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サスティナビリティ(38)
オバマ次期大統領の環境政策と北海道(1)
更新日:2008年11月30日

    

 「気候変動問題で米国はリーダーシップを発揮する。今回の発表はその第一章である」
 バラク・オバマ次期米国大統領は、11月18日ロスアンゼルスで開催された「気候変動問題に関する国際会議」でビデオ演説を行った。本会議は、アーノルド・シュワルツネッガー・カリフォルニア州知事が主催し、50の国と自治体が参加して開催された。残念ながら日本は出席していない。(11月18日は筆者の誕生日でもあり特別の思いで本発表を聞いた)
 オバマ演説の骨子は、大統領選挙のときから一貫して主張していたことだ。2020年までにCO2排出量を1990年の水準まで引き下げ、2050年には80%を削減する。そのために、年別の厳格な削減目標を設定するというものである。明年1月に発表される教書にその具体策が盛り込まれる。風力発電を中心とした新エネルギーへの投資を促進し「化石燃料」から脱皮する。そして再生可能エネルギー産業を振興し雇用の創出を図ろうとするものだ。
 選挙中の公約では10年間で1500億ドル(約15兆円)を環境産業に投入し、500万人の雇用の場を創り出すとしている。これは、京都議定書から脱退し、本年開催された北海道洞爺湖サミットでも具体的目標を明示しなかったジョージ・W・ブッシュ現大統領とは一線を画し、まったく新しい方向に米国が舵を切ったことを意味する。
 同じ11月18日、アル・ゴア前米国副大統領は慶応義塾大学で講演し、「いま地球はかつてない気候の危機に直面している。太陽熱・風力・地熱・波力など、無尽蔵なエネルギーを利用し、かつ新規環境技術を活用しなければならない」と力説した。ゴアも民主党の実力者としてオバマ次期大統領の環境政策に大きな影響力を持つことになろう。
 「Yes We Can」「Change」を選挙期間中叫び続けたオバマ次期大統領の言葉に筆者は共鳴するとともに、大きな変化が訪れるのではないかという期待を抱かせる。
 現在、100年に一度という経済の混迷の真只中にいるが、各国の環境への取り組みはどのようになっているのだろうか。EUは厳しい経済情勢の中でも引き続き環境問題に精力的に取り組んでおり、2020年度の目標である1990年比20%の削減に向け各種活動を行っている。
 11月17日、国連気候変動枠組条約事務局は、先進国の2006年の温暖化ガス排出量を公表した。これによると、フランスは京都議定書の目標(1990年比で2012年の削減率)0%に対し3.5%の削減、イギリスは12.5%の目標に対し15.1%の削減でそれぞれ目標を達成している。ドイツは21%の目標に対し15.1%であり、ほぼ期間内の目標削減率は達成される見込みである。EU諸国のCO2削減努力が効果を発揮しているようだ。
 石油ショック後、省エネに努力した日本に較べ、1990年時点でEU諸国の排出量自体が多かったからだという議論もあるが、化石燃料から太陽光発電・風力発電などの再生可能エネルギーへのシフトが大規模に行われており、その努力は賞賛すべきである。一方、米国はマイナス7%の目標(実際にはブッシュ大統領は京都議定書から脱退したが)に対し14.4%増加している。オバマ次期大統領の方針は、京都議定書の7%マイナスは守れないものの、2020年までに2006年までに増加した14.4%を削減し1990年レベルに戻した(ピークアウトした)上で、2050年までに80%を削減しようというものである。
 さて、日本の場合はどうであろうか。ご承知のように、京都議定書では2012年までに6%削減の目標を設定している。しかし、2006年には排出量が逆に5.3%、2007年の速報ではさらに2.3%増えている。新潟柏崎原子力発電所停止の影響が大きいと云われているが、果たしてそれだけだろうか。
 先般、環境問題の権威と云われる先生との懇談会に出席する機会があった。差し障りがあるのでお名前は伏すが、この方は産業界の温暖化ガス排出削減方針および政府の政策に多大な影響のある方なので、産業界の取り組みと考え方に関する概略を次回お伝えしたい。