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サスティナビリティ(46)
流通業の環境対応(ウォルマート-1)
更新日:2009年02月20日

    

「“美しい自然”を、“きれいな空気や水”を、そして“限りあるエネルギー”を大事にし永くのこしたい」という消費者の思いが高まっている。電気をこまめに消し、自家用車の利用を極力抑え、レジ袋を控え、クールビズやウォームビズの生活スタイルをとるのも当たり前になってきている。中にはカーボンオフセットに参加したり、自宅の屋根にソーラーパネルを取り付ける家庭も増えてきている。このようなLOHAS(健康とサステイナビリティを大事にする生活スタイル)の人々は、地球環境を大事にする企業かそれとも何ら対策を施していない企業かを厳しく選別し始めている。特に、小売業は消費者に最も近い位置にあるだけに、各社とも環境への取り組みを強化している。今回から7、8回で、小売業界を代表する企業各社が、地球環境維持にどのように取り組んでいるかを連載したい。

 第1回は、世界最大の小売業ウォルマートのサステイナビリティ実験店について紹介したい。昨年2月と3月に、本ブログでウォルマートの環境戦略についてその概要を紹介したが、その後6月に同社のサステイナビリティ実験店を訪問したので、今回はその戦略がどのように実践されているかを述べる。
 ウォルマートは、2005年より店舗でのCO2排出削減、エネルギーの軽減化、廃棄物の全廃など地球環境改善を目指し、2店舗で各種実験を試みている。これら実験店で成果のあったプロジェクトは全店舗(約5,000店)に導入される。実験店は、コロラド州のオーロラとテキサス州のダラスにある。コロラド州は冬の寒さ、ダラスは夏の暑さで代表的な場所であり、寒冷地域と温暖地域に向けた環境対策をそれぞれ実施している。
 訪問したのはテキサス州ダラスのスーパーセンター・マケイン店で、ワンフロア約4,500坪の規模である。日本から30名ほどの流通業関連の方々をお連れしたが、同店の店長さんが1時間半にわたり丁寧に説明してくれた。まず目についたのは3基の風力発電用風車で、これによって店舗全体で使用される電力の5%をまかなっているとのことである。発電容量は店舗入り口にあるモニターで刻々と表示されており、訪問時は38.9kWhの出力だった。現在設置されている風力発電用風車は中型が1基と小型が2基であり、規模を拡大すると店舗利用電力の20%はまかなえるのではなかろうか。
 太陽熱発電にも力を入れておりガーデン売場の屋根、太陽光がよく当たる南向き正面の壁面と屋根、およびタイヤ・オイル交換の作業場屋根の4ヶ所にパネルが置かれている。ガーデン売場の屋根に設置されているパネルは極小のシリコンがガラス板とプラスチックの間に埋め込まれており、草花に自然の太陽光が差し込むように配慮されている。これら4カ所の太陽光設備で発電される電力は、米国の平均家庭(日本に比べるとほぼ倍の広さだろうか)2,000戸で年間使用される電力に相当するとのことだ。自然エネルギーにより、通常電力と比較し年間33トンのCO2を抑制している。同店では、現時点で店舗使用電力の10%が太陽光発電によって代替されているとの説明を受けた。ウォルマートの最終目標は、全社で使う全てのエネルギーを再生可能な資源でまかなうとしており、風力、太陽光、地熱、さらにはバイオ・エタノールの採用を精力的に推進していくいだろう。さらに、地域電力会社に対しても再生可能エネルギーの拡大を強く求めていくとみられる。2009年1月期で4000億ドル(36兆円)と前年を6.6%上回る売上高を計上した世界最大企業の発言力は、オバマ新政権が推進するグリーン・ニューディル政策と相まって各州政府や地域電力会社に対し更に高まっていく事になろう。
 マケイン店のあるダラスは年間の降雨量が極めて少なく、貴重な資源である水を大切にしようとする試みが随所に見られる。面白かったのはトイレで、実験店では水を使用しない男性トイレを採用している。その仕組みは1度訪れただけでは理解できなかったが、きれいに流され匂いもなく清潔に保たれていた。1回の使用で約1ガロン(3.8リットル)の水が節約されるとのことだ。さらに、手洗いシンクの上部には小型のソーラーパネルが設置されている。このパネルは太陽光ではなく蛍光灯から光を受け、その電力で赤外線センサーを駆動し水を出す仕組みである。このシステムでは通常と比べ水の出る量を節約しており、他の電力を全く必要としていない。
 店外でも水を大事にする配慮が施されており、道路舗装は3層の潅水用土とバイオ資材を用いた舗装がされている。地中に滲みた水は人工池に溜まるようになっており、草木の水遣りに使われる。さらに、冷蔵システムや空調システムから出る使用済み濃縮水も、捨てられることなく人工池に蓄えられる。この水も雨水と同じように散水や樹木の水遣りに活用されている。広い駐車場の周りでは、耐乾性の高い草木や地域で自然に育った草花を育てる市街地森林実験や、舗装や土壌を改良したヒートアイランド実験など自然環境を維持する取組が地道に行なわれていた。
 次回は、ウォルマート・マケイン店の店内での取り組みについて記載する。