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集部日記

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2013-11-15 進むか、脱原発

さすが、小泉純一郎さん。やってくれます。もちろん「脱原発宣言」のことです。とくに3・11以降、いろんな人が同じ内容のことを言っても、小泉さんのインパクトには遠く及びません。マスコミの扱いがまったく違うのだからしょうがないといえばしょうがないのですが。

原発ゼロについては、小泉さん自身、6月ごろから発言していたようです。実際、報道陣の入らないクローズの講演会などで、原発ゼロを言っていたようです。ただ、マスコミに大きく取り上げられるようになるのは8月下旬に掲載された毎日新聞の政治コラム「風知草」から。その後、各マスコミが小泉さんの講演会のたびに「元首相が原発ゼロ発言」と大きく扱い出しました。週刊朝日11月1日号では講演すべての発言内容を詳しく掲載。小泉さん本人も11月12日、日本記者クラブで約300人の記者を集めて会見しました。翌日の新聞が大々的に報じたのは記憶に新しいところです。

ここまでの流れについては、現在発売中の文藝春秋12月号に掲載されている「小泉純一郎 私に語った『脱原発宣言』」に詳述されています。筆者は、前出「風知草」を書いている毎日新聞専門編集委員の山田隆男さん。山田さんが8月23日に小泉さんから直に聞いた話を次のようにまとめています。

世界で唯一、現実に完成しつつある核のゴミの最終処分場、フィンランドの「オンカロ」を視察した感想については「10万年だよ。……300年後に考える(見直す)って言うんだけど、みんな死んでるよ。責任持てない。そもそも日本には捨て場所がない」

いますぐ原発ゼロは暴論だという声に対しては「逆だよ、逆。いまゼロという方針を打ち出さないと将来ゼロにするのは難しいんだよ。3年様子を見るっていうけど、3年後はもっとゼロ論者が多くなってると思うね。野党はみんな原発ゼロに賛成だ。総理が決断すりゃできる。原発ゼロしかないよ」「いますぐゼロにしたって、廃炉に50年、60年かかる。とにかく方針出さなきゃ転換できないじゃないか。(いますぐゼロか、将来ゼロかは)そこが違うんだよ。私だったら、ただちに結論を出して(説得)交渉を始めるね。やっちゃうよ」

昔は原発推進だったという指摘に対しては「そりゃそうだよ。当時は政治家もみんな信じていたんだよ。原発はクリーンで安いって。3・11で変わったんだよ。クリーンだ?コスト安い?とんでもねえ、アレ、全部ウソだってわかってきたんだよ。(原発は安全で安上がりなエネルギーと強調する)電事連(電気事業連合会)の資料、ありゃ何だよ。あんなもの、信じる人(いまや)ほとんどいないよ」

原発の再稼働にどうについては「安全なものは動かせっていうけど、それだってゴミ(使用済み核燃料)が出るんだよ。それ、どうしてわかんねえかな。そもそも野田(佳彦)総理の(事故)収束宣言が間違いだった」

潜在的核武装能力を失うことについては「それでいいじゃない。もともと核戦争なんかできねえんだから。核武装なんか脅しにならないって」

原発ゼロが経済に与える影響については「戦はしんがり(退却軍の最後尾で敵の追撃を防ぐ部隊)が一番難しいんだよ。撤退が。昭和の戦争だって、満州(中国東北部)から撤退すればいいのに、できなかった。『原発を失ったら経済成長できない』って経済界は言うけど、そんなことないね。昔も『満州は日本の生命線』とか言ったけど、満州を失ったって日本は発展したじゃないか」「日本は世界をリードできる。必要は発明の母って言うだろ。敗戦、石油ショック、東日本大震災。ピンチはチャンス。自然を資源にする循環型社会を日本がつくりゃいい。やり遂げれば世界に手本になる。『日本を見てみろ』ってことになるよ。ヨーロッパはドイツ、アジアは日本が引っ張ったらいい。原発ゼロでも経済成長できるところを見せるんだよ」

“小泉節”は健在です。非常に歯切れがいい。誰が何を言おうとかなわないとつくづく思います。そんな折、使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の処理技術を検証する研究が本格化するというニュースが出ました。日本原子力研究開発機構が宗谷管内幌延町で進めていた研究施設のことです。掘削工事にめどが立ち、2014年夏にも地下に実物を模した容器を埋める実験が始まるというのです。

北海道は本当に日本から離れないと、とんでもないことになってしまいます。豊かだった資源を収奪されたあと、核のゴミを推しつけようとしています。こんなことを道民はいつまで許すつもりでしょうか。もはや独立しかないのかもしれません。

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