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サスティナビリティ(102)
J-VER:北海道の環境資源を産業活性化に(5)
更新日:2010年10月20日

    

 9月6日、東京乃木坂で開催された第1回「カーボンオフセットEXPO」大会に、下川町・滝上町・美幌町・足寄町の4町連携による「間伐促進型森林づくり事業」が参加していたことを前回のブログで紹介したが、北海道からは他に紋別市と当別町が共同でブースを持ち、それぞれの取り組みについて熱心に説明していた。紋別市は「市有林の間伐促進型森づくり事業」、当別町は「廃食用油由来バイオディーゼル燃料活用」モデルがテーマ。
 豊かな自然環境をつくり、持続的な林業を発展させる上で森林保全の重要性はさらに高まっている。国は2003年、日本版森林認証制度「緑の循環認証会議:SGEC」を設定した。森林を定められた基準で調査し、適切な管理が行われているかどうかを審査し、認定された森林から生産される木材にはSGECマークが付与される。08年10月現在、日本全体で認定された森林面積は約28万ヘクタールとのことだが、なんとその41%にあたる30万ヘクタールが網走西部流域(紋別市、滝上町、興部町、湧別町など8市町村)に存在している。その合計面積は東京都の1.3倍にも及ぶという。広大な森林が整備されているのだ。SGEC取得に当たっては、紋別市が中心となって03年以来取り組み、その努力が見事に実ったものだ。
 今回「カーボンオフセットEXPO」で発表されたのは、紋別市が所有している市有林2,516ヘクタールを対象とした森林整備(間伐)事業で、削減されたCO2にはJ-VER(オフセットクレジット)が認定されることになった。計画によると、08年から12年までの5年間で合計5,629トンのCO2が削減され、5,600万円(CO2 1トン当たり1万円として)のクレジットが取得される。紋別市は市を挙げて林業育成に取り組んでおり、間伐された木材の地産地消を進めるため、市民が地元産木材を使って住居を新築もしくは改修する場合、100万円を上限として資金助成を受けることができる。

 さて、今月(10月)11日から29日の予定で生物多様性条約第10回締結国会議(COP10)が名古屋で開催される。本会議には世界中から8,000人が参加すると報じられている。これだけ集まると、期間前後を含め膨大な量のCO2が発生する。往復の航空機利用、大会期間中の交通機関利用、会場のエアコン等で総排出量は3万1000トンに達すると大会事務局では試算している。この排出量をさまざまなクレジットでオフセットしようとしているのだ。報道によれば、紋別市から200トン、下川町・滝上町・美幌町・足寄町の4町からは10トン相当のクレジット(J-VER)を購入し、大会期間中で発生するCO2をオフセット(相殺)するとのことである。いずれも森林保全による森林吸収分であり、各市町の努力が公に認められた格好だ。CO21トン当たりの購入金額は明らかにされていないが、紋別市の木材利用による住宅建設助成金の一部になればうれしい限りである。

 当別町の取り組みはユニークであると共に、どこの市町村でも実現可能なのではないかと思われるものだ。当別町は札幌に隣接しており、利便性が高いと共に自然豊かな地域で、道内外からの移住地としても近年脚光を浴びている。同町では06年から地域コミュニティー交通機関として「ふれあいバス」を実証的に試験運転しており、実証実験終了後の11年には本格的に稼働することになっている。この「ふれあいバス」の燃料がオフセットクレジット(J-VER)の対象になっているのだ。家庭で不要になって捨てられる食用油を集め、それをバイオ由来燃料としてバスに使用している。化石燃料ではなく植物性油の再利用であり、CO2の発生は相殺されると見なされる。ガソリンや軽油の利用を削減した分がJ-VERとして認定され、これによるCO2削減は5年間で226トンと計算された。削減量としては少ないものの、今まで廃棄処分されていた使用済み食用油が再利用され、化石燃料の使用が削減、CO2の排出が少なくなり、さらにJ-VERとしてお金になるのだから決してその効果は過小評価すべきでない。ましてや、このようなケースが数万・数十万と増加していった場合を考えると、地球温暖化防止に大いに役立ち、また地域活性化に一役も二役も買うことになるだろう。