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ティーアール

屋根金属防水の施工前(上)と施工後。同社が最も得意とする施工術だ

特殊防水技術で顧客から信頼を獲得。技術の継承も推進

屋根・外壁工事全般や板金資材販売を手掛ける「ティーアール」。前身企業である「トクイエルーフ」から数えると、30年以上にわたって躍進し続けている。主に漁港や学校、大型商業施設などの物件を手掛け、年間で約60案件、4万平方㍍の工事を担う。掲げるモットーは〝信頼される技術〟だ。

高い技術力は担ってきた建造物に顕著に現れている。国指定の重要文化財や市指定の歴史的建造物の防水工事を数多く手掛けており、その特殊技術で信頼を得ている。

同社の代表的な施工術が屋根の「金属防水」だ。

屋根防水にはシート防水やアスファルト防水などがあるが、同工法は超耐久性鋼板を使用した熱溶着工法で優れた防水性が得られる。軽量かつ強靭で地震の揺れにも強く、耐食性・耐候性にも優れているほか、溶剤や接着剤を使用しないため環境に優しいことも特徴。業界では特殊技術と位置付けられており、施工できる企業は数少ない。

また、日本伝統技術の「菱葺ひしぶき」も得意とする技術の1つ。屋根や外壁に正方形の鉄板の4辺をそれぞれ折り曲げ、1枚ずつ菱形に組み合わせながら取り付ける工法で、水が侵入しにくいのが特徴。雨漏りや錆にも強く、雪国にも最適な工法と言われる。

神社や寺院、洋館などの歴史的建造物の屋根や壁に使用されており、モダンな雰囲気の外観が古くから支持されてきた。こうしたノウハウを熟知した、経験豊富な建築板金技能士が数多く在籍する同社ならではの強みと言えよう。

徳家義従社長は「近年、伝統的な技術を継承する企業が少なくなってきている。熟練の技術を守っていくのも我々の使命だと捉えています」と言葉を強める。

一方で新事業にも積極的に参入している。昨年9月には板金工事で培った技術を生かしてガレージ・物置の製造と販売にも乗り出した。フルオーダーで対応する高品質な製品は、一般ユーザーを中心に好評を得ており、新たな可能性に挑戦する企業姿勢も内外に示している。

「今後は技術者が一線を退いても活躍できる場をつくりたい。建築資材の卸販売など現場作業以外の業容も拡大していく計画です」と徳家社長。

徳家義従社長
菱葺は日本伝統技術の1つ
自社工場では板金加工も行う