渡邊清掃
地域を守る"事業承継型M&A"で成長。次代の循環モデルも構築
別海町に本社を置く「渡邊清掃」は、一般・産業廃棄物の収集運搬・処理、上下水道施設の維持管理など、地域インフラを支える企業として65年の歴史を持つ。
同社を中核とするホールディングス会社「NOCグループ」(別海町)は現在8社体制だ。グル―プでは廃棄物処理、バイオマス利活用、橋梁・道路補修、施設メンテナンスなど、地域の暮らしを支える幅広い事業を展開している。
藤本社長は「地方でインフラ企業が消えることは、地域の暮らしが消えることと同義です。企業を単に存続させるのではなく、発展させながら次世代へ承継する。それが私たちの役割です」と話す。
同グループの成長を支えてきたのが、事業承継を軸としたM&A戦略だ。これまでに「標茶衛生社」(標茶町)「富良野浄化工業」(富良野市)「士別衛生公社」(士別市)をグループに迎え入れてきた。その狙いは単なる規模拡大ではないという。あくまでもM&Aは出口ではなく、地域の持続性を高めるための手段として捉えている。
「地域存続型再編と位置づけています。事業承継型M&Aでは『会社を守る』視点が重要。一方で、グループとしての成長戦略も同時に描いています」(藤本社長)
今後の成長の鍵として設定しているのは、グループ企業の「バイオマスソリューションズ」だ。同社では、乳製品由来の副産物を原料とした農家向けペレット肥料の「地力の源さん」と園芸向けの「ミルキーパワー」を製造。廃棄物の回収・運搬・リサイクルから販売までを一気通貫で担う体制を構築している。乳製品由来原料を活用することで、畜糞系肥料と比べ衛生的で臭気が少ない点が特徴で、道内農家から高い評価を得ている。
さらに注目されているのが、国が推進する「国内資源の肥料利用」への対応。近年、輸入肥料価格の高騰や国際情勢の変化を背景に、下水汚泥や食品残さ、生ごみなどの国内資源を活用した肥料化の重要性が高まっている。
藤本社長は「下水汚泥や生ごみも、適切な処理技術と品質管理があれば資源になる。私たちはその受け皿となり得る技術基盤を持っています。『廃棄物を〝処理するもの〟から〝循環させる資源〟へ』をテーマに、地域完結型の資源循環モデル構築を目指しています」と語る。
今後は道東エリアの基盤強化に加え、バイオマス分野の高度化、インフラ老朽化対応分野の拡充も視野に入れる。
「地方には優れた技術と資源があるが、それを統合し、循環させる仕組みが不足している。当社はこの部分を担っていきたい」と藤本社長。