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サスティナビリティ(43)
オバマ次期大統領の環境政策と北海道(6)
更新日:2009年01月20日

    

 北海道版ニューディール「オロロン街道をウインドファームに」の第1次経済効果は、風力発電施設開設までの過程で創出する雇用と、地元経済の振興に関するものである。
 総投資額5,000億円の内、その多くを占めるのが風車そのものの製造である。現在ヨーロッパ製が幅をきかせているが、日本では三菱重工や富士重工が製造している。しかし、いずれも主に米国に輸出しており、国内向けはどういう訳かヨーロッパからの輸入になっている。興味深いのは日本製鋼所が取り組みを開始したことである。室蘭の日本製鋼所で本格的に製造が開始され「北海道版ニューディール」と結びついたとき、大きな経済効果が北海道にもたらされるのではないだろうか。北海道版ニューディールで風力発電施設を提供することにより、実績と評価が高まり、道外および国外マーケットへの進出が促進されるだろう。そうなると、関連企業を含めた産業集積が室蘭を中核とした道南地域にでき上がる可能性がある。数百人の雇用と年間数百億の生産が創出される。さらに、生産設備や港湾設備の改修に追加的投資が注入されることになるだろう。
 風車そのものは巨大であり、その海上もしくは陸上輸送には特別の設備が必要になると思われる。パワーアップしたクレーンや長尺トレーラーなどの設備に新規投資がおこなわれ、また一部道路の改修も必要になってくるだろう。このように、機器の輸送に関しては、運輸業界のみならず関連産業にも経済効果と雇用の創出がもたらされる。
 さて、風車が現場に到着するとそれを立ち上げる土地と土台が必要だ。仮に1基で20坪の土地を必要とされるならば、10年間で1150基を設置するには2万3000坪の土地を買取り、もしくは賃貸しなければならない。これは地域の土地所有者に支払われ、地域活性化の一助になるだろう。また、土台を築くには相当量のセメントと耐震設計に基づいた土木工事が必要である。この分野でも公共工事で優れた技術を持つ道内建設業界に対する経済効果が生まれる。
 オロロン街道沿いは過疎の地域が多く、大容量の電力を必要とする産業も見あたらない。当然、送電線も比較的細いのが使われており、熱容量に制限がある。これでは風力発電からの熱量に耐えることができず、送電線を太くしたり送電線網を新設しなければならない。さらに何カ所かの変電所では、その処理能力を格段に高めなければならない。これらに伴う敷設工事や電線などの資材は、電力インフラ構築のための公共投資であり、道内の関連企業に恩恵をもたらすことになろう。
   第2次経済効果は、設置してから実際に稼働し運用する上での雇用や波及効果である。
 まず、風力発電施設を運用し保守する設備・事務所とその要員が必要である。仮に、20の地域電力事業者が参入するとして、20カ所の保守設備を持った事務所が建築され、数人から十数人の要員がそれぞれの設備で保守・運用にあたることになる。過疎と老齢化が進んでいる地域にとって、若い技術員や職員の移住は力強いものとなるに違いない。
 地域市町村にとって、電力事業者から得られる税金(当初は優遇処置を執ったとしても)は、新たな税収として財政を少なからず支えるものになるだろう。
 真っ青な日本海、牛がゆっくり牧草をはむ地に圧倒的な量で林立する風車の群。まさに一幅の絵であり絶好の観光地帯である。風車のある風景は環境意識に通じるといわれている。サステイナビリティが生活者に定着するにつれ、オロロン街道のウインドファームは新たな観光地として多くの人たちが訪れることになろう。電源開発(Jパワー)の方の話によると、猪苗代湖近くに一昨年建設した郡山布引風力発電所は今や観光名所になっているとのことである。今まで知られていなかった場所にもかかわらず、半年間で20万人の観光客が訪れ、物産館も建ち繁盛していると話されていた。海の幸、山の幸が豊かなオロロン街道でも物産館は人気を集めるに違いない。
 オロロン街道ウインドファームは海からの眺望も見事なものになるだろう。小樽や石狩の港から後志、雄冬、天売・焼尻への観光船就航は、多くの観光客を誘致する魅力的なものになるだろう。林立する風車群のオロロン街道で、自転車や電気自動車の国際ラリーを開催するのはどうだろうか。まさにクリーン・ラリーである。テレビやネットで全世界に放映されると、サミットを開催した環境北海道へのあこがれがいっそう高まっていくことになるだろうと、期待がふくらむ。