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サスティナビリティ(120)
2025年(11)  2010年~2014年 「日本は更なる失われた5年間へ」(7)
更新日:2011年06月15日

    

 甘酸っぱいアカシアの香り、可憐なスズランの花、パッチワークのように整然と植えられ咲き誇っているパンジー、楡の木陰・・・。毎朝地下鉄西11丁目駅で降り、大通公園と創成川沿い遊歩道を歩き、会社(南9条、西1丁目)まで1時間弱の徒歩通勤している。東京で勤務していた頃は、この時期蒸し暑い満員電車で毎日耐え難い1時間を過ごしたものだ。今年は首都圏のみならず中部・関西地域でも節電が強いられ、数千万人に及ぶ“痛勤者”は堪え忍ぶ限度を超えた時間を過ごさなければならないだろう。多くの方々に北海道への移住、長期滞在を勧めたいものだ。そのためにも、北海道における産業の育成と雇用の拡大を計画し着実に実現していかなければならない。その中核は自然エネルギー産業、データセンターを始めとしたIT産業、ITを駆使した大規模農業、そして長期滞在型観光産業なのではないだろうか。特に自然エネルギー産業は、前回と前々回で紹介したように、北海道は風力、地熱、バイオで大きな可能性を秘めており膨大な新規雇用が見込まれる。

 インターネットで国内外のニュースを検索しているうちに重苦しい気持ちにさせられる。本シリーズを書き始めてからほぼ半年になろうとしている。この間、国内・国外を問わず社会・経済・政治・環境面で驚くような事象や事故が起こった。東日本大震災、福島原発事故に起因した世界的なエネルギー政策の見直し、欧州PIGs各国のさらなる財政危機に関わる混乱、米国の景気停滞の兆候、中国の不動産バブル崩壊の懸念、北アフリカ諸国の民主化運動の過激化、中国の長江流域の大干ばつ、米国中部の大竜巻、資源や穀物価格の急騰による各国でのインフレ懸念などなど、まさに歴史の転換点に身を置いている印象が強くする。

 2025年までの最初の5年間を「日本は更なる失われた5年間へ」と題し、社会・経済、為替、国際、環境の各面から6回にわたって連載してきた。今回はそれらをまとめてみたい。
 経済面ではリーマンショック後、米国や中国を始めとして大量のマネーが市場に溢れ、これにより世界経済は2009年から2010年にかけて回復基調になった。しかし、この局面は一区切りついたと考えた方が良さそうだ。米国では財政赤字が表面化し失業率の改善も遅れミゼリー指数(悲惨指数:失業率とインフレ率の合算)が10%を超える勢いで、QE2(量的緩和第2弾)が終了する6月には金利上昇に伴う経済の落ち込みが予想される。中国では不動産バブル崩壊の懸念に対処するための金利上昇、賃金の高騰による企業収益の低迷、資源価格や食料品価格の上昇によるインフレの加速度化が起こり、経済成長の勢いは下降局面にはいっていくと思われる。EC諸国はPIGs(ポルトガル、アイルランド、ギリシャ)の財政危機が深刻度を増し、イタリアに波及する恐れがある。イギリスも深刻な財政危機に瀕している。日本は東日本大震災による電力不足や部品供給がいつ回復するかが課題だ。遅れれば企業の日本離れが加速し、空洞化も懸念される。ただ、米国の大統領選挙、中国国家主席の交代が2012年にあり、政治的流れから見ると極端な経済不況にはならないと思われる。何らかのカンフル剤が投入されることになるのではないだろうか。しかし、この薬の効果が切れる時期、おそらくは2014年頃から2019年までの次の5年間は、厳しい不況が世界を覆うことになると考えられる。

 日本経済研究センターは、日本のGDP実質成長率を2011年がマイナス0.6%、2012年がプラス2.7%と予測している。2014年までの5年間、GDPは平均1%前後のプラスで推移し「日本は更なる失われた5年間」となるのではないだろうか。ただ、考えてほしい。バブルがはじけた1990年からの失われた20年で、格差の問題はあるが、現代の日本時の生活は極端に落ち込んだろうか。バブル的生活が修正されたと考えられることもできる。その意味で「更なる失われた5年間」は決して悲観すべきものではない。この間に、自然、安心、安全、絆、地域を大事にする新しいライフスタイルが生まれ、また今後はそれらを生み出す産業が成長していくのではないだろうか。今回の「東日本大震災」はライフスタイルを転換するいい意味でのショックになったのではないだろうか。「自然、安心、安全、絆、地域」は、まさに北海道の優位面であり、この間にその優位性を具体的に実現する方向性を打ち立てていかなければならないだろう。

 地球温暖化に関し、今回の福島原発事故は世界中に原子力発電の安全性に大きな疑問を投げかけ、ドイツが2020年までの全面撤廃を表明したのをはじめとして見直しの機運になっている。
CO2削減を原子力発電の拡大で実現しようとしたシナリオは崩れようとしている。欧州各国を中心に進められている再生可能エネルギーのシェア拡大には時間がかかり、2010年~2014年の5年間では石油・石炭・天然ガスなど化石燃料による発電の割合が増えることになるだろう。したがって、CO2は増加の勢いを増してしていく。
昨年は世界的な異常気象だったが、地球温暖化が人為起源によるCO2によるものとしたら、今後は異常が常態化していく可能性が大である。本年以降も、世界的に干ばつ、洪水、熱波、冷夏が発生した場合、農作物の被害は甚大。アジア・アフリカでの人口増加は食料危機に拍車をかけるものとなろう。飲料水の問題もある。中国長江流域の干ばつは、すでに食料・飲料水の不足で大問題に発展している。農産物の価格は多くが前年を数十%上回っており、トウモロコシなどは2.3倍の価格になっている。現在の中国産米と日本の銘柄米との価格差は1.3倍だが、日本のコメは品質を加味しなくとも中国産米より安くなる可能性があり、充分に競合力が出てくる。一方、多くの国は食料不足に悩んでおり、今後もその状態が改善されるとは思われない。2010年~2014年の5年間で北海道の農地がさらに大規模化され、温暖化と品種改良により一層おいしい農作物が生産されたなら、食料危機に悩む各国に輸出することが可能になる。
TPPやFTPとの論議とは関係なく、自然な経済原理で北海道の農産物は海外で受け入れられ、輸出産業としての位置を確固たるものとするだろう。水も同じで、日本がフランスから大量の水(ミネラルウォータ)を輸入していることを考えれば、北海道の安全でおいしい水を、日本海側の港から中国など隣接する国に大規模に輸出することは決して夢物語ではない。

 今までの日本経済を考えてきた場合、工業生産物がその中心に位置し、自動車・電機製品・機械・繊維が幅をきかせ、日本の成長もそれら製品に依存してきた部分がある。果たしてこれからもそうだろうか。自然エネルギー関連、インフラ(鉄道・電力網・道路網・水道施設)、アミューズメント(観光も含め)、教育・医療、海洋資源開発、そして農業・林業がその重要性を一気に高めていくことになるだろう。これら今後の成長分野で、北海道はいくつかの分野で極めて有利な条件が揃っている場所だ。2010年~2015年の5年間、北海道に住む我々がすべきことは、本道の優位性を国内外に積極的に情報発信をした上で、プロジェクトの立案、投資企業の勧誘、法的制度の策定、推進母体の設立、そしてフロンティアスピリットが重要になってくるのではないだろうか。

 ただ、それにしても、現在の政治の混迷が気にかかる。