【今月号特選記事】函館市長選出馬会見、大泉潤が真っ赤なネクタイに込めた思い

 燃える闘魂・アントニオ猪木が10月1日、鬼籍に入った。不世出のレスラーのイメージカラーは「赤」。マイクパフォーマンスの決めゼリフ「元気があれば何でもできる」は、多くの人たちの背中を押した。

 10月12日、函館市の五島軒本店に多くのマスコミが詰めかけた。無数のフラッシュの中、同市前保健福祉部長の大泉潤は記者会見会場に姿を見せた。

大泉潤氏 ©財界さっぽろ

 大泉は江別市生まれ。早稲田大学卒。1995年に函館市役所に入り、観光部長や保健福祉部長を務めた。7月中旬に突如、来年4月の市長選に出馬する意向を表明。実弟が人気俳優の大泉洋だったこともあり、全国ニュースでも大きく報じられた。大泉は7月末で市役所を退職。その後は出馬について沈黙を貫いてきた。

 大泉は会見で、選挙に臨む上での心構えを口にした。

「工藤(寿樹)市長に対抗しようというイメージではありません。選挙は志を持った人が複数現れて、その中から有権者が選ぶというもの。候補者同士が争い合うのは有権者不在の考え方ではないか。選挙の争点は候補者が作ったり、仕掛けていくものではないと考えます。分断を繰り返す時代は終わりました。近隣市町とも団結して、道南全体で一つのゴールを目指すべき時です。街の声、小さな声に耳を傾けながら眠っている地域の宝を全て集めて、その魅力を強力に発信していきたい」

 質問する記者に顔を向け、理想論に終始する大泉。会見では具体的な政策には触れず、方針の発表にとどまったという印象だ。

 そんな大泉は、市役所時代と印象を変えるかのような真っ赤なネクタイを身につけていた。

 記者から理由を問われた大泉は、猪木を意識したかは定かではないが、「元気が出るように赤を身につけてまいりました」と笑顔で答えた。

 ただ、炎のファイターと化し、大泉以上に燃えたぎっているのが現職の工藤寿樹だろう。側近中の側近の思わぬ反逆にあい、腹の虫が治らない。

 工藤は9月22日、正式に4選出馬を表明した。現職の選挙7カ月前の立起表明は異例の早さ。

 囲み取材で工藤は、「私のアイデアはまだ枯渇していない」と語気を強め、大泉をけん制した。

 工藤は10月下旬に政経パーティーを開催。大勢の支援者の前で、4選にかける並々ならぬ決意を明かす予定だ。

 選挙の常道を歩む老獪な工藤と、若者のような“青くささ”を見せる大泉。函館市民が投票先を判断するための公約、政策は、まだ出揃っていない。

「大泉さんはひょうひょうとしていてフットワークが軽く、相手との距離感を気にせず懐に入っていくタイプ。人々の意見を聞く耳は持っているが、実行できるかどうかは疑問。決断力では工藤市長の方が上だろう」(函館経済界関係者)

 猪木の伝説の一戦といえば、マサ斉藤との巌流島の決闘が思い出される。来春の函館市長選でも、歴史に刻まれる死闘が繰り広げられるのだろうか。

 財界さっぽろ11月号では、大泉が出席したある会合での発言など、市長選を舞台裏を詳報している。(文中敬称略)

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