「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > 社長ブログ > 外断熱によるCO2削減-2

長ブログ

このエントリーをはてなブックマークに追加

サスティナビリティ(82)
外断熱によるCO2削減-2
更新日:2010年03月20日

    

 外断熱について、にわか勉強の私の基本的な理解を前回のブログで掲載したが、その上でK君(K教授)にいくつかの(実際には十数項目)質問を投げかけてみた。素人の的外れの質問にも辟易することなく、彼は丁寧に答えてくれた。しかし丁寧なだけにそれを裏づける技術面の詳しい説明があり、これらが私の理解力を超えていたのも確かである。その中でおぼろげに見えてきたのが建物の長寿命化である。当初の関心事は、外断熱工法が、高い室内保温効果を持つことによって、暖房に要するエネルギー使用(CO2の発生)を抑制するだろうということであった。しかし建物の長寿命化がより重要であることがわかってきた。
 「マンションの修繕・管理の実際(印藤文雄著)によると、建物の耐久年数は英国140年、米国100年、仏・独80年だそうである。これに対し、日本では的確な補修工事をしていなければ多くの建物がほぼ30年で寿命を迎えることになる。これは前回説明したように、今までの日本における集合住宅の多くが内断熱工法で建築されており、外気の温度差によって結露が発生し、駆体(コンクリートや鉄筋)の劣化が進むためである。30年を超える耐久性、機能性を考えることなく設計・建設してきたといえる。公営住宅の殆どは改修せずに35年で建て替えがおこなわれている。
 寿命を迎えた建物を取り壊す場合、コンクリートなど多くの産業廃棄物が発生し、その処理は環境に少なからざる影響をもたらす。さらに建て替えをする場合、建築工事には大量のセメントと鉄筋が必要となり、これら資材は生産する際に多くのCO2が発生することになる。コンクリート業界や鉄鋼業界はエネルギー多消費産業である。さらに、建築資材の運搬や工事そのものにも多くのエネルギーが必要になってくるのも事実である。「コンクリートから人へ」を全面的に擁護するものではないが、建築物の長寿命化と断熱による冷暖房エネルギーの削減でCO2排出量が削減されるとしたならば、経済性からいっても外断熱による改修工事は大いに賛同しなければならないだろう。
 集合住宅の寿命を長引かせるためには、適切な改修工事を適時に行わなければならないが、大事なのはコンクリートの駆体をいかに保護するかである。鉄筋コンクリートの駆体を欧米並みに100年以上の耐久性を保つためには、築30~40年以内に外断熱改修が必要だといわれている。
 現状はどうなのだろうか。従来、集合住宅に対し一般的におこなわれているのは、10年から15年で大がかりな外装工事、その後5年ごとに個別の修理、そして配管の大工事である。札幌だけでも3300棟の民間マンションがあるとされているが、その多くが築10年を超えており多くの改修工事が始まっている。ただ、その工事は外壁にタイルを張りお化粧直しする程度のものであり、駆体(特にコンクリート)の強化になっていないのが実情とのことである。
 外断熱工事を施工する場合、その費用はタイル張りと比べ30~40%程高いことがその大きな理由とのことだが、どうも安易に流れているようである。外断熱に対する補助金や金融支援も始まったことでもあり、道も民間マンションに「外断熱改修のすすめ」というパンフレットを作成しマンションの資産価値向上に向けて大規模改修時に外断熱改修することをすすめている。民間・公営を問わず、集合住宅の保温性の工場と長寿命化に取り組まなければならない時期にきている。これによって、北海道の家庭部門CO2排出量削減が一歩も二歩も前進するのではないだろうか。