池田熱処理工業
AI画像診断と溶接ロボットで省人化と品質安定化
鋼を加熱、急冷して硬化させる「熱処理加工」で道内トップシェア。主に自動車部品などに用いられている。
近年は、部品点数の少ないEV(電気自動車)の普及により、自動車産業を取り巻く環境は大きく変化していたが、直近ではEV需要が減速したことで生産量が回復傾向にあり、業績は堅調。中東情勢によるコスト増の影響も最小限に抑えた。
森田祐貴常務は「さらなる品質向上と競争優位性を確立すべく技術開発を進めています。当社が独自開発した変形の少ない熱処理技術は、2022年に一般財団法人素形材センターの素形材産業技術賞奨励賞を受賞しました。現在は実用化の最終段階に入っています」と胸を張る。
熱処理以外では、社内一貫生産を行っている油圧シリンダーの製造が好調。これまで注力してきた営業活動が実を結び、主力事業の一つとして存在感を高めつつある。
技術者の育成にも注力した。道内には熱処理技術を専門的に学べる環境が限られているため、社員に業界団体の研修やオンライン受講によるトレーニングを継続することで技術力向上につながっている。
「研修は同業他社との情報交換の機会にもなり、技術的な知見を深めるとともに、協力体制の構築にもつながっています」と森田常務。
一方で、人手不足にも対応し、検査工程の自動化を計画。目視からAIを活用した画像診断への切り替えを検討しているほか、熟練技能者不足の対策として溶接ロボットの導入も計画中で、来年中の本格稼働を目指している。
森田常務は「道内では数少ない熱処理技術を次世代へつないでいくため、人口減少や労働力不足といった課題に対し、ロボットやAIの活用を進めていく。併せて、従業員の満足度向上や働きやすい職場環境づくりにも力を入れていきたい」と話す。