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サスティナビリティ(24)クリーンテック革命で北海道の再生を-(9)
Competition(各国、地域による主導権掌握争い)-2
更新日:2008年06月20日

    

 温暖化ガス削減で各国が主導権を争っているが、その例を一部紹介したい。

 EU諸国は一致して温暖化ガス削減を推進し、2020年までに1990年比20%削減を数値目標に掲げている。その中心は再生可能エネルギー(風力・太陽光、小規模水力・バイオ燃料)の活用で、比率を現在の9%から20%に引き上げる。ドイツでは風力発電で100万人の雇用を創出しているとのことである。
 EUのディマス委員は日経新聞のインタビューに対し「資源価格上昇の中、再生可能エネルギー利用拡大は企業や消費者の利益となり国際競争力や環境技術の推進につながっている。欧州では過半数の市民が賛同しています」と語っている。EU全体として年間600億ユーロ(約10兆円)という巨額資金を環境対策に投資している。

 米国は京都議定書に参加せず温暖化ガス削減に後ろ向きと見られているが、与野党で合意したリーバーマン・ウォーナー法では2050年に2005年比63%の削減をうたっており、共和党・民主党大統領候補も賛同している。特に民主党候補はそろって2050年に80%削減を公約している。ブッシュ大統領の後、誰がなっても「排出取引制度導入法案」は導入される見通しである。また、2007年度風力発電は前年比45%と伸びており、太陽光発電も勢いづいている。さらに、カリフォルニア、ニューヨークなどの州段階ではさらに高い目標値を設定し、既に積極的な取り組みを実施している。

 中国は環境後進国と見なされがちだが、2007年、前年比倍増となる3,300基の風力発電施設を建設し、環境改善を国家戦略として取り組んでいる。

 一方日本は、世銀調査によると、温暖化対策で調査した70カ国の中で62位という恥ずかしい位置付けになっている。石炭エネルギーが増え、自然エネルギーが伸びていないのがその要因とのことである。

 温暖化ガス排出削減に向けた国際競争の中で、国や道が取り組むべき分野は、第一に国内(道内)再生可能エネルギー利用の拡大、第二に森林資源の活用(CO2吸収・間伐材の利用)、第三に国内排出量取引の開始、そして国民(道民)の参加ではないかと思う。

 再生可能エネルギーに関し、経済産業省は「グリーン電力購入費の損金参入」で、認定証書を購入した場合、課税されないとの普及策を発表した。また、同じく経済産業省は2001年に新エネルギー導入拡大を目指して「グリーン電力証書」を発行している。北海道洞爺湖サミットでも、この証書を販売することで期間中に排出したCO2をオフセットする計画だ。シャープなどが利用しているが、現時点では企業側にメリット(排出量の削減にカウントするなどの)はなく、企業イメージの向上に利用されているのが現状である。
 これらの施策で世界の再生可能エネルギー利用拡大の動きに対抗するのは心もとないと言わざるを得ない。太陽光発電の補助金は打ち切られ、風力発電では地域発電ベンチャー企業が申し込んでも電力会社の買い取り枠制限により抽選(それも20倍を超える倍率)でしか設置できないという状況では、この程度の普及策で再生可能エネルギーが伸びるとは思えない。まず、買い取り枠制限を廃し、5年後、10年後、20年後の再生可能エネルギー比率目標を定めるべきだろう。自然エネルギーは高いとの認識はあるが、化石エネルギーの高騰により過去の計算はし直すべきだし、また自然エネルギーの不安定性についても他国の経験を学ぶべきだろう。さらに、排出量を購入することになると、排出権は現在1トンあたり20ユーロ(3,200円)で取り引きされている。北電の2007年度排出量1,389万トンでは44億円で、今後排出権の価格は100ユーロになると想定されており、200億円を超える排出権購入になる。

 再生可能エネルギーの電力比率が高まると、地域電力ベンチャー企業が育成され雇用が創出されるとともに、風力タービン、ソーラーパネルの生産工場が拡張されることになろう。自動車大国のドイツでは近い将来に、環境ビジネスが自動車産業を超えるだろうといわれている。日本の高い技術の活用、北海道のクリーンで広大な用地と鮮度の高い用水:北海道は環境産業に適した地域であると思う。
 森林資源の活用に関しては、前々回で触れたので簡単に述べるが、ここでも間伐や植林などの森林保全事業に国内排出権が適用されると、安定した企業運営が可能になり温暖化ガス抑制につながるのは間違いないと思う。森林保全(間伐・植林)、間伐材やセルロースの商品化(木材、チップ、バイオエタノール、燃料用ペレット)が一体となった事業に国や道の支援や指導が望まれる。