北海道コンサドーレ札幌クリエイティブディレクター・相澤氏が語る新契約先・ミズノへの期待値(対談後編)

 4月15日発売の月刊財界さっぽろ連載「砂川誠のコンサの深層」では、北海道コンサドーレ札幌のクリエイティブ・ディレクターを務める相澤陽介氏が登場。4月3日にオンラインで実施した対談では、クリエイティブ・ディレクター就任のきっかけや、自身とサッカーとのかかわりなどについて語った。

 ここでは、相澤氏との対談について、誌面に載せられなかった部分を前後編の2回に分けて特別掲載する。以下、内容は取材当時のもの(前編はコチラから)。

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 砂川 クラブとしてグッズ販売に力を入れるという方針がある中、相澤さんが来られてからどのように変わりましたか。

 相澤 4月16日のクラブ創設25周年記念試合(J1リーグ第10節・横浜F・マリノス戦)に合わせて、かなりの数の記念グッズを展開しますが、そういったことも含め、クラブ側からのレポートでもいい結果が出てきていて、幅は広がってきたと思います。

 さらに今年からミズノさんと組むことで、オリジナル商品のバリエーションを今後さらに増やしていける可能性も高いと思います。

 以前からブルゾンやダウンジャケットのようなアウターをつくりたいと思っているのですが、製造ロットの問題があって、なかなか実現できていません。ダウンジャケットを100枚とか200枚つくろうと考えた時、クラブの収入に貢献しつつ販売手数料も支払って、となると、なかなか適正な価格で提供できないんですね。

相澤氏がデザインディレクションを担当するアパレルグッズ「CS Clothing」 ©財界さっぽろ

 砂川 サポーターの方々が気軽に買えるというか、手が届く価格にはなりづらい。

 相澤 これは多少専門的になっていきますが、洋服をオリジナルで100枚単位で制作するというのは大手サプライチェーンの商品とは全く異なる製作過程やスピード感、原価になります。といってもオリジナル商品だから高くなってしまうという訳にもいかないので苦慮していました。

 クラブだけでそうしたギャップを埋めていくのは、これまで難しかったんです。これはコンサドーレに限った話ではありません。でも、国内メーカーであるミズノさんと組むことが、そういう部分で強みになるかもしれない。たとえばスニーカーもクラブだけで商品化するのはほぼ不可能と言っていい。でもミズノさんと組めば、できるかもしれない。ミズノさんとの契約は、そういう意味でも大きな可能性を秘めていると思います。

 砂川 相澤さんデザインのグッズはすでにさまざまな展開がありますけど、今後、さらなる展開として考えていることはありますか。

 相澤 サッカーが有名な都市の空港にはそのチームのグッズが売っています。ミュンヘンのバイエルンショップはすごく魅力的ですし、様々な人が出入りする空港にいつかグッズショップをつくりたいですね。ミズノのショップとしてでもいいですが、目にする機会を増やしたいという理想があります。

 そういうチャンネルを通じてコンサを知り、札幌のサッカー文化が根付いていくということもあるでしょう。

 イギリスのロックバンド「オアシス」のギャラガー兄弟は昔から大のマンチェスターシティサポーターで、ステージでもユニフォームを着ていたり。そのまちを代表する様な人やサッカーとは違う文化の人がサッカーに関わっていくという雰囲気はすごくいいなと思っています。

 以前から交流のある、北海道出身のバンド「サカナクション」の札幌公演を野々村さん含めスタッフと見に行った時に、ステージ上で「サッカーはコンサドーレが好きだ」と言ってくれてうれしくなりましたし、翌日試合も招待して一緒に観戦しました。

 いつかステージでもコンサドーレのユニフォームを着てもらいたいななんて思っています。

 サッカーの枠を超えてコンサドーレが愛されていけば様々なムーブメントにつながり、文化として根付いてくるという流れがつくりたい。

 コンサはクラブとして「北海道とともに、世界へ」というスローガンを掲げていますが、サッカーとしてだけではなく、そういう人たちを通じて、まちの文化として世界へ広がっていく可能性を秘めています。

 札幌、そして北海道は、日本のほかのどのまちよりも可能性があると僕は思っていますし、僕はそれをデザイン、カルチャーの面からつなげていく役割を担いたいと思っています。

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→前編はコチラから

 このほか月刊財界さっぽろ2021年5月号連載「コンサの深層」では、コンサのクリエイティブ・ディレクターに就任したきっかけ、サッカー文化を北海道・札幌へ根付かせるための方策などについて、相澤氏が実体験などをもとに語っている。

 5月号は北海道内書店・コンビニエンスストアおよび当社オンラインショップ、オンライン書店等で発売中だ。

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