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サスティナビリティ(26)クリーンテック革命で北海道の再生を-(11)
Consumer(環境に高い関心を示す消費者の急増)(1)
更新日:2008年07月10日

    

 「G8 北海道・洞爺湖サミット」が三日間の会議を終了した。この間、環境に関するテーマが世界中に発信され、多くの人々がサステイナビリティ(地球環境の維持)に高い関心を寄せたことだろう。また、北海道の美しい自然が写され、この自然環境を大切にしなければとの思いを抱いた人も少なからずいただろう。
 「自分に出来ることから何かを始めたい」、そのように感じた方々が多かったのではないだろうか。
 今、世界中でLOHAS(Lifestyle Of Heals And Sustainability:健康と地球環境を大事にするライフスタイル)人口が増えている。ロハス人口は米国とヨーロッパで大きく伸びており、米国では人口の26%がロハス層と云われ、ヨーロッパでは35%にも上っている。これらの人々は健康や環境への関心が高く、自分の価値観や考え方に合う企業の商品やサービスを選び、地球環境維持に配慮した商品であれば価格が高くとも購入する。オーガニック食品を好み、オーガニック綿の服を着、ハイブリッド車を運転し、再生可能エネルギー(風力・太陽熱)に投資し、ヨガを楽しむ。
 日本においても年々ロハス人口は増えており、今回の「北海道・洞爺湖サミット」で増加に拍車がかかるのではないか。また、中国やロシアなどの新興国でも中流層を中心に急増しており、世界の消費者マーケットが大きく変わろうとしている。 今後、企業はこういったロハス層の消費者嗜好(しこう)に対応しない限り、ビジネスでの発展を望めなくなる可能性が高い。エネルギー価格の高騰、化石燃料による温暖化と地政学的な危機が現実問題として認識され始め、消費者嗜好は、クリーンな商品とサービスへとシフトしつつある。この変化に対応すべく、小売業から自動車産業にいたる多くの企業はクリーンで効率的商品を開発、積極的にマーケティングする方向にかじを切らなければならなくなってきている。
 先月(本年6月)、マーケットとしては日本よりも先行している米国ニューヨークとダラスに行き、その状況を視察してきた。
 ニューヨーク・セントラルパークの南西の端、コロンバス・サークルの程近く、タイムワーナーセンターの地下に、ホールフーズマーケットと呼ばれる食材販売チェーンの店舗がある。エスカレーターを降りていくと、広いスペースに色鮮やかな野菜と果物が山積みされ、そのすべてが自然食品、いわゆるオーガニック・フードである。1999年以来、ロハス層が増えるとともにその売上も増加し、オーガニック商品は年率20%の勢いで伸びている。 ホールフーズマーケットはわずか25年前にテキサス州で自然食品スーパーマーケットとして開業したが、今や300店近くに拡大し、米国食品業界でも最も高い成長を示している。その成功の鍵は、ロハス層の健康志向を受け止め、環境対応の企業姿勢を打ち出した点にあった。ニューヨーク・マンハッタン店は、今やニューヨーカーのライフスタイルを変える勢いである。 一方、テキサス州ダラスではウォルマートのグリーンストア実験店を訪れ、店長からほぼ2時間の説明を受けた。世界最大の小売業ウォルマートは、本年1月期決算で41兆円の売上を記録しているが、過去、低賃金や保険料負担問題で不評を買っていた時期もあった。これを一掃すべく打ちだした戦略が「サステイナビリティ360:あらゆる分野で地球環境維持活動を行う」である。目指すところは、100%再生可能エネルギーを使用すること、廃棄物を完全になくすこと、そして環境に優しい商品を販売することであり、4年以内に排気ガスを30%削減する数値目標を掲げている。
 この戦略は2005年に打ちだされ、それを具体的に推進するため2カ所に実験店(グリーンストア)を設けた。今回訪れたダラスのマッキニー店はその一つである。 店舗の近くには3基の風力発電用タービンが回っており、店舗の壁面や屋根にはソーラーパネルが設置されている。現段階では、風力発電で5%、太陽熱発電で10%の使用電力をまかなっている。特に興味深かったのは、トイレの洗面所上部に小型のソーラーパネルが設置されており、蛍光灯の明かりで蓄電、トイレ内に電力を供給する実験システムであった。また、トイレの水洗もわずかな水で洗浄できるよう試行錯誤を繰り返している。店内の照明は、天井からの自然光とLED電灯でまかなっており、お客が通る時だけライトが点灯するようになっている。廃棄物はすべてバイオ処理した上で土にし、それを販売している。この土の年間販売量は13万6千トンにものぼる。
 店舗内での取扱商品も環境に配慮がされており、再生利用可能なプラスティック容器のヨーグルト、オーガニック綿52%と再生繊維48%のシャツ、水産資源の枯渇防止を目的として適切量での水揚げが認定された魚等が並べられている。また、店外では、市街地での樹木育成実験やヒートアイランド対策の実験が行われている。その実験プロジェクトの総数は300に達している。また、商品が原・材料から売場に陳列するまでどれだけのCO2を使ったか、カーボン・フットプリントを明示する取り組みも進められている。このため、ウォルマートはカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CO2商品表示プロジェクト)に加盟している。
 全体的に、華やかさはないが、ウォルマートらしい地道な努力が続けられているとの印象を受けた。小売業界で圧倒的なパワーを持つウォルマートも、今後いっそう影響力を及ぼしてくるであろうロハス層に対応すべく、消費者の環境志向への変化を先取りしている様子がうかがえた。
 今後日本でも、また近隣の新興国でもロハス層は急速に増えてくると思われる。この新たなマーケットで、北海道には果たしてどのようなビジネスチャンスがあるのか。またそのビジネスチャンスをつかむにはどのような策を打つべきか。次回、私案を述べたい。