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札幌円山整形外科病院

鈴木 智之 理事・副院長
すずき・ともゆき/2001年札幌医科大学医学部卒業。大阪大学整形外科、札幌医科大学整形外科などを経て、17年札幌円山整形外科病院に着任。18年米国ピッツバーグ大学、21年から現職。日本整形外科学会認定整形外科専門医。医学博士。

半月板損傷の治療で変形性膝関節症の予防を

 年間2000以上の手術実績(2023年4月〜24年3月)を誇る「札幌円山整形外科病院」。手や股関節、脊椎・脊髄といった各部位を専門とする整形外科医が在籍し、専門性の高い医療を提供している。

 膝関節やスポーツ整形を担当する鈴木智之副院長は、大阪大学やアメリカのピッツバーグ大学で半月板の研究にいそしんだ経験もあり、変形性膝関節症のほか、前十字靭帯断裂、半月板損傷なども熟知している。

 日本に3000万人の患者がいるとされる変形性膝関節症だが、近年は同疾患は予防できるようになった。

「変形性膝関節症に深く関係するのが半月板損傷です。半月板損傷を治療することで、変形性膝関節症の進行を止めることができる。関節鏡視下半月板制動術と言う新しい術式が、我々学会役職者の働きかけにより、24年から保険が適用されるようになりました」

 一般的に変形性膝関節症は、痛みにより歩行が困難になり、日常生活に支障をきたす場合には人工関節への置換術が検討される。

 しかし「まず半月板や軟骨を守る靭帯を確実に治療します。膝の傾きがあれば、保険適応の足底板を作成したり、

骨切り術や膝関節矯正術に加えて、制動術、縫合術などを駆使することで、人工関節に置換しなくても自身の膝を温存することができるケースもある。人生100年時代ですから、できるだけ長く自分の足で歩く。それを実現する画期的な術式として広く知られるようになってきました」

 なお、同院では鈴木副院長を含めて、日本膝関節学会認定の「関節鏡技術認定医」が2人在籍。後進の育成と技術の普及のため、国内外を飛び回り指導にあたっている。

 また鈴木副院長は、日本スケート連盟フィギュアスケートの医事委員会部長や北海道コンサドーレ札幌のチームドクターとしても活躍中だ。スポーツ医学に明るくケガの治療はもちろん、ケガの予防やパフォーマンスの向上に向けて医学的知見からサポート。「膝の機能を温存する」という鈴木副院長自身の診療ポリシーを頼りに、ウィンタースポーツやラグビー、柔道などといった幅広い競技の選手が全国から来院している。

「スポーツは健康寿命にも深く関係しています。病気やけがの予防に対する意識の向上や、体のメンテナンスによって高齢でもスポーツを楽しむことができる。そんな健康的な中高年を医学的に支えていきたい」と意欲的だ。

日本スケート連盟フィギュアスケートの医事委員会(強化部会)部長も兼務。次回の五輪にも帯同予定