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北海道科学大学

川上 敬 学長
(かわかみ・たかし)1963年北海道生まれ。北海道大学工学部精密工学科卒業。北海道大学大学院工学研究科博士後期課程修了。88年より民間企業にて研究開発に従事。北海道女子短期大学講師を経て、98年北海道工業大学(現北海道科学大学)工学部に着任。2018年より 副学長。22年より現職。

プラスアルファの能力を養成。地域課題の解決を目指す大学へ

――独自の教育スローガンを掲げています。

川上 15年ほど前から、18歳人口の減少や働き手不足の進行といった社会環境の変化を強く意識するようになりました。これらを受けて、本学の将来構想の検討を本格化し、2014年にスローガン「+Professional(プラスプロフッェショナル)」を掲げました。

本学ではこの定義を職業に直結する専門能力(プロフェッショナル)に加え、社会変化に対応できる分野横断的な〝プラスアルファ〟の力を備えた人材としています。 

――なぜ、プラスアルファが必要なのでしょうか。

川上 資格や専門知識は、いわば職業の〝入口〟として不可欠です。しかし、実際に社会で活躍を続けるには、それだけでは不十分と言えるからです。長期にわたり成果を出してやりがいを持って働くためには、専門分野を超えて活用できる「ポータブルスキル(仕事の進め方、人との関わり方)」が欠かせません。

また、近年はその重要性が年々高まっていることから、40年を見据えて〝プラス〟の内容を再定義しました。

――具体的には。

川上 課題発見・解決力やチームを編成・動かす力、合意形成とプランニング力などです。さらに、これらの基盤となる倫理観も重視しています。

――これらの能力はどのようにして養うのでしょうか。

川上 新しい教育プログラムである「HUSスタンダード」を活用します。一例を上げると、異なる学部学科の学生で混合チームを編成し、地域のリアルな課題を調査し、解決に導くための意見交換などを行います。他の学生たちの意見を聞きながら、自分とは異なる視点で物事を捉えるという経験は貴重なものになるでしょう。

――評価はどのような基準・指標に基づいて行われますか。

川上 自己評価、他者(教員)評価、ルーブリック(評価基準表)の3つからなります。

例えば意見交換におけるルーブリックには「課題の解決方法が考えられる」「論理的に原因分析を行い、仮説に基づき解決策を提案できる」など、到達度を段階的に定義しています。これは学生にも開示しており、自己認識・自己評価とすり合わせることで、自身の到達度を定量的に測ることもできます。これにより就職活動などで「自分はこのアウトプットができる」と根拠を持って提示することが可能になりました。

――来年はいよいよ新キャンパスが誕生します。

川上 JR手稲駅から徒歩6分の場所にある「手稲駅前キャンパス」です。コンセプトは「TEINE BASE CAMP」で、学生・地域住民・産業界・自治体などが集う〝ベースキャンプ〟をイメージしました。情報、アイデア、人的交流のハブとして開かれた空間にしていきます。

本学は従来のような学問の分野ごとに課題を捉えるのではなく、地域の現場で起きている問題、いわば〝出口〟から逆算して教育や研究を組み立てていくべきと考えています。こうした地域固有の課題に対して大学としてどう関わっていくかが問われていることも、新キャンパス開設の理由の1つと言えます。

――その土台として、自治体との連携強化も進めています。

川上 教職員が道内179市町村を訪問し、本学の取り組みや考え方などをお伝えしてきました。その結果、現在は約30の自治体と包括連携協定を締結する運びとなりました。各自治体からは学生が地域に関わることで、課題解決につながる存在として期待の声が寄せられています。

――新キャンパスには、新たな学部・学科も設置されます。

川上「情報科学部 経営情報学科(設置届出済※)」と「地域創造学部 地域創造学科(認可申請中※)」の2つを設置します。

前者は「デジタル技術をビジネスの現場でどう使いこなし、価値を生むか」という実践的な活用に主軸を置きました。ヒト・モノ・カネ・データを体系的に学び、企業価値を最大化するスキルを身につけます。

後者は、本学初となる文系学部です。地域課題を分析し、コーディネートする人材を養成します。自治体や地場企業・団体と協力しながら、地域をハード(まちづくり)とソフト(ことづくり)に分けて、それぞれの視点から深く掘り下げて学んでいきます。

――今後のビジョンは。

川上 道内のあらゆる課題を解決できる総合力の高い〝チーム北海道科学大学〟を目指します。そのために必要なカリキュラムや学部などがあれば、順次検討していきたい。

また、喫緊の課題は工学部の抜本的な改革です。理論を縦割りし積み上げで学んだ後に統合する従来型の方式では、生成AIの急進といった社会変化に追いつけない可能性があります。これに対し、先に述べた出口から逆算した学びへの転換が必要です。地域創造学部の設置により他領域と結びつけやすくなった今、早期に大きな変革を加えていきます。

「手稲駅前キャンパス」のイメージパース