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サスティナビリティ(135)
2020年~2024年 「世界規模の環境被害の5年間」(5)
更新日:2012年02月01日

    

「私に力があれば除雪・融雪に馳せ参じたい気持ちです。せめて添付の写真で温まっていただければ嬉しいのですが…」。東京の友人が北海道の豪雪を心配してメールを送ってくれた。添付にはお猿さんが気持ちよさそうに温泉で暖まっている写真が載っている。
雪国での生活を経験しておられない方々にとっては、とても生活が出来ないような厳しさを想像しておられるのだろう。
 先般東京に出張し、朝方、近くの川沿いの道を歩いたが、底冷えで身を切るような冷たさは札幌とそれほど変わらないように感じた。気温で7~8度の違いがあるが、着ているものや気の持ちように加え、降り積もった雪が適度の湿気で地表からの冷気を抑えてくれる効果もあるのではないだろうか。
 「本州の梅雨時や猛暑の夏はとても人間の住めるものではない」と、友人達に北海道への移住を薦めてきたが、心の中では「北海道の厳しい冬を彼らが我慢できるのだろうか」という不安が交差していたものだ。大丈夫!東京も北海道も冬は寒いのだ。その寒さを北海道では楽しむことが出来る(ツルツル道を除いて)。札幌市内のあちこちで中国語が聞こえてくる。台湾・中国の方々はわざわざ雪を楽しみに来ているのではないか。 今日から2月、寒さがあと1ヶ月続くと思うと気が重くなるが、来週からは雪祭りも始まる。ここが寒さの底と思うと、北海道の冬を楽しむのはあと1ヶ月しかない。

 さて、2020年~2024年の5年間に起こると思われる世界の環境変化について見ていきたい。まず、最も懸念される環境被害はアフリカ中部サヘル地区に発生するのではないだろうか。サヘル地区はサハラ砂漠の南淵部にあり、主要国としてはモーリタニア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、チャド、スーダンがあり、2010年後半以来騒然とした「アラブの春」のチュニジア、リビア、エジプトの南側に位置している。
 この地域では、人口の急増による無秩序な放牧、木々の伐採で土地はやせ細り、水資源は枯渇しつつある。その上、北米やヨーロッパ各国の大気汚染が偏西風で流れ込み、世界規模での環境汚染の被害地にもなっている。1968年には干ばつで100万人が死亡し、5000万人余りが影響を受けた。現在も続くスーダン・ダルフール紛争では、2003年以来40万人が殺害され、ほぼ同数が難民になった。その根本的原因は食料不足だ。この地域はただでさえ降雨量が少ないのに、21世紀中にさらに25%減少するとも言われており、砂漠化が現在も進行中である。
 地球を破滅に導くティッピングポイント(臨界点)で最初に紹介したのが“チャドの砂塵”。
 かつてチャド湖であったところが干上がり、膨大な堆積物が砂と共に砂漠化し、ボデーレ低地として広がっている。
地球温暖化と共に地表の温度が高まり、上昇気流が発生すると膨大な量の砂塵が上空に舞い上がる。11月から3月にかけて上空には現地の言葉でマルハッタンと呼ばれる貿易風(東風)が吹き、砂塵は西アフリカ・サヘル地域に降り注ぎ、さらに地中海からアマゾンまでその影響を受けることになる。砂塵が食料生産・飲料水・健康に及ぼす被害は甚大なものになると容易に想像がつく。
問題は、ただでさえ砂漠化の進行で干ばつに苦しんでいるのに、この地域では人口増加がすさまじいということだ。2020年~2024年にかけ、飢饉による多数の餓死者が生じると共に、食料を巡っての紛争が各地で勃発する恐れが大である。
数十万(数百万)の環境難民が発生し、近隣諸国に押し寄せる可能性が高い。押し寄せる先は、かつてこれらの国を植民地として治めていた宗主国のスペイン・イタリア・ポルトガルなどの南欧諸国やイギリス・フランスになるだろう。すでに、スペインのカナリア諸島には難民キャンプがあり、本国への流入を必死に防いでいる。
 南欧諸国は債務問題で苦境に陥っているが、2020年~2024年になるとその上に砂塵被害と大量の環境難民問題が深刻になるだろう。現在でも、南欧諸国やイギリスでは移民が大きな問題になっており、雇用が奪われるということで大規模なデモが起こっている。けた違いの環境難民が命をかけて押し寄せてきたとき、それを阻止する側とのせめぎ合いは、深刻な武力闘争に発展しかねない。
その時期、地中海地域は気温上昇、海面上昇による塩害、降水量の減少で農作物収量の大幅減少が予想されている。国の債務問題(ソブリンリスク)に揺れているEUは、さらに大きなリスクである環境被害で崩壊の危機に瀕することになる。

さて、中部アフリカ・サヘル地区に端を発する環境被害は日本にどのような影響を及ぼすのだろうか。まず、ドイツ・北欧を除くヨーロッパ各国の経済が破綻することで、日本からの輸出は大きく落ち込むことになる。特に、精密機械・家電を中心とした製造業の輸出はほとんど見込めなくなるのではないだろうか。反対に、支援物資を含めた食料・飲料水の輸出は大きく伸びることになるだろう。現在、フランスから300億円ほどのミネラルウォーターを輸入しているが、それが逆転するだろう。日本が得意としている薄膜技術を駆使した海水や汚染水の浄化プラントなども採用され普及することになろう。

日本よりも影響を受けるのが、EUへの輸出比率が高く、またEUの金融機関から多額の資本が導入されている中国で、経済成長率に及ぼすインパクトは日本を遙かに超えるものになるだろう。中国の経済減速が日本に及ぼす影響は、アフリカ・EU破綻による直接的損失よりも大きいかもしれない。

アフリカ・チャド、ボデレー低地からの砂塵は貿易風(東風)によってアマゾンまで到達すると言われている。世界的経済に及ぼす影響を無視することは出来ないが、太平洋を隔てた日本への砂塵の直接的影響は軽微であろう。
それよりも日本にとって恐ろしいのは黄砂である。中国国土の3分の1は砂漠化しており、特にモンゴルや北京周辺では土壌が劣化し、砂漠化が進行している。これを防ぐために植林しているが、植えた木が水分を吸収するためさらに砂漠化が進むという悪循環を招いているそうだ。2020年~2024年にかけ、チベット高原の氷河が融溶する可能性が高く、長江のなどの河川流量が増大し洪水をもたらした後、大幅に減少する可能性が議論されている。また、モンスーンの弱体化による黄河の水量減少も、砂漠化の進行に拍車をかけることになる。砂漠化により黄砂が頻繁に発生すると、偏西風(西風)に乗って朝鮮半島を経由して日本にも到来する。朝鮮半島では毎年黄砂が高波のように数㍍もの高さで押し寄せてきている。日本では春先に西日本中心に黄砂が降り注ぎ被害を出しているが、2020年~2024年には大規模な黄砂が頻繁に襲来することになるだろう。
東回りのチャドの砂塵と西回りの黄砂で、春先には世界各地が薄暗い空に覆われ、降りそそぐ砂塵に苦しめられることになる。その影響は、極地やヒマラヤの氷山・氷床の溶融を早め(アルベール現象:雪や氷が汚れることで溶けやすくなる)、サンゴの白化現象を拡大させ、大気を不安定化にすると考えられている。

今日は快晴。雪に覆われた山々を鮮やかに見ることが出来る。北海道はあと1~2ヶ月で緑に覆われるが、その時期九州や西日本では偏西風に乗った黄砂が青空を覆うことになる。