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サスティナビリティ(54)
流通業の環境対応(流通業の環境対応(ローソン-2)
更新日:2009年05月10日

    

 CO2オフセット(カーボンオフセット)という排出量削減の仕組みがある。企業や個人が現在どれくらいのCO2を排出しているのかを把握し、それをまず削減する努力をしようというものだ。しかし、削減が困難で目標に達しない場合、他で削減されたCO2の量を購入してオフセット(相殺)しようとするものである。具体的には、海外での森林吸収プロジェクトやクリーン電力(風力・太陽光発電)プロジェクトに投資し、それにより得た温室効果ガス排出量を獲得するものである。企業も排出量の削減が今後義務化され、また個人も削減の努力を求められることになる。経済産業省では、1家庭年間5トンのCO2削減(1日1人1キロの削減)を提唱しているので、今後この動きは広がってくることになろう。
 さて、ローソンではどのような仕組みを提供しているのだろうか。まず、ローソンのホームペ-ジを使ってCO2家計簿を作成することができる。各家庭の電力・ガス・水道・灯油・ガソリン・軽油の月間使用量をインプットすると、1家庭当たりの年間CO2使用が計算される。日本の平均家庭での使用量も出ているので参考にすることができる。家庭の構成人数で割ると、1人あたりのCO2排出量が算出される。その後、目標とする削減量を設定し、開始時点からいかに削減するか各家庭の取り組みが始まる。ゲーム感覚で始めてもいいだろう。経済産業省の基準値でもいいだろう。こまめに電気を消すとか、不用な車の利用を控える等の削減努力が各家庭でおこなわれる。電球を省電力に代えるとか、ハイブリッド車に乗り代えるなどの投資をする家庭も出てこよう。
 これに、カーボンオフセットがからんでくると、いっそう面白くなる。ローソンは、その仕組みを提供している。同社は、三菱商事が実施するアルゼンチン・パタゴニアの風力発電プロジェクトに資金参加している。このプロジェクトは、国連の認定を受けているので、達成されたCO2削減量はCER(認定された排出量)として受け取ることができる。この排出量を小口にしてローソンの顧客に販売すると、顧客は相応のクレジット(排出量)を得、その証明書をもらうことができる。それをCO2家計簿の赤字部分に埋めることができるわけだ。ローソンは顧客が購入したオフセットクレジットの金額を一括して政府に無償提供する。
 ローソンがユニークなのは、この排出量を10キログラムで単位に小口化して、消費者が取得しやすいようにしていることだ。顧客は、各店に設置しているロッピーを使い、ローソンポイント50ポイントで1単位の排出量と交換できる。もちろんロッピーで購入も可能だ。こうして貯めたポイントが累計で500(10口)になると、CO2オフセット証明が携帯やPCに送られ、2,500ポイント(50口)になるとオフセット証明書が送付される。横溝氏も1トン(CO2 1000kg)のローソン発行による証明書を取得しており、会場の参加者に披露してくれた。
 横溝氏はCIO(情報システム担当最高責任者)およびイノベーション担当役員として、“グリーンIT”と業務の改革にも取り組んでいる。
  「ITはあくまでも道具であり、効率を高めるだけでは効果がでません。業務プロセスやサービスを大胆に変革(イノベーション)し、いままでとまったく違ったやりかたを採用することで大きな効果がもたらされます。使用電力の削減などITそのものの省エネだけではなく、ITを活用した店舗や物流分野での業務の改善がローソン全体のエコに効果をもたらします。たとえば、49カ所にある弁当工場の商品搬送の仕組みを改革したり、トラック運行管理や社有車利用にITを活用したり、ロッピーを使ったゲーム感覚のカーボンオフセットなども大きな効果をもたらしました。リーマンショックで現在未曾有の経済危機に直面していますが、過去にわれわれは明治維新、終戦、石油ショックなど幾多の困難を克服してきました。そこには不断のイノベーション(経営革新)への努力がありました。これからの時代経営課題をどのように変革し、強いリーダー企業になっていくかは誰が教えてくれるのではなく、自分たちで考えていかなければなりません。不断のイノベーションが今こそ求められるものです」
 横溝氏は、このように話し講演を締めくくった。

 今まで7回にわたり、3月4日に開催された日本経済新聞社主催「リテイルテック・ジャパン2009・流通業における環境問題シンポジウム」での講演を連載し、先進的に環境問題に取り組む4社(イオン、セブン&アイ、伊勢丹、ローソン)の活動を紹介した。いずれの企業も環境問題を企業戦略の1つの柱として位置づけている。これは、大手流通業だからこそできるものではなく、すでての企業が早急に環境戦略を打ち立て、取り組みを開始しなければならないものです。各企業は、最低限以下の項目で開始しなければならないでしょう。
・ 自社で排出しているCO2の把握
・ 削減目標を年度別・分野別に設定
・ 企業の温暖化防止の基本方針を宣言として発表
・ 社員全体の環境意識統一と勉強会の開催
・ 具体的取り組み項目のリスト
・ プロジェクトチームの編成

この項終わり