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サスティナビリティ(61)
「風・林・水・菜」-7水の巻-2
更新日:2009年07月20日

    

 「水の惑星」と呼ばれる地球だが、地球上の水分のうち淡水はわずか2.5%。その内90%は地下水とのことである。したがって、人類の生存には地下水が重要な役割を果たしていることになる。ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、長年にわたり地下水に関する研究を行ってきた。そして、昨年(2008年)10月26日に「世界の地下水分布地図」を作成し発表した。これは、8年にもおよぶユネスコの調査研究とその間に蓄積した膨大なデータベースによるものだ。包括的な地下水分布地図ができたのはこれが初めてのこと。地図は帯水層(地下水がたまっている場所)を、淡水・塩分の別、人間による取水量、地上から地下への水の供給量に応じて色分けしている(ユネスコホームページより)。地図によると、西アジア、北アフリカ、米国、オーストラリアで過剰な取水が行われており、飲料水・農業用の地下水が減少傾向にあることがうかがえる。さて、世界の帯水層は273カ所で、その内155カ所がユーラシア大陸にあり、アジアは12カ所のみである。日本には富士山周辺と黒部川流域、そして嬉しいことに北海道に2カ所の比較的大規模な帯水層が存在している。北海道の帯水域は、一つが石狩・胆振・空知支庁のほぼ全域にあり、もう一つは十勝支庁に存在している。関西以西や東北地方には規模の大きい帯水域は分布地図上からは見ることが出来ない。この点からも、北海道は豊かな水に恵まれていることがわかる。
 前回ご紹介した北海道立衛生研究所 健康科学部飲料水衛生科長の伊藤氏にお聞きしたところ、国土交通省が降水量などから産出した水資源賦存量(川や湖沼等にある淡水)は、道民1人あたり全国平均の3倍もあるそうだ。これは、北海道の人口密度の低さもあるが、冬期間の降雪が春になるまで固定化され流出しない点が大きい。この水資源賦存量に、長年にわたって蓄積された地下水を含むと膨大な水資源が北海道に存在していることがわかる。この豊かな水を北海道活性化のために活用できないだろうか。
 まず、北海道には圧倒的に豊かな水資源があることがわかった。次に北海道の地下水・湧水の質や“おいしさ”は、どうだろうか。1992年、伊藤氏を中心とした研究チームが市販のミネラルウォーターについて「おいしい水の条件」に適合するかどうかの調査を行った。道内製品10種、道外の国内製品5種、外国製品6種の合計21製品が調査対象となった。調査はpH、カルシウム、マグネシウムなど16項目について詳細に分析された。これらの中で特に“おいしさ”に大きく影響するのはpH(酸性度、アルカリ度)、蒸発残留物値(ミネラル量)、およびケイ酸の3要素だそうである。pH値は弱酸性から中性の付近が、蒸発残留物値は適度の無機塩類を含む水が、そしてケイ酸度が高い水がおいしいとされる。道内製品は厚生省の要件に対し10種中7種が適合していた。道外国産と外国産のミネラルウォーターでは11種中1種のみが合格点であり、北海道の水のおいしさが数値的にも証明されたことになる。
 環境庁(今の環境省)は85年に「名水百選」を発表したが、その中には北海道から、虻田郡京極町「羊蹄のふきだし湧水」、利尻郡利尻富士町「甘露泉水」、千歳市「ナイベツ川湧水」が選ばれている。また、「平成の水百選」には上川郡東川町の「大雪旭岳源水」と中川郡美深町の「仁宇布の冷水と十六滝」が入っている。このほかにも、摩周の霧水(標茶町)、カムイワッカ麗水・大歓(真狩町)、オロフレ渓水(登別町)、オタル山水(小樽市)などの名水が北海道にはある。豊かな地下水や湖の伏流水から湧き出た水であり、いずれも“おいしい水”である。
 この豊かでおいしい北海道の名水をもっと活用できないだろうか。ユネスコの「世界の地下水分布地図」では、中国の沿海部および内陸部は地下水が枯渇しつつあり、また水道水はそのままでは飲めない。東南アジア諸国でも同様な問題を抱えている。2050年には世界の人口は90億人を超すと言われているが、水の問題、特に生命にかかわる飲料水は最重要かつ緊急な問題である。北海道が“おいしい水”でこれらの地域を支援し、同時に大規模な水ビジネスを立ち上げられないだろうか。次回は、ミネラルウォーターによる北海道再生計画について考察してみる。