「情報を先取り、タブーに挑戦」を編集方針とし、生活者・企業経営者に
最新かつ有益な情報価値をご提供する、北海道の地域政治・経済誌

ロゴ

トップページ > 社長ブログ > 2020年~2024年 「世界規模の環境被害の5年間」(12)

長ブログ

このエントリーをはてなブックマークに追加

サスティナビリティ(142)
2020年~2024年 「世界規模の環境被害の5年間」(12)
更新日:2012年05月15日

    

 徒歩通勤を始めてから1ヶ月が過ぎた。毎朝がまことに爽快である。大通公園の木々の緑が毎日その広がりと濃さを増し、バラの葉が毎日勢いよく芽吹きだしている。
 同時に、地下鉄を利用していた時に感じていた“いらだちやストレス”から解放されたことも爽快の要因でもある。

・きちんと列を作って電車を待たない
・入り口は身動き出来ないほど込んでいるのに中程はずいぶんと余裕がある。しかし誰も移動しようとしない
・シルバーシートは常に空いているのに誰も座ろうとせず、混雑は緩和されない
・大きなリュックを背負ったまま乗車し、スペースをとっている上に顔や肩に当たっても知らぬふり
・荷物を置く網棚も無い
・1人で2人分の席を占領したり、手荷物を座席の横に置いて座席を占領
・注意すると、冷たい視線が浴びせられる

 満員電車には長年慣れているがこちらの流儀にはなかなか慣れず、ストレスが溜まる日が続いていた。このような思いから解放されているので、徒歩通勤はまことに爽快である。

 さて、イラン情勢もホルムズ海峡閉鎖などの緊迫感が少々和らぎ、原油価格も低下しつつある。需要の低減もありガソリン価格もやや下がり気味だ。
ニューヨークの息子の話では、あちらのガソリン価格は1ガロン(3.8㍑)4ドルから3.7ドルまでわずか低下したが、夏場の旅行シーズンには4ドルを超えるのではないかと話されているそうだ。
 いささか古い話だが、私が米国に赴任したのが1985年。その頃のガソリン価格は1ガロン1ドル未満だったので、この間に4倍に値上がりしたことになる。車なしには生活できない米国で、これほどまでにガソリン価格が上がると家計への影響は極めて大きい。オバマ大統領の再任も、失業率が8%を超える状況が続くとともに、ガソリン価格が1ガロン4ドルを超えると厳しくなるとの見方もある。

 さて、日本のガソリンは現在140円ぐらいだが、1985年頃はいくら位だったのだろうか。エネルギー庁の調査では、1985年のレギュラーガソリン1リットルの価格は120円で、その後、オイルショック時の180円を除くとおおむね130円から140円で推移しており、この間15%に満たない上昇だ。不思議に感じるが物価の優等生である。
 米国が4倍になっているのに日本が15%程度の上昇で収まっているのはまさに円高効果である。
 1985年の原油1バレル(NY WTI)の価格は28ドルで、当時の円レートがドルに対して250円だったので日本円価格では1バレル約7000円。
 同じように年別に原油価格と円ドル換算レートで見てみると、2005年は原油56ドルに対し1ドル109円で日本円換算の1バレルは5900円、2010年が79ドルに対し90円で7150円、そして現在が100ドルに対し80円として8000円だ。日米のガソリン価格の推移とほぼ同じ傾向にある。
 1985年と現在で比較してみると、ドルベースの原油価格はでは3.6倍になっているのに、円では1.1倍しか価格が上がっていない。1985年為替レートはプラザ合意前の円安だったのでこれは特別として、2005年で比べてもドルでは2倍に上昇しているのに、円では15%下がっている。
 もし、為替が1985年以前のレートから変動していなかったとしたら、日本のガソリン価格は1リットル400円を優に超えていることになる。もし、そうなっていたとしたら、物流価格の高騰、家計や企業の燃料費負担増、自動車販売の低迷など、甚大な社会的・経済的影響をもたらしていただろう。
 日本の貿易で見てみると、2011年度の日本の原油輸入が11兆円なので、円高になっていなかったら優に40兆円を超す輸入額になり、日本の貿易収支は真っ赤だ。他の鉱物性燃料でも同じ傾向にある。

 前回は「日本は天然資源が乏しく、輸出で稼いだ資金で資源を購入しなければならない」という今までの常識について考えてみた。今回は第2の常識である「円高悪者説」について考えてみたい。本当に円高が日本経済を低迷させている全ての元凶なのだろうか。
 新聞報道や経済アナリスト報告等では株の低迷も円高のせい、デフレも円高のせい、「失われた20年」も円高のせいにしているが、円高のメリットをもっと考えてみる必要がある。

 2011年度の決算発表もほぼ出そろったが、23期連続増収・増益のニトリをはじめ、セブン&アイやイオンなどの流通業が過去最高益を出している。また、商社も揃って過去最高益の決算を発表している。各企業の経費節減努力やICT採用などで必死に経営努力していることもあるが、円高が大いに貢献していることも事実だろう。輸入の場合ドル決済は70%を超えており、円高ドル安がそのまま差益として計上される。
 一方、輸出の場合のドル決済は50%を切っており、輸入に比べて円安ドル高の影響は軽減されていることも考えなければならない。東日本大震災やタイ洪水被害を考えると、日本企業は大健闘しているのではないだろうか。
株安が続いており、新聞報道では円高がその元凶であるかのように伝えているが、円高に見舞われた2010年・2011年でも3562社中638社が過去最高益を出している(日経電子版5月9日)。
 さらに、円高を材料に日本企業の海外M&Aが進んでおり、これら買収した企業の利益からもたらされる資本収支の黒字が今後増加していくことが予想される。
 円高メリットを大いに活かすような方策を考えるべきではないだろうか。例えば、比較的に安い海外製品を購入する、海外の原材料を買う、海外旅行をするなど個人や企業で円高を有利に使う手はいくらでもあるだろう。

 それでは、2020年から2024年にかけての日本の為替レートはどうなっているのだろうか。本ブログ「2025年」では、2015年~2019年を「世界的混迷の5年間」とした。その要因としては、第1にリーマンショック後の流動性の大量投入でも経済は立ち直らず反対に投機的資金が溢れかえり各所にバブル崩壊の芽が出てきている点、さらに、政策金利が底をつき大胆な経済支援が打ちづらくなっている。第2に、ギリシャのデフォルトがポルトガル、スペイン、イタリアにも波及し、EUが立ちゆかなくなる点。第3にEUの経済低迷が中国などの輸出国に打撃を与える点(日本のEU依存度はGDP比で0.3%)。第4に、主要国・地域での貧富格差がさらに拡大し、各国内での混乱状態が発生する点。第5に、アフリカや南アジアでの人口急増で、食料品・水、その他の資源不足で大規模な難民が発生し、近隣諸国で混乱が生じる点。これらの諸点を挙げた。
 2020年から2024年には、「世界規模の環境被害」が予想される。
特に影響を受けるのが、立ち直り始めたヨーロッパ諸国を襲う寒冷化。モンスーン圏を襲う頻繁な洪水と干ばつ。南米でも森林消失と干魃が食料生産似打撃を与え、北米の沿岸部では高波とハリケーン被害が頻発すると思われる。
 日本も大雨や高潮被害、さらに予測は難しいが地震や津波が発生する恐れがある。しかし他国・他地域に比べ、日本の備えは東日本大震災や過去の災害の経験から優位にあるだろう。特に、自然災害リスクが圧倒的に少ない北海道は、日本で発生すると思われる被害を補完できる可能性が高い。

 こうして見てくると、2020年~2024年の為替レートは引き続き円高で推移するのではないだろうか。
 もちろん、何もしなければ日本固有のアキレス腱である少子高齢化、世界でも最も高い国・地方の債務残高で苦境に陥る可能性もある。これらをなんとしても克服し続けなければならない。
 選挙目当てとしか思えないポピュリズムに偏した「たら・れば」論議を今すぐにでも辞め、「税と社会保障の一体改革」に本格的に取り組むこと。
 海外からの鉱物性燃料資源輸入依存から、再生可能エネルギーを含めた国内資源の積極的な開発、もしくは日本国EZゾーン(経済水域)での海底資源の積極的開発を今から進めること、などがまず取り組むべき課題だろう。