマークは中東依存から脱却し、ヴェスタ社のようなグリーン産業を振興することとなった。