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アンドセイス

1月にオープンした「つうたん」は、本場仙台の牛タンが味わえる

8店舗目がオープン。狸小路から飲食業を盛り上げる

 11月で創業10年を迎える「アンドセイス」。狸小路エリアに特化して飲食店の企画・運営を手掛けている。

 居酒屋、立ち飲み、バーなど、多様な業種を展開。現在は狸小路1丁目に2店舗、6丁目に4店舗、7丁目に2店舗の計8店舗を運営している。

 店舗ごとに異なる世界観が特徴で、特に〝どこか懐かしい雰囲気〟を重視。例えば7丁目のバー「唄・吞・集 ルマンド」は、昔懐かしい昭和歌謡曲が静かに流れ、薄暗い照明とU字型に伸びる大型カウンターなど、昭和を彷彿とさせるつくりが特徴だ。これは梶原剛社長が幼少期に通っていた喫茶店の雰囲気と世界観を再現したもの。

 梶原社長は「ルーツは私の出身地である小樽です。小樽は町並みがレトロでどこか哀愁を感じさせます。これを札幌でも再現したかった。これが可能なエリアが、大通やススキノでもないノスタルジックな雰囲気が漂う狸小路だった」と語る。

 他店にはない独自の雰囲気が来店客の心をつかみ、各店ごとのファンも多くリピーターは4割にも上るという。

 今年1月には、狸小路6丁目に牛タン専門店の「つうたん」をオープン。本場仙台の牛タンが味わえる店だ。

「札幌は牛タン専門店が少ないため、そこに勝機を見いだし業態を決めました。居酒屋やバーとは異なり、当社初となる特定のメニューに特化した専門店ですが、目指したのは〝専門店の味を保ちつつ、居酒屋のように来店しやすいカジュアルさ〟です」と梶原社長。この考えが的中し、客層は30代から70代と広く、一躍人気店となっている。

 一方、業種と店舗数に比例しメニュー数も増えるため、食材の仕入れや調理の労力も増加する。同社では食材の仕入れは独自ルートを活用し全国から調達するほか、梶原社長自ら週に2回、市場に出向き吟味するなど、仕入れ価格を抑制。さらに一部店舗では、キッチンを共有し調理コストと人件費の削減にも努めている。

 成長を続ける同社では、東京や札幌の他エリアなどから出店依頼が来るも断っているという。

 その理由を「当社の礎はやはり狸小路です。微力ながらこの地に貢献し、札幌の飲食業の活性化に努められれば幸いです。また、今後は既存店の強化を図っていく。その一環として、来年2月に6丁目の中華居酒屋『ニュー花園』の大幅な業態転換を行います」と梶原社長。

梶原剛社長
狸小路6丁目に4店舗を運営(上)「つうたん」の店内