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サスティナビリティ(106)
上海(3)
更新日:2010年11月30日

    

 前回のブログで書いたように、万博の視察で中国に行ったが、上海を訪れたのは十数年ぶりである。この間に中国最大の経済都市になった上海の成長に驚かされた。当時は都市建設の真っ最中であちこちで大型ビルが建設中であり、資材の粉塵やほこりが宙を舞っていたのを記憶している。今、ビル建設ラッシュは一段落し落ち着いたたたずまいを感じさせる巨大都市に変貌している。群れをなしていた自転車は乗用車に代わり、次々と新たにできた高速道路も渋滞気味であった。十数年前の粉塵はなくなったものの、排気ガスの臭いが満ちていたのが気にかかる。排気ガスのせいだろうか、晴れているのに月は“おぼろ月”でウサギがもちをつく姿は見えず、ましてや星はほとんど見れなかった。早朝、ホテルから空港に向かうバスの中で見た太陽は真っ赤であり、大気が澄んでいないのがわかる。札幌に帰って輝く月と多くの星と“再会”し、日中の青空と太陽のまぶしさを実感したとき上海の空との違いを強く感じた。もちろん計測しているわけではないが、上海の大気は排気ガスと砂塵で少なからず汚染されているのではないだろうか。

 急速に開発が進み有名な上海タワーや上海ヒルズなどの高層建築物が林立している浦東エリアから、黄浦江を隔てた浦西の旧租界エリアを見る機会があった。ライトアップされた景観は見事で、しばし時間を忘れるほどだ。十数年前に同じ場所に立ったときは日本企業の広告サインがあちらこちらにあり景観を損なうほどで、日本人として恥ずかしい思いをしたことが思い出される。景観保護なのだろうかそれとも日本企業に対する規制なのか、今は全て除去されている。
 浦西の旧租界地区と浦東の同じくライトアップされたビル群と合わせ、360度の夜景を満喫した。ただ、残念なのはその間を流れる黄浦江の水は濁っており、かつての隅田川のようであったことだ。黄浦江は長江(揚子江)の支流で地質上黄濁してしまうのだろうが、それにしてもその汚れは何とかならないものかと気になってしまう。長江は中国の水資源として大きな役割を占めており、沿岸部で膨張している都市に清涼な飲料水を提供するには上流に膨大な設備を必要とするのではないだろうか。中国の森林面積は国土の12.5%で日本の67%に比較すると極端に少ない。これでは保水や水の浄化作用を充分に満たすことができず、装置に頼るしかない。人口の4分の1が安全レベルに達していない水を飲まざるを得ない状況であり、中国の水資源問題はさらに大きな課題になっていくだろう。黄浦江の濁った水を見ながら北海道の美味しい水を提供したいという思いに駆られた。
 2006年、中国は米国を抜いて世界最大のCO2排出国になり、その改善に取り組んでいる。10年までの5年間に56兆円を環境・エネルギー対策に注ぎ込んでいる。その結果、風力発電では09年度末累計で2千580万キロワットと米国に次いで世界2位の発電量となり、20年には1.3億キロワットにする計画である。太陽光発電でも中国最大手のメーカー・サンテックパワーは日本企業をごぼう抜きにして世界2位で、さらに業績を伸ばしている。中国政府は5年間で排出量を20%引き下げると公約したが、それはGDP対比であり、このまま二桁近い経済成長が続くとCO2排出は減少するどころか増加してしまう。お隣の国の環境問題は我々にとっても座視できない。
 当然のこととして、安全で美味しい食品は中国の人たちにとっても羨望の的である。上海市内の高級スーパーマーケットを訪れたが、近年増加してきた富裕層を対象にしているのだろう。日本のお店と見間違うばかりだった。そこには日本からの輸入食材がところ狭しと陳列されている。印象的だったのは新潟県産の食料品が圧倒的に多かった点だ。中国産米が2キロで40元から60元に対し、新潟産は189元(約2,500円)で売られている。また、八海山や久保田などの新潟の日本酒が棚を埋めていた。在留日本人だけでなく中国の人たちも次々と購入しているという。富裕層にとって日本の食品は魅力的であり、価格にそれほどこだわらないのだろう。新潟県がどのような取り組みを行っているのか分からないが、北海道のおいしい食材を流通するルートを積極的に開発する必要性を感じた。物産展などの一時的なものから、常時、店に置かれるようにサプライチェーンを構築する時期に来ているのだろう。