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サスティナビリティ(70)
「風・林・水・菜」-16まとめ-2
更新日:2009年10月20日

    

 前回「温室効果ガスを2020年までに1990年比25%削減する」と掲げた新政権環境政策で、それを実現させる第1の鍵は、太陽光・風力などの再生可能エネルギー拡大に向けた取り組みであると述べた。今回は、第2の鍵と思われる森林資源による温室排出ガス(CO2)吸収について考えてみる。
鳩山政権が発表した25%の中身については未だ明らかになっていない。一般的には、エコカー・太陽光パネル・耐熱住宅・エコ家電製品の普及、さらに電力・鉄鋼・セメントを始めとした製造業での環境対応技術の導入促進など、いわゆる真水の部分が論議されている。
 一方、国際的排出権取引で購入するCO2や、海外で植林などの環境事業をおこなって購入するCO2、そして国内森林吸収についてはあまり話題になっていない。京都議定書で、日本は1990年対比で2008年から2012年末までの5年間で6%のCO2を削減するとコミットしたが、その3分の2にあたる3.8%は森林吸収による削減であることを思い出してみよう。
 CO2の森林吸収に対し、以下のような仮説を立ててみた。
 第1の仮説、2020年目標に対しても、京都議定書が締結された時点と同じ条件で日本のCO2森林吸収が認められる。条件とは、持続可能な方法で適切に整備(間伐などにより管理・保全)されている森林であること。
(一度認められているので、2020年に向けても充分可能性はある)

 第2に、2012年までに1990年比で3.8%のCO2森林吸収が約束通り実現されている。
(明確な発表はないが、平成20年度の「森林整備事業」「治山事業」に2,769億円の予算を割り振っており、森林吸収を促進するために110万hrの新規整を含め、合計330万hrの森林間伐を行うとしている。したがって、2012年末3.8%の達成は実現されるものと推測される)

 第3に、今後、同じ努力(間伐を中心とした森林整備)をしたならば、2013年以降2020年までに更なるCO2が森林によって吸収される。
(1990年対比3.8%のCO2削減が森林吸収によって2012年末で実現されているとしたならば、整備事業を維持することで2020年末も3.8%は最低限確保され、新たな森林整備事業によりさらなる削減が上乗せされる可能性がある)。

  上記の仮説が正しいならば、森林経営は風力発電と共に北海道にとって大きなビジネスチャンスをもたらすものになるのではないだろうか。すでに過去の当ブログでも紹介したが、日本国土の67%は森林であり、北海道はその22%の面積を有している(2009年森林・林業白書)。森林の種別は複雑なので、ここで森林・林業白書に従って区分してみよう。
 日本の森林は、まず大きく国有林と民有林に分かれる。国有林のほとんどは林野庁の所轄であり、1%未満が環境省の管轄する原生林である。国有林はさらに人工林と天然林に分かれ、人工林は30%程度で京都議定書が認定した3.8%のCO2ガス吸収の対象になっている。すなわち、日本の森林全体の10%未満しか森林吸収が認められていないことになる。一方、民有林は、都道府県や市町村が管理する公有林と私有林からなっており、それぞれが人工林と天然林に分かれている。民有林のうち、32%が人工林である。くどい表現になるが、2769億円の予算は民有林や国有林の天然林については殆ど考慮されていないのである。
 2020年までに1990年対比25%のCO2削減を、日本経済に多大な負担をもたらさずに実現しようとしたならば、森林整備事業は最も確実な手段ではないだろうか。人工林とともに、天然林(市町村林、私有林)を健全に管理し、CO2をたっぷり吸収する森林を育てることが2012年末の3.8%を超え、2020年末で6-7%の温暖化ガス排出削減につながると期待される。そのためには、「持続可能な方法で適切に整備(間伐などにより管理・保全)されている森林」であることを国連の認定機構で認めてもらう努力が必要である。
 さらには、国内のしかるべき機構(経済産業省・農林水産省・環境省の所轄部門)で、森林整備事業の審査とそれによるCO2削減量の把握をおこなえないだろうか。それが可能となれば、CO2の排出量取引が森林吸収分について普及することになるだろう。
 次号で、25%削減の第3の鍵として国内排出量取引について取り上げるが、大手企業を中心に排出枠の上限が設定される可能性が高い。いわゆる欧州型のキャップ・アンド・トレード方式である。企業に設定された排出枠を超えた場合、なんらかの手段で排出権を購入しなければならない。然るべき機構で認定されたCO2の森林吸収量は排出権として売却することが可能になる。この資金は森林事業を立ち上げ運営する上で大きな支援材料になるだろう。
 “林の巻”で述べたように、輸入材が入手困難になるに従い国産間伐材が見直される。バイオマス活用によって循環型農業が進む。さらに森林吸収による排出権取引が活発になり、国や地方公共団体の支援が強化されることになると、林業経営が利益を伴った産業として復活することになろう。
 北海道は、その最も適切な場所でもある。""""""