今振り返る、私の思い出紀行 最終回 藤井ビル社長 藤井 將博氏
中世と近代の融和が魅力的な「リトアニア共和国」
縁があって父(故・藤井英勝前社長)の代から在札幌リトアニア共和国の名誉領事を仰せつかっています。
現在、同国の名誉領事は国内で5人おり、私はその中の1人です。何年かおきに親善・交流の相互訪問が慣わしとなっており、2024年の5月に3回目の公式訪問をいたしました。
この時には駐日リトアニア大使にアテンドいただき、在日本リトアニア領事のほか、日本リトアニア友好協会の職員など15人ほどが参加しました。到着した首都ヴィリニュスでは、大統領府をはじめとした要人の歓迎を受けました。
リトアニアはヨーロッパ北東部、いわゆるバルト三国の南に位置し、日本からはおよそ半日の飛行時間となりますが、ヨーロッパ諸国の中では日本に一番近い国になります。北海道の8割ほどの国土には約300万人が暮らしています。
ヴィリニュスの旧市街はユネスコ世界遺産に登録されていて、バロック建築の宝庫として知られています。また、第二次世界大戦中に、ナチスの迫害から多くのユダヤ人を救った日本人外交官・杉原千畝の功績が今も称賛されています。
杉原は「命のビザ」と呼ばれた通過証を発行し、6000人を超えるユダヤ人避難民を救ったとされ、一説にはドイツ人実業家シンドラーが必要な労働力として救いの手を差し伸べた「シンドラーのリスト」を超えたといわれています。
リトアニアは穀物や乳製品、肉の自給率が2~300%ありますが、最先端のレーザー技術が進んだIT産業の国でもあります。
私たち一行が宿泊したホテルは近代的でおしゃれなものでしたが、中世の生活がそっくり残されている旧市街地の街並みの美しさは時間を忘れさせてくれるほど素晴らしかったです。その昔、ナポレオンが「パリに持ち帰りたい」と言ったと伝わるゴシック様式の傑作・聖アンナ教会のレンガ造りは圧巻でした。
食事はライ麦の黒パンをはじめとした豊富な種類のパン、そしてチーズや牛乳などの乳製品のほか、ジャガイモ、豚肉など、北海道人にはおなじみの味が楽しめました。
また、手編みの靴下や手袋、木のぬくもりが伝わって来るクラフト製品の食器、アクセサリーにも伝統的で素朴な特長がありました。
現地要人との会話では、やはりウクライナ情勢の話がありました。同国は飛び地のロシア領や親ロシア国であるベラルーシと国境を接していて、いつどうなるかわからないという危機感を深く感じました。
リトアニアは小さい国ですが、四季折々が明確で、ここにも北海道と共通するさまざまな暮らしがうかがえます。私も名誉領事として、同国の美しさ、素晴らしさをこれからも伝えていきたいと思います。
藤井 將博氏