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サスティナビリティ(129)
2025年(20)2015年~2019年「世界的経済混迷の5年間」(8):北海道編-3
更新日:2011年11月01日

    

 懸命に補強した運河の堤防も決壊し、バンコク中心部にも冠水が始まった。過去50年で最悪という水害が襲っているタイでは、北部のほぼ全ての県が浸水し、既に(10月31日現在)366人の死者を出し数百万人に被害が及んでいる。ツイッターにはバンコク在住日本人からの悲鳴が溢れている。
タイのインラック首相によれば、洪水が引くのに6週間はかかるだろうとのこと。日本企業も数多く進出している工業団地は溢れる水に覆われ、復旧に数ヶ月を要するとの見方もある。タイのGDP成長率は、洪水前の予測4.1%から2.6%に引き下がる見通しである。それ以上に、上水道、下水道、工業用水、灌漑(かんがい)用水はいつ復旧出来るのだろうか。衛生上の問題も大いに気にかかる。いうまでもなく、「水」がいかに貴重な存在なのかが思い起こされる。
 このブログを書いているのは10月31日だが、インターネットでタイの洪水状況を検索していると、11月1日付けの「バンコクナビ」で「過去数十年で最悪の被害」という記事が掲載されていた。何かの間違いではないかと日付を再確認すると、昨年(2010年)の「タイ洪水情報」であった。つまり、同じ事態が2年連続して発生しているのだ。
アジア技術研究所は「地球温暖化が続けば50年後に、タイ首都バンコクが海に浸かってしまう」との学術セミナー資料を2009年に発表している。50年待たずに、その兆候が現れていると理解すべきなのではないだろうか。日本企業が多数進出していることでタイの洪水情報が毎日紙面・テレビニュースを賑わしているが、カンボジア、バングラディッシュなどの東南アジア地域の国々も同様な被災に直面している。

昨年は世界の各地で熱波・干ばつ・寒波が猛威をふるったが、今年は「水」の被害が相次いでいる。10年末から今年初めにかけてのオーストラリア東部の洪水、本年の春から夏にかけては、中国長江流域で記録的な干ばつがあった後、記録的な大雨が襲った。
本年、米国では5月、6月に南部で干ばつ、北部で洪水が発生し、東部にはハリケーンが襲来し首都ニューヨークも大きな被害にあった。同じニューヨークでは、季節外れの大雪が10月末に襲い、現地に駐在している息子一家からの悲鳴がSkypeで送られてきた。
 日本では台風12号が死者・行方不明者が100名を超える平成最悪の被害をもたらし、さらに台風15号は日本を縦断し、東京の交通機関に大規模な影響をもたらすと共に、近畿・関東は記録的な豪雨に見舞われた。これら「水」に関する災害の原因として、地球温暖化現象が取りざたされている。科学的に究明しなければならないにしても、人為起源による温室効果ガスの止まることのない放出をその原因として疑わないわけにはいかない。

2050年までにCO2排出を1990年比50%削減することを目標にしたCOP17(第17回国連気候変動枠組条約締約国会議)が11月に開催されるが、先進国と新興国、発展途上国の間で合意がなされる見通しは絶望的だ。京都議定書に米国や中国が参加することは難しく、さらに日本・ロシア・カナダも外れる可能性が高い。
世界的な温暖化防止への取り組みが後退すると、2015年~2019年にかけてCO2は増え続け、地球温暖化に起因すると思われる災害は世界各地で頻発することになるだろう。

タイでは、食料品店の棚からカップ麺とミネラルウォーターのペットボトルが一斉に無くなっているのがテレビで映し出されている。先の東日本大震災でも、日本中のコンビニやスーパーマーケットからペットボトルが消え失せる現象が起きた。(私も数ダースの「北海道の水」を被災地と東京の家族に送った)。まず「命の水」を求めるのが被災者の行動だろう。
2015年~2019年にかけて頻発すると思われる自然災害に対し、「命の水」の供給と備蓄体制にしっかりと取り組むことは、言を待たずとも最優先課題の一つである。
ましてや、現在でも最低限の飲用基準をクリアした水資源を持たない人が世界には10億人に達しており、2025年には人類の3分の1が慢性的水不足にあえぐ状況になると予測されている。

幸い、北海道に住む我々は幸せである。道民一人当たりの水資源賦存(ふぞん)量は10135立方メートルで全国平均の3倍、渇水年でも7074立方メートルで道外平均の35倍もある。豊富な地下水を加えると、賦存量のほぼ100倍近くの水資源に北海道は恵まれている。さらに、全国の「きれいな水域」ベスト5では道内の河川が常に上位を占めている。
河川上流部の自然環境が良好に維持されているため、「羊蹄の吹き出し湧水(京極)」「甘露泉水(利尻)」「ナイベツ川湧水(千歳)」など、日本名水にも選ばれる「おいしい水」があちこちから吹き出している。
世界で、「水」は立派な戦略的資源である。北海道の「水」を戦略的に活用できないものだろうか。

さて、ペットボトル入りミネラルウォーターについて、日経新聞電子版が「フランスのダノン社はなぜエビアンを手放すのか」という記事を掲載した。既報の様に、グローバル企業ダノンは水事業売却をサントリーに打診している。同社は「エビアン」や「ボルヴィック」を生産し、世界のミネラルウォーター市場をリードしている。なぜ基幹事業を手放すのだろうか。日経編集委員の田中氏は、二つの点を指摘している。先ず「わざわざ時間とコストをかけて遠くの山から水を汲み、運んでいいのだろうか」という消費者の厳しい視線があること。さらに、ペットボトルの原料は石油に由来するものが多く、地球環境に対して敏感な消費者から問題が指摘されていることだ。水道で済むところを牛乳やガソリン、さらにはビール系飲料よりも高い値段で購入することが、果たして正しい消費者行動なのか。

欧米の成熟社会ではLOHAS層(健康と地球の持続性に関心の高い人達)を中心に、このような意識の変化が起きている。日本でも、2008年に1961億円という売上をピークにミネラルウォーターの売上は、2009年、2010年と減少に転じている(2011年は東日本大震災の特殊需要があり増加していると思われる)。
一方、先に述べたように、災害時や開発途上国への支援としての水資源需要は、今後膨大な量になるはずである。安全・清潔で「安価な水」が大量に求められることになるだろう。「札幌の水」「小樽の水」「旭川の水」など、既存水道施設の拡充でこれらの需要に応えられないだろうか。
災害の起こる頻度が比較的少ない北海道が、「支援水」で全国各地の被災地さらには水不足にあえぐアジア各地に「きれいな水」を提供できたなら、北海道価値は必ずや高まることになるだろう。
「北海道の水ブランド」の価値が高まったとき、北海道の水ビジネスは新たな展開を迎える事になる。2015年~2019年には、北海道の豊富なバイオマスを活用した安価なセルロース系バイオ・プラスティックも普及が開始され環境破壊の懸念がなくなる可能性が高い。吹き出し水などの「道産おいしい水」は、安全・健康・環境を志向する人達に充分受け入れられるだろう。

現在、北海道のミネラルウォーター・ビジネスは50億円程度で、日本全体の3%に満たず、山梨県の9%以下に低迷している。更に、日本はフランスから海を越えて280億円ものボトル入りミネラルウォーターを購入している。
2015年~2019年、北海道で300億円を目指しウォーター・ビジネスに取り組む価値は大いにあるだろう。