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すすきのレジェンドホステス南 真白が訴える「こども食堂への支援で すべての子どもに夢と希望を」

人気高級クラブ「Club燭台」などを経営し、自身もホステスとして最前線で活躍する南真白氏。コンサルティングやイベント企画、保育事業を展開する「RCF」の社長も兼務する。運営する「すこやか食堂」を通して、こども食堂とその支援の重要性を語ってくれた。

 ――「すこやか食堂」(札幌市中央区南9条西8丁目1‐26)を始めたきっかけは。

  札幌市にはシングルマザーが多いので、働くママの助けになればという思いで開業しました。虐待を受けて子どもが亡くなる事件が増えたことも開業のきっかけです。

 ――現状を教えてください。

 南 今は週に1〜2回程度、食堂を開けています。利用するお子さんは通常で30人程度、多い日は60人になることもあります。それと月2回、土曜日に「食育ランチクッキング」という活動で、子どもと一緒に料理をして、ご飯を食べるといったような食育も行っています。いただいた支援物資によりますがカレーやハンバーグを作っています。

 ――支援の状況は。

  こども食堂には、自治体の支援があると思われている人も多いですがそんなことはありません。企業などから定期的なサポートを受けているわけでもなく、個人やお店、企業の単発的な支援物資や支援金などで賄っている状況です。ケーキ屋さんから不要になったスポンジをいただいたり、札幌以外のお会いしたことのない方から「ホームページを見た」といって支援金をいただくこともあります。

 ただ、2023年に開業した当時は毎日お店を開いていたのですが、支援がない時期もあり開店の回数が減っている状況です。物価高もあるので厳しいですね。

 ――こども食堂の役割をどう感じていますか。

  共働きなど忙しいお母さんの増加にともなって、孤独を感じている子どもが増えているように感じます。当食堂には、たくさんの子どもが来てくれますが、中にはご両親と過ごせる時間が少ない子もいる。叱られることも少ないのだと思います。本来、こども食堂が必要のない社会こそが望ましいのでしょうが、現実的には子どもを社会人として育てる重要な役割も果たしていると感じています。

 ――こども食堂がなくなると困る家庭も多いそうですね。

  そうですね。ただ、札幌市内ではボランティアで行っているこども食堂が多く、支援が滞ると閉店せざるを得ない状況になります。順調に経営しているという話はあまり聞きません。フードロスが社会問題になっていますが、欲しい人のところに食べ物が届かないというのは、こども食堂を運営して見えたことの一つです。こども食堂同士で食料を振り分けることもありますが、こうした仕組みがもっと広がるといいのかなとも思っています。

 一方で、ボランティアでお手伝いをしてくれたり、ホームページを制作してくれたりする方々もいます。人の温かさを感じることができるのもこども食堂の魅力ですね。こども食堂は集団の中で、子どもたちが人間の優しさに触れて何かを感じて人間力を磨いていく場所でもあるのです。私たちのやるべきことはまだまだたくさんあると実感しています。

 ――共感してくれる人からの支援が集まるといいですね。

  そうなると嬉しいですし、子どもたちも喜ぶと思います。すべての子どもに夢と希望を持ってほしいです。 

 (ききて・氏家)

■取材協力/すこやか食堂  札幌市中央区南9西8オリンピア南9条マンション1階 

「すこやか食堂」では子どもと一緒に料理を作る「食育ランチクッキング」を実施