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サスティナビリティ(47)
流通業の環境対応(ウォルマート-2)
更新日:2009年02月28日

    

 ウォルマートが環境戦略の最終目標として2番目に挙げているは廃棄物の全廃である。この目標に向かって実験店ではどのような取り組みを実施しているのだろうか。今回はこの点を中心にウォルマートダラス・マケイン店訪問をレポートしたい。
 まず、食料品廃棄物のリサイクルである。青果、惣菜、精肉、日配品売場で発生する廃棄物は従来、地中に埋めたり焼却処理がおこなわれていた。しかし、同店では食品廃棄物は分別され、地域で契約しているリサイクル会社に送られる。ここで、廃棄物は肥料として再生され実験店や同社の他店舗で販売されている。これにより有機廃棄物の環境汚染を防ぐと共に、廃棄物を商品として再活用している。
 揚げ物など調理用に使用された食用油や、運送車の古くなったオイルは今まで外部業者によって再生されていたが、実験店ではバイオ・フュール・ボイラーで燃焼され、店内の暖房・空調、および床暖房に使用されている。これにより、一般家庭26戸で年間使用される暖房用・給湯用エネルギーに相当する天然ガスが節約されている。
 店舗建設にもリサイクルの考え方は随所に生かされている。エコストアを建設するにあたり、石炭を燃やした後の灰をコンクリートにリサイクルして使用している。火力発電などの副産物として出る灰は通常廃棄処分されているが、これをコンクリートとしてリサイクルしコンクリート製造時に出るCO2の排出を抑制している。石炭の灰1トンは輸入石油1バレルに相当するとのことで、実験店では800トンの灰がスラブや基礎に用いられているので、800バレルの石油が節約されたことになる。また、店舗建設で発生する資材の残渣や廃棄物は、今まで地域の処理場に送られていたが、実験店ではそのほとんどをリサイクルし再使用している。また、地域消費者の家庭から出るガラス、紙、アルミ缶などの廃棄物も店頭で受け入れリサクルに向けている。
 店舗および店外の照明についても環境に優しい配慮がなされている。実験店では小型・高効率で眼に優しいT5HO(日本ではFHF型蛍光灯)が店内の主要部分に採用されている。これは、一般的に店舗で採用されているT8ランプの2倍の輝度(日中に店舗に入った時の明るさ)に相当する。また、青色が強く出ているため消費者にとって商品がより鮮明に見えるようになっている。さらに、水銀の含有量が少ないためリサイクル時の環境負荷が軽減される効果もある。一般食品用冷凍ケースにはLEDライトが蛍光灯に代わって使用されている。LEDライトは寿命が長く、またエネルギー(電力)の使用も大幅に軽減される。さらに、ケース内の商品は自然の色で見ることができるという利点もある。このLEDライトは、買い物客が前を通ったときに点灯するようになっており、節電にも努めていた。
 日中は、できるだけ自然光を採り入れようとする試みもおこなわれており、店舗の屋上に取り付けられた天窓や明り取り用の高窓で、自然光を直接店舗に入れるようにしている。店舗内の明るさをセンサーでモニターし、十分な自然光が注いでいる時は照明を落とすようにコントロールされている。通常店舗では年間150万kWhの電力が必要とされているが、自然光採用により実験店では30万kWhが削減され、その上にエアコン用エネルギーの削減にもつながっている。
 ウォルマートは世界最大の企業であり、そのエコストア実験店では最新のハイテクが使われていると思われがちであるが、実際に訪れてみるとローテクとも思われる既存技術を工夫しながら使っている。今まで取り上げた項目もそうであるが、環境プロジェクトチームの創意工夫が随所に見受けられる。たとえば、床のコンクリート内にチューブを埋め込み、それにお湯を流して床暖房にしている。床暖房は通常の空調に比べ効率が高いため温度調節を低く設定でき、エネルギー節約の効果が高い。また、布製で小さな穴が無数に空いている空調用ダクトを採用している。このダクトを、暖気と冷気の循環が最も効率が高いとされる床から3.3メートルの高さに張り巡らしている。これも創意と工夫によるもので、このダクトの採用によって一般家庭60戸で年間使用される60万kWhに相当するエネルギーが削減されている。天井の高さも他店舗より低くし、建設資材の節減と空調用エネルギーの削減を図ったり、西向きの外壁にはセラミックペイントを塗り西日による熱を防いだりしている。
 我々は、ともすると最新の技術を駆使して環境対策を講じようと思いがちであるが、ウォルマートは地道に今ある技術を有効に使おうとしている。コスト負荷を最小にすることで、できるだけ早く全店に実験結果を普及しようとする姿勢が強く感じられた。
次回は日本を代表する小売業4社の取り組みをみてみる。