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サスティナビリティ(141)
2020年~2024年 「世界規模の環境被害の5年間」(11)
更新日:2012年05月01日

    

 「エコカー減税」が継続されるということで、思い切ってハイブリッド車に乗り換えた。納車後2週間ほど経ち、市内走行と高速走行を一通り試し、燃費を確認すると1リッター当たり約20キロだった。今までのガソリン車が約10キロだったので、ほぼ倍の燃費効率なうえに、レギュラーガソリンだ。燃料消費は当然半分になる。
 エコドライブ、通常ドライブ、スポーツドライブと走行モードを選択できるので、表示を見ながら自然とガソリン消費を抑えた運転になり、エコドライブの意識も必然的に高まっていく。
 これではガソリンスタンド経営も大変だな、と思って調べてみると、2000年に全国で5万3000あったスタンドが2010年には4万3000に減少している。減少の大きな要因は高齢者や若者の車離れ、低燃費車への乗り換えだったと思われるが、今後、ハイブリッド車、プラグイン・ハイブリッド車、電気自動車、高効率のディーゼル車などへのシフトが急速に進展すると、スタンド減少に一層の拍車がかかっていくだろう。
 2011年度の新車販売で、ハイブリッド車比率は17.1%だったそうだが、2020年~2025年にかけてはほぼ全てが低燃費になっていくと予想される。そうなってくると、ガソリン国内消費量は半分以下、場合によっては3分の1になると思われる。
 資源小国の日本では、鉱物性燃料輸入は昨年度22兆円程度で総輸入額の32%を占めている。昨年は原発の停止で火力発電に頼ることとなり、必然的に鉱物性燃料の輸入額が増え、過去最大となる2.5兆円の貿易赤字になった。今後はどうなっていくのだろうか。

 前回のブログで2020年問題に触れた。日本の総負債と総資産のバランスが崩れ財政破綻になる可能性のある年、貿易赤字が増大し経常赤字に陥る可能性のある年、そしてCO2がピークに達する可能性のある年だ。いずれも日本の持続性(サステイナビリティ)に深刻な影響をおよぼす要素である。これら2020年問題が現実化すると、我々の子や孫を含む将来世代に莫大な負の資産を残すことになる。
 何とかすることはできないのだろうか。素人なりに以下の案を考えてみた。その中で、北海道が果たす大きな役割についても指摘していきたい。

 まず、なんとしても避けなければならないのは財政が破綻し、日本がギリシャ化する道だ。国の総負債が総資産を上回った時、日本国債の格付けが下落し金利が上昇する。したがって大幅なインフレに陥る可能性が高い。当然、大幅な円安となり鉱物性燃料を始めとした輸入品は高騰し、さらなるインフレを招く。円安で輸出が伸びるという期待感もあるが、労働適齢人口の減少と産業の空洞化が進んでおり、思うように輸出が進むとは限らない。

 ここで、今まで経済の常識とされていたいくつかの点を見直してみる必要がある。
 第1は、「日本は天然資源が乏しく、輸出で稼いだ資金で資源を購入しなければならない」という点だ。
 2011年度の統計を見てみると、輸出が65.5兆円に対し輸入が68兆円で、差し引き2.5兆円の貿易赤字である。輸入の中で、鉱物性燃料は約22兆円を超え、前年を25%上回っている。原発停止による燃料輸入が増えたことが貿易赤字になったとマスコミ各社は報道し、その裏付けとなっている。
 しかし、火力発電に主に使用される天然ガスを除き、原油も石炭も数量的には前年を下回っている。天然ガスにしても、大騒ぎしている割には前年対比でわずか12%の数量増加でしかない。問題は価格の大幅アップである。原油で前年比21%、天然ガスは38%も上昇した。
 世界的な需要増加、アラブの春・イラン問題などで価格の上昇はやむを得なかったものの、原発中止による緊急・駆け込み需要で高値をつかまされている可能性がある。これをどのように改善できるだろうか。
 まず、原油の半分はガソリンや軽油として精製される。冒頭で述べたように輸送用機器(自動車・船・航空機)に使用される燃料は2020年にはおそらく半分以下になっているだろう。そうすると、2011年の原油輸入11兆円のうち、3兆円近くが2020年には電気自動車や低燃費車の普及で削減されるだろう。
 さらに、技術の進化により工場等のエネルギー効率化も充分考えられ、重油の利用は引き続き削減されていく。したがって、原油関連では5兆円ほどの輸入額削減が可能なのではないだろうか。貿易収支の赤字と財政破綻を阻止し、併せてCO2削減を加速するためには原油輸入の大幅削減に取り組む必要があるだろう。
2020年問題を乗り越えるためにはこの点に対する政策推進と共に、消費者もガソリン消費の削減と石油暖房の効率化に取り組む必要があるだろう。
 以前にも書いたことがあるが、北海道は地域的な制約もあるが、余りにも自家用車通勤や過度の暖房で石油資源を使い過ぎているのではないか感じている。

 天然ガスについては、ウォン安にもかかわらず韓国は日本の2分の1の価格であり、シェールガス採掘に成功した米国の天然ガス価格は日本の9分の1である。安全保障の関係から、米国からのシェールガス輸入は現状では困難であるが、2016年以降は米国も日本への輸出を開始する見通しであり、カナダ・ロシアなどの国々からも安価な天然ガスを取得できる可能性も高い。昨年度5兆円の天然ガス輸入は余りにも高く、2020年には半額になってもおかしくない。
 北海道では勇払平野から極めて良質な天然ガスが採取されており、札幌・小樽方面にはパイプラインで、道北・道東には鉄道輸送で提供されている。実は、北海道には天然ガスが豊富に埋蔵されているのだ。採掘技術は進化しており、ガス田開発の採算性は今後さらに有利に推移していく。そして地政学的リスクや貿易赤字解消への取り組みが顕在化してくると、勇払のみならず道内各地で天然ガスが採掘されてくるだろう。

 最も期待したいのが化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトである。待ち望んでいた電力会社による再生可能エネルギーの買取価格案が4月23日、「調達価格等算定委員会」委員長によって示された。太陽光発電で1㌔㍗42円、風力発電が23.1円、地熱発電が27.3円である。
発電事業に参加希望の企業にとっては充分納得できる価格算定だ。この価格が最終的に認可されると多くの企業が競って事業参入してくるに違いない。
 メガソーラー、ウインドファーム、地熱発電、バイオ発電。いずれも北海道が圧倒的に高い発電ポテンシャルを有している。国や電力会社が送電線の整備、発電の平準化に積極的に取り組んだならば、2020~2025年に北海道の電力に占める再生可能エネルギーの割合は欧米並の25%にまで高まるだろう。さらに、北本連系ケーブルの増強で、道外へも「きれいな電気」を送ることが可能になる。
 「日本は天然資源が乏しく、輸出で稼いだ資金で資源を購入しなければならない」という今までの常識を、北海道は先頭を切って覆すことができるのではないだろうか。

 鉱物性燃料輸入の大幅削減により貿易収支は好転し、財政破綻も回避出来、さらにCO2削減も促進できるだろう。
 2020年問題は北海道の取り組み如何で解決できる可能性があるのだ。

 次回は、第2の常識である「円高悪者説」について考えていきたい。