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サスティナビリティ(50)
流通業の環境対応(伊勢丹-1)
更新日:2009年03月30日

    

 本ブログでサステイナビリティ(地球環境の維持)を掲載し始めたのが2007年11月。あっという間に50回を数えるに至った。この間、洞爺湖サミットの開催、石油をはじめとした資源の高騰と急落、100年に一度ともいわれる景気の後退局面、そしてグリーン・ニューディールを掲げるオバマ大統領の登場と、地球環境問題に関する話題が絶えることはなかった。多くの方々の関心が高まってきたのは嬉しい限りである。しかしながら、北海道で、そして個人個人で具体的にどのように対応していかなければならないのだろうか。これについてはいまだ道半ばである。引き続き具体的事例を中心に環境問題を取り上げていくつもりである。
 前回はイオンにおける環境への取り組みを紹介したが、今回及び次回で伊勢丹の事例を取り上げる。伊勢丹は、2001年経営会議に直接つながる環境委員会を設置し、全社を挙げて環境問題に取り組んでいる。3月4日に開催されたシンポジウムでは、同社環境委員会の加藤正己委員長と望月友子氏から同社における取り組みが発表された。
 伊勢丹は、企業として絶対果たさなければならない責任として3つの項目を掲げている。第1が人事雇用の確保、第2が品質・安全対策、そして第3が環境対策である。「伊勢丹にとって環境問題は経営の大きなポイントです。お客様第一から出発し、かけがえのない環境を守り、それを次の世代に伝えていくのが伊勢丹グループの企業理念です」と、加藤氏は発表の冒頭このように説明した。この企業理念を実現すべく、2010年に向けた長期計画を策定している。エネルギー・CO2の削減では、1999年対比原単位(1999年時点の建物・設備ベース)6%の削減、廃棄物最終処分量の60%削減を数値目標として設定し、さらに安全かつ環境に配慮した商品の品揃え、包装の適正化・簡素化、省資源の推進、グリーン購入の促進を取り組むべきテーマでとした。
 伊勢丹は、日本経済新聞社による環境優良企業調査で小売業部門で1位に選ばれている。同社が高い評価をうけたのは、ESCO事業の採用と、本館屋上を緑化したアイガーデンのプロジェクトである。
 まず、ESCOプロジェクトから説明する。ESCOは、エナジー・サービス・カンパニーの略称で、省エネに関するコンサルティングやサービスを行う企業および組織である。彼らのビジネスは、省エネを希望する企業に対し電気設備などのエネルギー使用実績を調査し、改善方法(新規設備の導入など)を提案する。提案が受け入れられた場合、RSCO事業者は省エネ効果による経費削減を保証し、設備の設計や施工をおこなう。基本的には削減経費の枠内で導入する省エネ設備や運用の費用をまかない、省エネ効果が投資を超えた場合は顧客の利益になる。ESCO事業者の利益は、省エネ設備の導入に関する設計・設備・施工・保守の料金からもたらされる。
 さて、伊勢丹は2006年2月、本店・立川店・松戸店・相模原店の4店にESCOプロジェクトを導入した。その内容は、空調機ファンのインバータ制御、駐車場給排気ファンのCO2濃度による間欠運転制御、冷凍機冷水一次ポンプの流量最適化、冷水二次ポンプのインバータ制御、ショーケース冷却水ポンプインバータ制御の5項目である。空調や冷却に使われる電力を効率的に制御しようとするものである。本ESCOプロジェクトによりCO2は874トン削減されたが、これは4店舗合計CO2排出量の1.6%となる。加藤氏は「新宿本店では来店客数が多く、インバータ制御による削減効果は当初計画よりも低い結果に終わったが今後継続的にESCO事業者と検討を重ねていくことで成果が上がってくるだろう」と語っていた。
 同社は、本店の耐震工事に合わせ屋上庭園「アイガーデン」を設けた。庭園面積は2,050㎡で、これにより年間7トン(推定)のCO2が吸収されるとのことだ。アイガーデンは次世代を担う子供たちが楽しめる場であり、オーガニックコットンの植え付けから収穫までを子供たちで行う「アイ・キッズクラブ」にも使われている。
 同じく本店屋上には2007年3月にNEDOの協力も得て、5,000万円かけてソーラーパネルが設置された。いままでネオンサインとして使われていた場所のため太陽光の効率は必ずしもも高くなく、一般家庭5戸分の電力にとどまっている。しかし同社では、太陽光発電を顧客及び社員への環境保全に対する強いメッセージ発信として位置づけている。
 次回は同じく伊勢丹の廃棄物削減に対する全社的取り組みについて解説する。