ほっかいどうデータベース

ティーアール

菱葺きや一文字葺きなどの日本伝統技術を得意とする

特殊技術の継承とともにデジタル化の先陣を切る

〝信頼される技術〟をモットーに、屋根・外壁工事全般や板金資材販売を担う「ティーアール」。前身企業から数えると、30年以上にわたり顧客からの信頼を獲得し続けてきた。

 得意とするのは屋根の「金属防水」だ。超耐久性鋼板を使用した熱溶着工法で、高い防水性が得られるのが特徴。軽量かつ強靱で地震の揺れにも強く、耐食性や耐候性にも優れている。業界では特殊技術と位置付けられており、施工できる企業は道内でも数少ない。

 昨年からは、この防水技術と板金加工技術を応用して、農業用貯水槽の製作も開始。その技術力は業界外でも話題となり、飲食店で用いるステンレス板やアルミ板の加工など、新たな分野の受注も舞い込んだという。

 着実に業容を拡大している同社が、目下注力しているのが〝デジタル板金屋〟の実現だ。

 徳家義従社長は「建築板金業界はもっとデジタルなど、最新テクノロジーと融合しないと発展しない。当社では、2023年に金属を曲げ加工する最新の『ベンディングマシン』を導入しました」と話す。

 同マシンは、金属加工機械製造の国内大手アマダ(本社・神奈川県)社製で、オペレーターの経験や習熟度にかかわらず、高精度な曲げ加工ができるのが最大の特徴。加工プログラムを容易に作成できるタッチパネル式IoT機能を搭載している。

 導入後は、ベンディング工程の自動化を含む板金加工体制を発注先の要望に合わせて、適時再構築することに成功。また、工場内の自動化とデジタル化の一体感を高めることにも一役買った。

「従業員や同業者への自動化への意識を高め、便利さを現場作業者にきちんと理解してもらいたいという狙いもありました」(徳家社長) 

 一方で、神社や寺院などに用いられる「一文字葺き」や「菱葺き」などの伝統技術やノウハウの継承にも積極的だ。社内、外を問わず技能者に対し実技指導を行うなど、次代の職人の育成に注力している。

 次代を担う若い世代の育成と技術の伝承、そして業界のDX化の先陣を切る徳家社長の革新的経営が同社の企業力そのものと言える。

徳家義従社長
先端ベンディングマシンを導入し、効率化と品質向上に成功した