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サスティナビリティ(53)
流通業の環境対応(流通業の環境対応(ローソン-1)
更新日:2009年04月30日

    

 シンポジウム「環境問題に積極的に取り組む大手流通業」。最後の発表者はローソン 常務執行役員CIO横溝陽一氏で、同社の企業理念と地球環境問題への取り組みについて講演した。
 「環境問題はたやすい問題ではなく複雑系に属する問題です。取り組むにあたってはどういう理念を持つかが問われます。国や会社だけではなく個人としても真剣に考え、参加しなければならない問題です。日本は従来、森を大切にするなど環境に優しい国だったはずです。世界の環境問題ではリーダーシップを発揮しなければならない立場のはずです。京都議定書で日本は1990年比6%のCO2削減を約束しましたが、2006年では反対に6.3%も増加しています。一部には、「ヨーロッパ各国と比べ日本は既に徹底した環境対策をしており、これ以上の削減努力は乾いた雑巾を絞るようなものだ。当時の約束は厳しすぎたのではないか。その上、地震で原子力発電所の稼働率が大きく落ち込んだ」という論議もありますが、我々は世界に約束したのであり、エクスキュースは言わずに約束をいかに実現するか、どういう意識で取り組むかが求められています」
 冒頭で、横溝氏はこのようにローソンの姿勢を強調した。
私と横溝氏とは数年来の知己であるが、同氏の明快な論理展開はますますさえわたり、環境に対する情熱は更に高まっていた。本シンポジウムのコーディネーターとして準備・運営にあたった私としても喜ばしい限りであった。
 ローソンは現在全国に約8600店舗を有しており、近々さらに1300店のチェーンを統合する予定である。「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします」が企業理念。それに基づき、「地球にと人にやさしいマチのホットステーションを目指し、環境に配慮した事業活動、自然環境との調和、積極的な社会貢献活動を通じた持続的社会発展を目指す」という環境に対する基本理念を掲げている。環境方針の原点は「安全・安心な商品、サービス及び情報を提供し、環境負荷を軽減した事業活動を推進すること」としている。その上で、具体的な自主目標(KPI)を設定している。それは省エネ、省資源、廃棄物の削減とリサイクルおよび排出量削減である。
 「目標・計画(Plan)が甘くなると、実施行動(Do)も査定(Check)も甘くなります。ローソンでは厳しい計画を具体的に設定しています。」―(横溝氏)
 まず、CO2の削減であるが、2012年までに1店舗あたりの排出量を06年比10%削減と設定している。これは、京都議定書の基準年である90年と比較すると30%削減に相当する。06年度1店舗あたりのCO2排出量はほぼ70トンであり、これを12年までに各店それぞれで10トン削減しようとするものである。店舗の消費エネルギーの大半を占めているのは照明設備、冷凍設備、空調設備であり、これらに絞った施策を推進している。照明設備では、センサーで太陽光を関知し室内照明を制御する自動調光照明システム、および蛍光灯と比べ電力消費が半分のLED(発光ダイオード)を新規店舗に導入。またコンビニの多くは24時間営業であり、冷凍・冷蔵・空調設備を止めるわけにはいかない。これら設備が必要とするエネルギーを削減するため、今まで個別に制御していた設備(機械)を新たに開発した省エネパック(要冷・空調一体型システム)でエネルギー効率化を図った。省エネパックは新店舗に導入する一方、既存店には室外機のガス圧を制御する「エコパック」を導入している。また、東京大学生産技術研究所と共同研究し、省エネ店舗モデルの開発を継続的に推進している
 配送車・社有車のCO2削減も大きな要素である。ローソンは、97年に低公害の天然ガス配送車を業界に先駆けて導入。04年にはハイブリッド配送車も導入し、配送分野でのCO2削減を推進している。1600台の社有車の燃費改善にも取り組んでおり、具体的にはETCを全車に搭載し渋滞を回避、アイドリング自動ストップによる排気ガスの削減、ハイブリッド車の導入によるCO2削減などである。
 「重要なことは一人ひとりの仕事や業務プロセスを見直し、社有車利用を引き下げることです。また、配送車の運行にはITによるスケジュール管理やルート管理が効果的です」と横溝氏は、仕事のやり方を根本的に変革するイノベーションの重要性を訴えていた。食品廃棄物では廃油を石鹸や燃料に、生ゴミを飼料・肥料にリサイクルする取り組みをおこなっており、07年度のリサイクル率23.5%を08年には26%に改善したとのことである。ローソンの場合、店舗の95%はフランチャイズ経営であり、いかにフランチャイジー(店舗経営者)の負担を軽くするかが大きなテーマになっている。
 お弁当やパン、さらには米飯工場での余剰食材を消費期限前に廃棄するのは、まことにもったいないことである。ローソンでは、レジでは受け付けない販売期限の切れた食品(消費期限は過ぎていないが店舗では販売しないことになっている)を、NPO法人「さなぎ食堂」に提供し、横浜寿地区生活者の食事に供し市民活動を支援している。
 次号ではローソンのCO2オフセットの取り組みを中心にお伝えする。