【今月号特選記事】今年も局長級大量退職で3副市長は留任、幹部人事に見る秋元克広札幌市長の“思考回路”

 間もなく発表となる今春の札幌市幹部人事は、3人いる副市長が3年連続で留任の見込みとなっている。

 2015年に初当選した秋元克広氏は、同学年で当時教育長を務めていた町田隆敏氏を筆頭に据えるとともに、総務畑を歩んだ板垣昭彦氏、技術職から吉岡亨氏を副市長に起用した。

 17年春、板垣氏から福祉や財政畑を歩んだ岸光右氏に交代。19年市長選で再選を果たすと、今度は岸氏を石川敏也氏へ代えた。だが町田氏、吉岡氏は、この間も副市長のイスに座り続けてきた。

写真左から副市長の町田隆敏氏、吉岡亨氏、石川敏也氏 ©財界さっぽろ

 筆頭副市長の町田氏は、他機関との調整や幹部人事など引き受けるだけでなく「市長が気兼ねなく相談し、不満もぶつけられる“サンドバッグ”役」(中堅市議)とか「刎頸の友」(地元経済人)といった間柄。女房役と言える存在だ。

 一方の吉岡氏は就任当時、前市長の上田文雄氏が撤廃した副市長の技官枠が復活したものとして、技術職の士気は上がった。だが7年経っても結局、吉岡氏しかそのイスに座っていない。

 近年の札幌市政では、2代前の桂信雄氏の際に筆頭を務めた魚住昌也氏が9年9カ月、先代の上田氏の際に同じく筆頭だった小沢正明氏が8年8カ月と、女房役は長期間の在任が恒例。しかし、それが2人となると近ごろでは例がない。

 秋元氏はさらに、19年の人事で副市長と同じ特別職の交通事業管理者へ昇任させた浦田洋氏についても、今春まで3年留め置いた。

 交通事業管理者は役人すごろくで言う“上がり”のポストで、任期自体は4年だが1年での交代が慣例。それを「市電の運行を市の三セクに移管する、上下分離方式導入するため」(市政関係者)といった理屈から据え置いたものだ。

 こうして、市立病院の責任者である病院事業管理者以外の5つの特別職のポストのうち、水道事業管理者以外の4つが動かない人事が3年続いた。その“余波”と言えるのが、特別職への昇任を窺う局長級幹部の大量定年退職だ。

 昨春は1人が定年1年前の早期退職で三セクへ天下りした以外、11人が定年。今春も少なくとも10人が定年で役所を去る。

「“上”がつかえて行き場がなく、副市長を担えるレベルの局長職でも横滑りが続き、そのまま定年が来てしまう。上がりが特別職と局長では天下り先での報酬にも開きがある。一度に同格の局長が大量に定年となれば、折からのコロナ禍もあり行き先を探すのもひと苦労だ」(前出市政関係者)

 秋元氏周辺は特別職の留任に「コロナ対応や大詰めの札幌五輪招致など、政策遂行に安定感が必要」と説明するが、市幹部OBは「秋元氏の“思考回路”が大本の原因だ」と指摘する。

「先ごろ実施された2030年冬季オリンピック・パラリンピックの札幌招致活動意向調査、記録的な大雪に見舞われた市内の除排雪といった喫緊の課題について、市民の声が届いていないことにもつながっている」(同OB)とする。

 月刊財界さっぽろ2022年4月号では、秋元氏の思考の“大本”を同OBが喝破。市長2期目終盤の秋元氏に対して苦言を呈している。

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